「連携」で広がる可能性。7つの離島の連携による挑戦。(佐賀県唐津市玄海諸島)からつ七つの島活性化協議会|地域活性化100

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「連携」で広がる可能性。7つの離島の連携による挑戦。
からつ七つの島活性化協議会
佐賀県唐津市玄海諸島

佐賀県唐津市玄海諸島の地域の概要

唐津市を取り囲むようにして本土から1キロ未満の距離に7つの有人島(高島、神集島、小川島、加唐島、松島、
馬渡島、向島)が浮かぶ玄海諸島。それぞれの面積は0.63㎢〜4.24㎢で人口は57人から421人。7つの島を合
わせて1,770人(平成26年3月現在)が暮らしているが、ここ25年間で人口は半減している。定期航路船は
本土から各島に放射状に伸びていて島々を横につなぐ航路がないため、島間の情報交換・物流・人の交流が少な
くそれぞれの島は構造上孤立していた。
・高島(人口270人)
お参りすると宝くじが当るという宝当神社が有名。小学校卒業生が卒業制作で島のマップ
をつくり観光客に配るなど、島づくり事業実行委員会を中心に地域おこし活動も盛ん。
・神集島(人口395人)
神功皇后(西暦200年ごろ)が朝鮮半島へ渡る際、神々を集めて海の安全を祈願したという伝説のある島。
・小川島(人口413人)
捕鯨が盛んで日本3大捕鯨基地と唄われていたが、現在はイカ漁が中心。祇園祭などの
お祭りは、大人から子供までが参加し盛り上がる。捕鯨文化を伝承するため「小川島鯨骨切り唄」保存会が活動。
・加唐島(人口160人)
佐賀県の最北端に位置。百済(韓国)の国王「武寧王(ぶねいおう)」が生まれたとの
言い伝えがあり、最近では韓国との国際交流も盛んに行われている。
・松島(人口56人)
ほとんどの島民がカトリック教徒。島づくり事業として約160本のオリーブの樹を育てて
おり、1艘の船に乗り協力し合う海士漁が、国土交通省の「島の宝100選」に選ばれた。
・馬渡島(人口398人)
昭和4年に平戸から移築されたかイタリア様式のカトリック教会がある。100年ほど前から、
馬渡島独自の盆踊りが伝えられている。全国に散らばる「まだら節」の発祥の地。
・向島(人口63人)
海に潜ってサザエやウニ等を採る海士漁が盛ん。毎年夏に行われている「しま市」では、素
潜体験や網体験などの漁業体験が人気。小さいながらも海水浴場もある。

取り組みの概要:「連携」で広がる可能性。7つの離島の連携による挑戦。

平成24年、地域おこし協力隊として唐津市に着任した土
谷氏。島の若者数名を集めて意見交換を行ったところ、島を
活性化したい気持ちはあるが「何もできない」という諦めの
声が聞かれた。さらに、若い世代にも他島との交流はなかっ
た。以前から個々の島で活性化の取組は行われてはいたが、
外から人を呼ぶなどの活動は少人数の島民だけで行うには負
担が大きくなんとか継続はしているが、発展させることは難
しかった。こうした事態を受けて、土谷氏は「すぐ近くに同
じような境遇にある島があり、仲間がいること」を伝え、7
つの島が連携をすることを考えた。
まずは平成25年から唐津市内の山間部、七山地区にある
農産物直売所で各島の特産物2〜3品をそれぞれ持ち寄っ
て「からつ七つの島物産展」を開催。各島単独では開催が難
しい物産展を7つの島が合同で行うことにより22品目もの
「特産品」が集まり、「七つの島の連携」という珍しさにマス
コミの注目も集まった。1,000人以上の集客があり、20万円
程度の売上になった。この物産市は島の特産品PRにのみな
らず、各島間に良いライバル意識を生んだ。例えば、加工場
が無いために加工品の製造ができなかった島が、物産展で加
工品を販売していた他島に触発されて加工場を新設し「塩ウ
ニ」の商品開発をした。また、それまでほとんど交流のなかっ
た各島の女性たちの交流機会にもなっている。今では年に3
回の定期市として開催して好評を得ており、今年は年末に向
けた海産物の予約受付を行うなど毎回少しずつ変化を加えて
成長を続けている。また福岡への出店などにも挑戦している。
平行して、「離島代表者会議」を開催(年4回程度)。7つ
の島の区長が集まり情報交換や、各島が連携した取組につい
ての意見交換、意思決定を行う場とした。
さらに、主に各島の若者世代を繋げるための取り組みとし
て「島対抗スポーツ大会」を年に一度開催。ソフトボールと
交流会としてバーベキューを行っている。第一回の昨年は各
島から100名以上の参加者があり、この交流会がきっかけ
となって漁の方法に関する情報交換が行われるようになるな
ど、若年層の交流に貢献している。それまで交流がなかった
島々の連携による取り組みを行うことで、各島の個性が際
立ってきており、そうした個性を生かし、各島と大学との連
携による活性化の取り組みも行われている。
神集島では九州大学の学生が「廃校となった小学校を利用
したソーシャルビジネス」として、島の女性たちと「神集島
定食」を開発。島のツーリズムと組み合わせた「島ピクニッ
ク」という体験型イベントの企画等を行っている。小川島で
は中村学園大学が「小川島めぐりあいらんどプロジェクト」
として、小川島の活性化を大学のゼミのテーマとして取り上
げ、学生たちが島に滞在(一泊二日を数回)し、島の特産品
であるイカを活用した「イカ餃子」や、アカモクやすいおう
を利用したドレッシングなど、新しい特産品の提案を行った
りしている。
平成25年度に2島から始まった各島と大学との連携は、
若者の少ない島に大学生が入ることにより島の人々が刺激を
受け、自分たちの島について見つめ直すきっかけとなり、平
成26年度は4島で実施されることが計画されている。
活動開始から3年目となる現在では、各島の区長・婦人会・
若者有志等の島内、行政(唐津市・佐賀県)、に加え、大学、
島内の小中学校、NPO法人レインボー七つの島連絡会議な
ど、多様な主体を巻き込んだ動きに広がりつつある。

インタビュー:土谷朋子氏(離島担当/唐津市地域おこし協力隊)

唐津市地域おこし協力隊
離島担当
土谷朋子氏