女性の活躍に端緒する地区を支える総合的な取組み(静岡県浜松市天竜区)NPO法人夢未来くんま|地域活性化100

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女性の活躍に端緒する地区を支える総合的な取組み
NPO法人夢未来くんま
静岡県浜松市天竜区

静岡県浜松市天竜区の地域の概要

熊地区は、浜松市天竜区の西端に愛知県と接する32.2k㎡の区域で9割近くを森林が占める。浜松駅からは車
で約1時間の距離にあり、天竜区役所からも約30分に位置する。地区内には23の集落があり、現在、252世帯、
643人が暮らしているが、林業が興隆を極めていた昭和30年には2,500人の人口を擁していた。

取り組みの概要:女性の活躍に端緒する地区を支える総合的な取組み

熊地区の村おこしは、昭和30年代の農村生活改善運動に始まり、女性を中心に展開されてきた。
急速な過疎化が全国的にも問題化する中で、この課題を看過してはならないと食品加工所の建設を提案して地元
で協議を重ね、昭和61年に306戸全戸参加による「熊地区活性化推進協議会」を設立した。市の協力の下で、
補助金や財産区の資金を基に食品加工施設「くんま水車の里」と食事処「くんまかあさんの店」を建設し、運営
を開始した。
家の外で働いたことのなかった女性陣であったが、これを機に、身なりを整えて外に出て、お小遣いをもらい、
みんなで活動したことを家でも話すようになると、明るくなったという家庭も多く現れるなど、生活意識が大き
く変わった。また、そば職人やまんじゅう屋に製造方法や味を習いに行くなど努力を重ね、当時、このような活
動は珍しかったことから話題を呼び、平成元年には農林水産祭において天皇杯を受賞した。
地区には年間7,8万人が訪れ、両施設の経営は順調に進み、収益が得られ始めたことから法人格の取得を模索
し、平成12年に、新たに創設されたNPO法人格を取得することを決めて認証を受けるに至った。
水車部の売上が安定して増えてきたことから、NPOで福祉事業にも着手した。月に一度、健康な高齢者のた
めに弁当を作り、集落を回って住民に集まってもらい、一緒に食事をとりながらサービスも提供しているうえ、
独居老人のために配食サービスも展開している。
人口減少は続き、平成16年度で中学校が閉校し、翌年には市町村合併により浜松市となった。また、施設の
老朽化やライバルとなる地域や取組が多く見られるようになったことも経営上の課題となっているが、現在も、
350人訪れる日があるなど、活発な活動が展開されている。
【組織の概要】
NPOは、理事会の下に「ゆめまちづくり委員会」を設け、4つの部で運営している。水車部の加工品の販売
や食事の提供等で得た収益を、しあわせ部の高齢者福祉活動に、いきがい部の地域活動に、ふるさと部の環境
保全活動に、それぞれ回して事業を展開している。NPO法人格の取得時には、積極的に稼いでいくことも重要、
という考え方から、組織・事業を分割しようとの意見もあったが、収益で福祉事業を展開する今の形態もとれて
いる。また、事務局においても、お試し移住や森林コーディネーター育成講座等を展開している。
【施設の概要】
■食品加工施設「くんま水車の里」:水車部のメンバー十数名が、味噌や五平餅、こんにゃく、そばなどをほぼ毎日、
シフト表に基づいて担当を割り振って製造している。
■食事処「かあさんの店」:そばを中心に、地域で採れる農作物や山菜などの自然の恵み、郷土料理などによる
食事を、観光客や地域住民に提供している。木造平屋建で、趣のある雰囲気があり、観光パンフレットなどの各
種観光案内もされている。
■物産館「ぶらっと」:2階が物産館となっており、住民が育てた農作物や花、水車部で生産する特産品、さらに
木製品なども販売している。地域住民も多く利用することから、一部、日用品や食料も販売しているとともに、農
作物も購入していく住民もいる。1階は事務所として利用しているが、階段に沿って、熊村の歴史を物語る各種資
料が展示され、またギャラリーとしても貸し出している。
■体験工房「水車の里」:そば打ち体験やこんにゃく作りなど、観光客が各種体験をできるよう施設が建設されて
いる。観光バスで訪れる観光客に食事を提供する際にも利用される。
■効果:働く場所があることで、女性らが身なりを整え、いきいきとし始めたことが大きい。また、活動した対価
として給料がもらえ、家に戻っても明るい話題が増えた。
■今後:高齢化に伴い、徐々に地域の活動も元気がなくなりつつあるが、当法人では75歳定年制を敷いており、
若い子が働き続けられるよう、事業を続けたい。

インタビュー:金田三和子氏(NPO法人夢未来くんま副理事長)「女性の活躍に端緒する地区を支える総合的な取組み」

女性の活躍に端緒する地区を支える総合的な取組み
金田三和子氏
NPO法人夢未来くんま副理事長
幼い頃から地域とのつながりが強く、一度は地区を離れたものの結婚を機に戻ってきた。42歳の時に、子供が
小学生であったが事業を始め、26年が経った。
女性で取組みを始めた時には、「熊」の文字を分解して作られた造語「ム月、、ヒヒ、、」と「どうせ6カ月もすれば、
みんな辞めてしまって笑い種になるだろう」とよく言われ、提案自体が受け付けられなかったうえ、事業が始まっ
てもそのようにみられていた感がある。この時の気持ちを忘れることがないよう、水車の里の看板の下には、この
文字の看板をあえて設置し、メンバーらに真剣に取り組むように促している。
天皇杯をいただいたことで喜び、さらなる事業拡大をしたが、全員が協力していたわけではない。30人の仲間
で苦手なことにもチャレンジしているうちに、徐々に理解が広まっていった。メンバーとも意見の相違で「明日か
らは来ない」と言われたことがあったり、接客サービスを展開する上では苦労も多々あったが、昔からみんなで農
村改善等に取り組んできたという結束力で、ここまで乗り越えてきた。
今後の取組みとしては人材の確保・育成が課題となっており、事業開始から約30年が過ぎたこともあって、第
一線で活躍してきた人たちから世代交代を徐々に進める必要が出てきている。高齢化に伴い、徐々に地域の活動も
元気がなくなりつつあるが、若い子が引き続き働けるよう、事業を続けたい。メンバーには若い人たちも多く参加
しており、第二のくんまの明日を考える会をつくり、活動の持続化を目指して検討もしていて、期待をしたい。