年間3万人が訪れる「ほんなもん体験」(長崎県松浦市ほか)一般社団法人まつうら党交流公社|地域活性化100

地域活性化の先進的取組事例>地域に人を呼ぶ>「交流」で人を呼ぶ
年間3万人が訪れる「ほんなもん体験」
一般社団法人まつうら党交流公社
長崎県松浦市ほか

長崎県松浦市ほかの地域の概要

まつうら党交流公社が活動する北松浦半島地域は長崎県の最北端に位置し、県庁所在地の長崎市までは120km
離れている。複雑な海岸線と島々の多くは国立公園や国定公園に指定されており、山と海が近接した地形が豊かな
漁場と農地を作り上げている。古くは、鎌倉時代以降に活躍した「松浦党」水軍の本拠地として、また、日本最古
の南蛮貿易港(伊万里焼等の陶磁器の積出港)として栄えた歴史を持つ。
この水軍・松浦党が現在の「まつうら党交流公社」の名前の由来となっている。明治から戦後にかけては、松
浦市を含む北松浦半島一帯で石炭が発見され、石炭産業が栄え、最盛期だった昭和35年の人口は約60,000人に
までなったが、その後の炭鉱閉山によって地域は衰退し、現在の松浦市に該当する範囲の人口は平成22年には約
25,000人にまで減少した。漁業が盛んであり松浦市の調川港には長崎県下有数の市場があり、かつてアジの水揚
げ量日本一を記録したこともある。

取り組みの概要:年間3万人が訪れる「ほんなもん体験」

長崎県松浦市を中心とした一般社団法人まつうら党交流公社では、地域の自然や農漁業等を活用した「ほんなも
ん体験」(ほんもの体験)を提供することによる地域活性化を、全国でも類を見ないほどに広範囲かつ大規模組織
的に行っている。
全域で約500件、約800名(全13地区。松浦7地区、平戸5地区、佐世保1地区)にのぼる受け入れ農家・漁家や、
体験学習のインストラクターのネットワークがあり、農家・漁家の民泊では1日最大1,700名の受け入れが可能で
あり、多様な体験型プログラムは80種類以上が用意されている。九州内のみならず、関西や関東からも多くの修
学旅行生を受け入れており、平成24年度の年間受け入れ人数は30,000人を超えた。
こうした取り組みが、地域住民にも無理のない形で行われており、地域の基幹産業である農漁業と体験型観光と
が一体化することで、農家・漁家の収入の安定につながっている。これほどの大規模受け入れが実現している背景
には、自治体の垣根を超えた組織による広域連携の仕組みがある。
まつうら党交流公社のはじまりは、平成14年1月。会員約80名により民間主導のコーディネート組織「松浦
体験型旅行協議会」が発足した。同年3月には旧11市町村にまたがった「松浦党の里体験観光協議会」を設立し、
協議会と一体となって広域連携事業を開始。この5月には初めての修学旅行生である高校生100名を受け入れた。
この年の受け入れは1,000人であった。
3年後の平成18年には受け入れ体制づくりを担う「NPO法人体験観光ネットワーク松浦党」を設立。長崎県と
松浦市からの支援を受け、官民協働体制を構築。現在も松浦市職員が公社事務局と協力し、日常業務を行うなどの
関係が継続している。この年の受け入れは10,000人にまで伸びた。
平成21年にはコーディネート組織の機能強化と新た
な官民協働体制の構築を図るため、コーディネート業務
を担う「松浦体験型旅行協議会」、受入体制づくりを担
う「NPO法人体験観光ネットワーク松浦党」、広域連携
を支援する「松浦党の里体験観光協議会」の3団体を
統合し「一般社団法人まつうら党交流公社」を結成した。
現在は「交流公社」がコーディネート組織として、宿泊
を受け入れる各地域の協議会との調整にあたっており、
これを長崎県や松浦市と関係市などの自治体が垣根を超
えて支援している。民間主導のコーディネート組織を行
政が強力にバックアップする「官民協働」の受け入れシ
ステムを構築がうまく機能している。
また、参加している農家・漁家・インストラクターに
対する安全管理や注意などの「質の管理」を徹底されて
いる。まつうら党が提供する体験プログラムは、安全を
最優先にしており、全ての体験に対して保険を掛けてい
る。また、民泊を行う農家・漁家では規制緩和を利用し
て旅館業法の許可取得を進めており、関係者に対しては
保健所や消防署による安全指導を徹底、食中毒や事故等
に対応した保険への加入なども行っている。
そのほか、蓄積された経験から得た注意点等を公社が
取りまとめて、関係者に告知することによって、さらに
「安全で安心な体験」の提供を実現している。参加者の
安全・安心を第一に考え続けた結果が、年間30,000人
を超える修学旅行生の受入実績を作り上げたとも言え
る。こうした修学旅行生の受け入れは、地域には経済効
果以外の効果ももたらした。都市部から来た人が、民泊
や体験学習を通して、地域のありのままの自然や、地域
の営みに魅力を感じてくれることが、受け入れ家族やイ
ンストラクターの自分の生業に対する自信と誇りにも繋
がり、地域に活力が生まれている。

インタビュー:和田光正氏(統括本部長/一般社団法人まつうら党交流公社)

一般社団法人まつうら党交流公社
統括本部長
和田光正氏