アイデアは会議では生まれん、田んぼや畦道での立ち話から生まれるんじゃっ!(山口県周南市中須北)棚田清流の会|地域活性化100

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アイデアは会議では生まれん、田んぼや畦道での立ち話から生まれるんじゃっ!
棚田清流の会
山口県周南市中須北

山口県周南市中須北の地域の概要

中須北地区は山口県周南市中心部から20Km北東に位置する、標高300mの中山間盆地にある。5つの集落が
幾重にも重なる田んぼで結ばれ、美しいすり鉢状の棚田の風景が広がっている。しかし条件不利地域で生産性が低
い上に、住民の過疎・高齢化で担い手不足が深刻となり、耕作放棄が多く見られていた。平成10年より、地域の
荒廃に危機感を覚え、高齢化・過疎に対してどうするべきかを考える「くらしの創造委員会」による活動を始め活
動方策を探っていった。その後平成13年に組織を再編、地区内全住民が会員となるむらづくり実践組織「棚田清
流の会」を発足した。
むらづくり、地域内外の交流に積極的に取り組むことで、棚田も美しさを取り戻していった。平成22年には「や
まぐちの棚田20選」に選定、同年の農林水産省実施の「第6回美の里づくりコンクール」において山口県内で
は初となる最高賞を受賞。現在の中須北は農村と都市の交流拠点として県内に広く認知されている。

取り組みの概要:アイデアは会議では生まれん、田んぼや畦道での立ち話から生まれるんじゃっ!

平成10年より地域の高齢化・過疎に危機感を覚え活動を開始。当初は地域の現状について知ることから始め、
5年後、10年後はどうなるのかを考えていった。その後平成13年に組織を再編し、地域づくり・村づくりのため
の地域全員が会員である「棚田清流の会」を発足した。「棚田清流の会」としてまず始めたことは皆が困っている
ことに手をつけること。集落の良いところを考えるのではなく、悪いところを考え解決していく。まず悪いことを
解決し、すぐに成果が出ることで、集落のつながりが強まりコミュニティが形成され活動がしやすくなっていった。
「棚田清流の会」発足時に全世帯にチラシを配った際には「会に入った覚えはない」との不満の声もあったが、す
り鉢上の地形により会の活動が自然と皆に見える状態であり、成果を見せる事によって皆を納得させていった。
また、いかに多くの意見を拾えるかを大事にしている。情報集めは活動・作業が済んだすぐ後に反省会として行
われる。わざわざ人を集めるのではなく、人が集まったときを利用し情報を集める。反省や、新たな情報によりそ
の場で次の計画を考えていく。8月には蕎麦、9月には稲、10月には収穫祭といった行事を年間を通じて実施し
ている農業体験交流では参加者へのアンケートによりニーズを把握し、参加者がもっと作業をしたいと思っている
ことが分かった。そこで、体験交流の参加者をお客さんとして対応するのではなくしっかりと作業を手伝ってもら
うように改善していった。農業体験交流では小学生のいる家族が20組であり30組を目標としていて募集の方法
も市の広報ではなく周南市の小学生5,000人全てへチラシを配布している。対象を明確化することで内容も決め
やすく効果的である。
さらに、農業交流体験から棚田オーナー制度も誕生した。棚田オーナー制度は小さい田はやりたくない農家と、
自分の作ったものを食べる喜びを小さい田で作り感じたいというオーナー、両者の思惑が一致している。棚田オー
ナー制度では現在12家族での参加があり、棚田の保存、農業への興味、中須北の情報発信としても機能している。
「棚田清流の会」では3つの部会がある「中須北営農組合」を立ち上げ、それぞれ思考を凝らして活動している。「営
農部」では米の生産を、「生産部」では休耕田を借り農産物を生産、「加工部」では生産物の加工を行っている。
平成3年から始まった「都濃自然米グループ」では、農薬や化学肥料を一切使わず、除草には再生紙
のマルチを使用した「泣かす米」の販売や、「泣かす米」と中須の水を100%使った日本酒「泣かす酒」
を販売している。また「加工部」では、「泣かす酒」の酒粕で何かできないかと考え、酒粕を利用したケー
キやお菓子も考案、販売している。平成25年4月には空家を活用した加工品を販売する「里のはな」がオー
プン。現在は、平成27年に農家レストランのオープンを目指し改装を進めている。その他にも「ほたる
と浴衣のゆうべ」など若い人に向けた活動も行っている。

インタビュー:佐伯伴章氏(棚田清流の会会長)「田んぼや畦道での立ち話から生まれるんじゃっ!」

田んぼや畦道での立ち話から生まれるんじゃっ!
佐伯伴章氏
棚田清流の会会長
地域づくり・むらづくりを実践してきた佐伯氏が語る。
棚田清流の会の3つのモットー・・・「棚田清流の会」には3つのモットーがある。「強制はしない」。「評論家
はいらない」。「杖をついているような人は、這わしてでも使え」の3つ。強制はなしと言うことで電話連絡など
はせずチラシだけで告知する。人が集まればそこが活動の場となる。評論家は否定しかしない。否定された人は何
も意見を言わなくなってしまう。杖をついている人でも這わせてでも使えと言うのは手伝いたいと思っている人に
は、必ず何でもよいので手伝ってもらうことが重要。もう人は足りていると断ると、次から参加してもらえなくなる。
アイデアは会議では生まれない、田んぼや畦、畑での立ち話しから生まれる・・・地域づくりで一番大事なのが
住んでいる人のコミュニケーション。そのために自治会の作業中などでポロッと言うような意見も漏らさず記録す
る。女性の意見も重要。拾った意見を大切にし、必ず次の行動に繋げる。わざわざ集まって、堅苦しい会議での意
見交換には意味がない。
小さいことが出来るか出来ないか、自分たちの力だけでは限界もある・・・疲れない程度に無理せず長く続ける
ことが重要。住んでいる人だけでは限界がある。行政も活用しないと、待っているのではなく助けを求めていくこ
とがこれからは大事。他の力を利用しなければ勉強も出来ない。自分たちが想いを作らないと前には進まない。
100年先まで夢プランがある・・・皆からやりたいことの意見が多く出ている。「棚田清流の会」立ち上げ時で
は10年先の目標として10年先夢プランを作ったが自分の中には100年先まで夢プランがある。
アイデアは会議では生まれん、