集落のみんなに居場所とやりがいを 集落全員参加の株式会社(島根県益田市匹見町萩原地区)株式会社萩の会|地域活性化100

地域活性化の先進的取組事例>地域をまもる>住民自らコミュニティーをつくる
集落のみんなに居場所とやりがいを 集落全員参加の株式会社
株式会社萩の会
島根県益田市匹見町萩原地区

島根県益田市匹見町萩原地区の地域の概要

益田から車で40分の中山間地域。益田市(旧匹見町萩原地区)面積の9割を山林が占める。旧匹見町はピー
ク時に約7,500人(S30)いたが、現在は約1,600人に減少。萩の会の舞台である萩原集落の人口は約30人。
かつて、匹見町だった頃に、当時の町長が「過密」に対しての人口減少を表現した「過疎」という言葉を初めて
使ったため「過疎」発祥の地とも言われている。

取り組みの概要:集落のみんなに居場所とやりがいを 集落全員参加の株式会社

平成10年ころ、集落では高齢化と人口の減少によって、農地の荒廃や空き家の増加が進行していた。こうし
た事態に集落の女性たちが中心となって「なにかをやらなくては」と始めたのが、集落の女性が男性に料理を教
え、皆で食事をする「男の料理教室」だった。月一回のこのイベントで顔を合わせるうちに、集落の中に「皆が
生涯現役で、心豊かに暮らしせる集落をつくりたい」という共通の意識が芽生えてきた。そして生まれたのが任
意団体「萩の会」である。
萩の会が最初に手がけたのは、集落内の空き家を活用した民宿「わがままおばあちゃんの宿・雪舟山荘」だった。
萩の会の中に女性6名からなる「民宿部会」を結成して運営。民宿では、山菜、川魚などの地域で採れる食材を使い、
おばあちゃんたちが伝統の料理法で調理した料理を提供した。さらに「民宿にはお米が必要だ」として、集落の
男性たちが「水稲部会」を結成し、当時、作り手のいなくなっていた水田30aで稲作古代米などの珍しい米を
栽培して提供して好評を得ていた。民宿には年間で500人を超える利用客があった。
民宿での活動を行っていた平成13年。町の特産物を生み出そうと、旧匹見町が集落内につくり管理していた「ブ
ルーベリー園」が頓挫してしまい、これを集落が引き取ることとなった。萩の会の中にブルーベリーの栽培から
ジャムへの加工を行う「ブルーベリー部会」を結成した。このブルーベリージャムは試行錯誤の末に製品化に成
功し、益田市特産品コンテストでグランプリを受賞するなど注目を浴び、通販等でピーク時には5,000本(1本
600円)を売り上げるまでになった。さらに第二弾として「なめこの佃煮」も開発し販売している。他にも、集
落に都市部の子供達を受け入れ、各種の体験プログラム提供する取り組みも行っている。集落内メンバーのアイ
デアによって、古代の暮らしや食事を体験する「古代体験」などのプログラムを設け、夏季には広島から集落の
人口を超える100名を超える子供達が合宿に訪れるなど、成功を収めている、
当初、萩の会の活動は集落住民のボランティアで行っていたが、この頃から民宿事業やジャム製造販売事業に
よって収益が上がるようになってきたため、メンバーの活動に対して賃金が支払えるようになってきた。平成
17年には任意団体だった「萩の会」を「株式会社萩の会」とした。その背景には、事業による収益が上がるよ
うになったために税務処理等を行う必要ができたことに加え、組織としての信頼性向上や体制強化をするという
目的があった。当時、資本金にはそれまでの事業によって集落内に蓄えられていた貯金を充て(それまでの民宿、
ブルーベリー加工販売などで数百万円の貯蓄になっていたという)、それまでの「部会」活動は継続し、新たに
会計担当を設置した。構成員は「集落全員」とした。当時、「集落全員参加の株式会社」や「女性の活躍」が注
目され、地域づくりに関する各種の表彰を受賞した。
平成19年には外からのお客様をも受け入れる場
として、また、集落住民の集いの場として、体験・
特産品の館「萩の舎」をオープンした。この木造の
小さな建物は集落内の皆で設計から施工までを実
施。集落の男たちが中心となって完成させた。同時
に、それまで民宿として利用していた家の家主が帰
郷したことによって民宿は一時休止。
平成20年からは旧匹見町地域の各種団体19団
体が参加して「田舎体験推進協議会」を結成。都市
部からの子供に体験プログラムを提供する取り組み
を行っている。田舎料理体験、農家民泊、ものづく
り、農業体験など30近い種類のプログラムが用意
されており、100名を超える多くの子供が体験プロ
グラムに訪れ、その収益は地域にとっての重要な収
入源の一つになっている。
萩の会は集落維持においても、重要な役割を担っ
てきた。近年ではメンバーの高齢化は進んでいるが、
それぞれの世代が自分にできることを無理せず継続
しており、小さな集落内のすべての世代にとっての
「居場所」と「やりがい」となっている。
こうした、全員に「居場所」と「やりがい」があ
る集落に魅力を感じた移住者(30代の夫婦と子供)
も生まれている。この移住者も、移住したその日か
ら「株式会社萩の会」のメンバーに入っており、萩
の会は新しく集落にきた人にとっての居場所にも
なっている。

インタビュー:斉藤ソノ氏(代表/株式会社萩の会)

株式会社萩の会
代表
斉藤ソノ氏