全国初!自治会事業主体の太陽光発電事業(兵庫県丹波市春日町国領)山王自治会|地域活性化100

地域活性化の先進的取組事例>地域をまもる>住民自らコミュニティーをつくる
全国初!自治会事業主体の太陽光発電事業
山王自治会
兵庫県丹波市春日町国領

兵庫県丹波市春日町国領の地域の概要

兵庫県丹波市春日町国領にあるわずか12軒の小さな村(山王自治会)の取り組みである。南に竹田川が流れ、
北面は山に囲まれた5ヘクタールほどの農村で、人口は40人あまり、年々住民の高齢化が進み、同時に少子化と
過疎化が進む村。若い世代の働くところが少なく、高齢者世帯の収入が年金に頼らざるをえない現実の中、自治会
の運営のための経費や村が生活を営んでいくための「日没」という作業費用が大きな負担となっていた。少子高齢
化、過疎化を少しでもくい止め、少しでも住みやすく、将来の世代が豊かに、安心して暮らせるようにしようと日々
思う状況が続いた。

取り組みの概要:全国初!自治会事業主体の太陽光発電事業

大きな負担となっている自治会の運営経費は、1軒あたり年間6万円(毎月1軒あたり5千円)である。村の定
例会では常々、村の活性化に向けた意見が交わされてきたが、これといった打開策が見出せずにいた。
1998年の秋、村のある家庭の屋根に太陽光発電設備が設置され、これが村の活性化に活用できないかと村の定例
会で提案された。自治会所有の土地の一部を国に売却し、2012年、竹田川沿いの自治会所有の空き地(約700平
方メートル)に216枚の太陽光パネルを設置、太陽光発電事業に挑みました。設備費用は約1,700万円。最大出
力42キロワットの設備で、年間約180万円の収入を見込む。20年間、関西電力に売電する計画である。電力の
固定価格制度の導入によって、安定的な事業収益・キャッシュフローが生まれ、自治会における運営資金の安定化
につながっている。
太陽光発電事業を自治会で取組むのは全国で初めてだったため、TV、雑誌、新聞などさまざまなメディアに取
り上げられるようになり、その後、市内、県内の自治会をはじめ多くの方から問い合わせや視察依頼があり、これ
らのことが、あきらめの気持ちから「なにかできる」「なにかやろう」という前向きな気持ちへと人々の意識を変
えていった。
今では村民の意気も高揚し、「こうしたらどうや」「こんな企画はどうや」といった活発な意見が交わされるよう
になり、休耕田を利用した小豆の栽培や山椒の栽培、他地域との連携を図るため、ホタルの鑑賞会などが進められ、
今後も多様な活動を展開してきながら、村の活性化を図り、少しでも住みやすく、将来の世代が豊かに、安心して
暮らせる環境を整えていく。
▼山王自治会太陽光発電システム
・設備容量:42.12kW
・年間予想発電量:44,814kWh
・土地面積:川沿いの空き地(自治会所有)約700㎡
・売電契約内容:42円/kWh20年間
・設備費用:約1,700万円
・年間予測収入:約180万円

インタビュー:細田泰宏氏/細田勉氏(山王自治会)「結束力×行動力=新しい未来」

結束力×行動力=新しい未来
細田泰宏氏/細田勉氏
山王自治会
同じ課題をもつ自治会に向けて、細田氏がこれまでの経験から大切なものを語ってくれた。
1.本事業がスタートできたのは昔から続く結束力にある
この村は、昔から「みんなで生活を支えていく」という結束力があり、子供たちの勉強は先輩が教える、村に収
入がない時代には、村のみんなで精米工場を建てるなど、村で協力して行う環境がありました。今でも夏休みには
若い青年が公民館をつかって子供たちに勉強を教えています。村全体の活動では、年に1回夏祭りを開催し、か
れこれ30年は続いています。また、正月になると餅つき、夏にはバーベキューなど、人が集まる機会をつくっては、
みんなでわいわい盛り上げっています。本事業における、村の資金の活用についても、様々な意見が交わされたが、
最後は「みんなで村を元気にしたい」「協力して行う」といった昔から根付いているみんなの思いや結束力があっ
たからこそ進めることができたと感じています。
2.行動力が村に生まれた!売電収入によって心の余裕も得ることができている
村の取組みについて、皆にアンケートをとったことがあります。それらの意見からホタルの鑑賞会や、休耕田を
利用した小豆の栽培、山椒の栽培が動き出しました。村のみんなで旅行に行きたいと言った企画もあがっています。
とにかく、一つ一つできることから皆で意見を交わし取り組んでいくことが必要です。そう言った行動力が村に生
まれたことがよかったと思っています。また、これらの行動により皆で作業する時間も増え、ひいてはそれがみん
なで意見を交わすきっかけとなり、普段気が付かなかった個々の悩みや日常の課題などが共有できるようになって
いった。太陽光発電事業は、単に売電収入を得るだけでなく、心の余裕も得ていると感じています。
3.自信による自立への大一歩
今まで行政の補助メニューがあるから取組みをするといったことが多く、自分たちがリスクを背負ってでもやろ
うという事業は少なかったと思います。行政の支援があるから何かをするのではなく、自分たちが何をやりたいの
か、きちっと出すことが大切です。やりたいこと、やれることも、一つ一つ整理していくと出来ることがあります。
まずは、一つでも自分たちで実施することが、自信と喜びを生み、実施した成果を残すことで地域としてもう一歩
踏み込もうといった前向きな思いにつながっていると思いました。行政等の支援をうけずに取組んだことが、自分
たちだけでもできるといった自信になり、自立するための一歩を踏み出せたのではないかと感じています。
4.資金援助だけでなく、一緒にやろうといったスタンス・後押し
村の活性化のために取り組んだ太陽光発電設備の設置が、継続事業に該当するということで、地縁団体が取り
組むと法人格があるとみなされ「法人税」が一般企業と同様に課税されます。また、設置により土地の評価額が代
わってしまい、「固定資産税」も上がってしまうということがあとからわかりました。当時はまったく前例がなかっ
たため受け入れられなかった自治体の援助についても、本事業を事例に、他の同じ課題を抱えている自治会に対し
て何らかの援助が受けられるシステムを検討していただきたいと思います。また、ただ単に財政的な支援だけでな
く、取組みをしようとしているところに対して、行政として持っているノウハウを提供していただき、一緒になっ
てやりましょうといったスタンス・後押しをしていただけると助かります。