自治会を核とした地域生活環境の維持(三重県松阪市)柚原自治会/ささゆり会|地域活性化100

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自治会を核とした地域生活環境の維持
柚原自治会/ささゆり会
三重県松阪市

三重県松阪市の地域の概要

柚原(ゆのはら)地区は、松阪市街から車で約30分の山里にあり、平成26年4月現在、47世帯、82人の地区である。
昭和26年には小・中学校が廃校となっていたが、JAの店舗・金融窓口も平成15年に閉鎖。郵便局も平成19年4月に閉
鎖となった。

取り組みの概要:自治会を核とした地域生活環境の維持

■取組の経緯
昭和63年に、過疎化によって路線バスが廃止されようとする中、都市部から地区にバスで来てもらうことでバスの利用
率を上げ、何とかバスを存続させようと、地元婦人会が「早起き市」を開いたのがきっかけで、本格的に活性化への取組が
始まった。以降、婦人らで「ささゆり会」を結成し、特産品の開発や市内の店舗への農産物の販売などの活動を展開する。
平成4年には、「うきさとむら運営協議会」を結成し、「食事処うきさとむら」を開設した。
平成15年にはJA店舗が撤退した。さらに、平成19年4月に郵便局が閉鎖されるとのことから「JAもないため、金融
難民を救おう」という思いで、自治会が簡易郵便局を開設することを検討し、閉鎖した翌月に運営を始めた。開設にあたっ
て必要な資金は入会地の売却によって得た資金で、法律上2名必要な人材については、局長は、以前、郵便局職員であった
現自治会長がボランティアで、もう一名はIターン者に研修に参加してもらうことで確保した。
さらに、買い物難民も救うべく、7月には全住民が1万円ずつ出し合って郵便局に隣接する旧JA店舗の建物で「コミュ
ニティーうきさとみんなの店」の運営にも着手した。
■施設の概要
「コミュニティーうきさとみんなの店」
地域住民が必要とする食料品・衣料品とともに、農機具や種などの農業用用品も揃っている。また、観光客も立ち寄るこ
とから、地区のマップや見どころの解説資料も数多く掲示されている。また、レジ前には机といすが置かれ、冬には薪ストー
ブも活躍し、客同士、客と店員のコミュニケーションの場ともなっている。なお、大手スーパーが、定期的に食料品を届け
てくれるようになり、商品の調達面の課題が一つ解消されている。
「食事処うきさとむら」
平成9年に、国と県の補助金と一人当たり20万円を出し合って建設した小屋風の建物で、現在は4名で運営している。
毎週火曜日の定休日以外、うどんや焼き肉、唐揚げなどの食事が提供されている。特に、モロヘイヤが練りこまれた「細
雪うどん」は人気がある。調理場では加工品も製造し、店頭やスーパー等で販売している。平成23年からは大阪にある会
社が原材料となる鶏肉を調達してくれるようになり、近隣市にあるアウトレットモールにて食事が提供されている。当該企
業は1食販売されるたびに10円を寄付してくれており、その資金で観光マップの作成や資源回収用の倉庫を建設した上、
続けて、福祉バスの購入・運行も計画されている。
■地域ぐるみの経営
しかし、人口減少と高齢化は近年もさらに続いており、経営も厳しい環境の中で、住民同士また都市住民も仲間に入れて
努力が行われている。店舗については、赤字が年間20万円ほど発生していたが、現在では自治会女性部に店番を頼み、実
質的には最低賃金以下で、交替制で従事してもらっている。(みんなで出資した店であることから全員が業員ではなく経営
者であるため、法に触れるものではない。(1日3,000円。)郵便局の運営にあたっては、運営委託金で1名を雇用し、も
う1名はボランティア。あわせて、「みんなの店」も同一の建物にあることで電気代等の管理経費も一元管理している。さ
らに、県道3kmの草刈りを自治会で行うことで、土木事務所から年間80万円の委託費を確保しているが、その際には、
市内に住む息子らに手紙を出すとともに、大学生や地区のファンに手伝っ
てもらっている。ちなみにその御礼は「うきさとむら」での焼き肉で、そ
の評判がよく、ファンは毎回足を運んでいる。
■施設・組織の連携・役割分担
このように現在、地区の中心部には、住民の日常的な拠点としての「柚
原簡易郵便局」と「コミュニティーうきさとみんなの店」、地区外から
の住民との交流拠点としての「食事処うきさとむら」が集積し、バス停
も設置されておりいわば“小さな拠点”が形成されている。例えば、「う
きさとむら」は交流拠点となっているとともに、住民が気軽に食事ができ
るとともに仕出し弁当も作れることから、これらの連携によって地区で必
要な生活サービスが確保されるとともに、雇用・こづかい程度の収入のみ
ならず、地区外の人材も確保している。
任意団体である「うきさとむら」は自治会や各種団体が関わっていない
ため、メンバーの思うように好きなことができるうえ、すぐに取り組める
ことが特徴である。なお、平成24年度からは、松阪市役所が市内の全地
区で住民協議会制度を開始した。協議会は全員が自動参加であり、加入が
任意である自治会とは異なる。(自治会には入っていない人もいる。)なお、
前者は公民館費であった1,000円/年を引き継いでおり、後者は1,000円
/月となっている。
■外部人材との交流・活用
当初より、バスの存続に向けた利用率向上のために都市住民を活用しよ
うとの発想があり、交流を重視した取組を展開してきた。単に朝市を開
いてもわざわざ来てくれる人が少ないことから、交流の大切さに気づき、
朝がゆを無料で配るとともに会話を交わすことでファンが定着し始めた。
ファンが250人ほどに増えるに連れて「仲間と一緒に村おこしをしよう」
との考えが広まり、そのうち70名は環境ボランティアサークルとなって
草刈りなどの手伝いをしてくれるようになった。市役所職員の協力も加
わって、毎年、七草かゆまつりや夏祭りを実施しており、そのお客さんが
スタッフになった例もある。なお、市役所地域づくり応援室の職員は1名
で6地区の世話役・行政とのパイプ役として活躍しているが、地区側でう
まく利用して各種支援をしてもらっている。

インタビュー:大石正幸氏/西井玉枝氏(柚原自治会会長/ささゆり会代表)「自治会を核とした地域生活環境の維持」

自治会を核とした地域生活環境の維持
大石正幸氏/西井玉枝氏
柚原自治会会長/ささゆり会代表
活動にあたっては、マンネリ化を防ぐため、毎年、1つは違うことをしようと実施するとともに、イベントを企画運営で
きる人材を育てようと頑張ってきた。現在、協議会と自治会、任意団体の組合せで経営努力をしているが、認可地縁団体と
NPO法人の間のような法人格があるとよい。本年、リーダー的存在の2名が亡くなり、うきさとむらのリーダーも80歳
であることから、市内からでも担い手を呼びたいと思っている。移住してくれる人がいるとよい。
店舗を黒字化させて担い手の待遇を改善したい。当初は黒字だったが徐々に経営は厳しくなっており、若い子には給与を
出しているものの、役員等は十分に給与が払われておらず、安定化させたい。物価・原材料費は上がっているが、値上げで
きなくて苦しい。また、忙しくなれば働きたいとの人は多く、イベント時には手伝ってもらっていることから、事業の拡大
も見込みたい。すばらしい古民家があり、改修をして移住したいとの人も現れているが、上水道が整備されていないためく
み取り式トイレであることが相当な壁となっている。このような取り組みも、諦めずにチャレンジしていきたい。