3人の集落の挑戦。チームワークで地域を守る。(三重県紀北町)下河内の里山を守る会|地域活性化100

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3人の集落の挑戦。チームワークで地域を守る。
下河内の里山を守る会
三重県紀北町

三重県紀北町の地域の概要

下河内地区は、紀北町紀伊長島区の山間部に位置するのどかな集落。200年ほど前に開墾され、豊かな農地と山
林を有する集落として栄えてきた。明治から昭和にかけては、宮川上流部の山村と紀伊長島の海を結ぶ街道の要所
としてにぎわい、旅籠や茶店が営まれていた。かつては分校があるほど多くの人々が住んでいたが、町内でも特に
高齢化が進んで人口が減り、現在は2世帯3人が住まう小さな集落である。

取り組みの概要:3人の集落の挑戦。チームワークで地域を守る。

「下河内の里山を守る会」は、地区の住民と下河内に縁のある人々が「地域のもつ豊かな自然を守ること」を目
的として、2003年11月に発足。下河内の美しい景観を保全するため、休耕田を活用した様々な農産物の生産に
挑戦した。2004年に県の農業普及指導員のアドバイスを受け、そばの栽培を開始。全員でそば打ちを学び、そば
打ち体験を実施するなど、そばによる地域おこしに取り組んだ。また2006年からは、特産化を目指してマコモ栽
培を始め、近隣の小中学生を対象に、植え付けと収穫体験を実施するなどの食育に関する取り組みも行っている。
2008年には、旧旅籠の築約120年の古民家を借りて、会員自らの手で約1年かけて活動・交流拠点「そば蔵旭屋」
として改修。2010年5月から第2土曜日を「下河内の日」とし、地元農産物や生そば、漬け物、手づくりこんにゃ
くの販売や、そば打ち体験、こんにゃくつくり体験などの体験の場として活用している。2012年7月からは、「下
河内の日」限定で農家レストランを開店。そばや地域の野菜・米を使った田舎料理による「里山定食」などを提供
している。親と一緒に訪れた子どもは、ビオトープや水路などに棲む生物を見つけると夢中になって遊び、自然と
触れ合う場にもなっている。
現在、「下河内の里山を守る会」の会員は約50名で、年代は40歳代~70歳代。会のそば打ちの評判が広がっ
たことで、そば打ち技術の向上をひとつの目的として会に参加する人が出てくるなど、少しずつ会員が増えていっ
た。下河内地区外の会員が多く、尾鷲市、熊野市、津市などの遠方の地域在住の会員もおり、会の活動を手伝うた
めに、イベントごとに地区を訪れている。会員は、イベントでのそば打ちや会員同士の勉強会を通して技術を磨い
ており、「素人そば打ち名人戦」で名人位を受賞した会員もいるほど全国でも有数のレベルになっている。そば打
ちの他にも、「こんにゃくつくり体験」、「おかしつくり体験」、「語り部と歩こう下河内ウォーキング」など、会員
それぞれの特技や興味のある分野を活かした体験メニューも豊富で、訪れる人を楽しませるとともに、会員の生き
がいづくりにもなっている。
「下河内の日」が始まるまでは、地区を訪れる人はほとんどいなかったが、現在は年間900人あまりが訪れるよ
うになった。リピーターも多く、会の活動が多くの人々に親しまれている。「下河内の日」は、毎月20名ほどが
手伝いに訪れ、そば打ち、田舎料理の調理、農産物などの販売、後片付けなどを分担して農家レストランを運営し、
閉店後は全員で賑やかにまかない料理を囲んだり、そば打ちの練習に励んでいる。地区内外の人々による「新しい
つながり」によって地域づくりが行われ、にぎわい、楽しさ、生きがいなどが生み出されている。

インタビュー:橋本三保氏(下河内の里山を守る会会長)「大切なのはみんなのチームワークです。」

大切なのはみんなのチームワークです。
橋本三保氏
下河内の里山を守る会会長
下河内の里山を守る会では、定期的にイベントを開催することで、下河内の里山にたくさんの人に来てもらい、
良さを知ってもらうことを目指している。
会員それぞれの得意なことを活かしている。例えば、料理を作ることが得意な人、こんにゃくづくりが得意な人、
農作業が好きな人。会はそういった人の寄り集まり。来てもらった人に楽しんでもらうのはもちろんだが、第一に
自分たちが楽しんで活動している。会員はボランティア。下ごしらえなど前日の準備から大変で、イベントを終え
て家に帰るとどっと疲れが出るが、それがなぜか楽しい。好きでないとできないこと。お客さんが少なく、会員の
数の方が多い時もあるが、それも良いんじゃないかと思って活動している。そのように暢気にしているので、あま
り利益が無い。利益が無くても、お客さんに喜んでもらおうと、精一杯のことをしている。この歳になっても目的
があることは大変良いこと。素晴らしいと思う。
農家レストランでは、地区で作った米や野菜を使った、家庭で作るような田舎料理を提供している。他にも、て
づくりこんにゃくと地元の卵、おかあちゃん秘伝のミソを使った「こんたま」という“ここにしかない”おでんを
考えて販売している。
今後の目標としては「下河内の日」の開催を月1回ではなく月2回にしたり、レストランの規模を大きくした
いという気持ちはあるが、会員の負担にならずに、気楽に続けていくことを第一に考えて、まずは会員をたくさん
増やしていきたい。
ひとつのことをしようと思ったら、一番大切なのはチームワーク。会が一丸にならないと何もできない。「下河
内の里山を守る会」は皆が平等で、頼り合って活動している。