川でつながるまちづくり(石川県七尾市)株式会社御祓川|地域活性化100

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川でつながるまちづくり
株式会社御祓川
石川県七尾市

石川県七尾市の地域の概要

能登半島の付け根に位置する七尾市(人口約47,000人)は、古くから港町として栄えた能登の中核都市である。
平成16年の市町村合併によって七尾湾の能登島町、中島町、田鶴浜町の七尾市が発足した。七尾市が面している
七尾湾は、豊かな里山に囲まれた静かな海で牡蠣の養殖が盛んで、能登かきとしてブランド化され、首都圏などに
も多く出荷されている。また、市内には民間調査の接客サービスで日本一の評価を受ける旅館がある和倉温泉など、
いくつかの歴史ある温泉街があり、年間100万人を超える観光客が訪れるなど観光産業も一つの柱となっている。
人口の推移は昭和45年には約68,300人だったが平成22年には約57,900人と徐々に減少している。また、JR
七尾駅周辺の中心市街地の空洞化も課題である。

取り組みの概要:川でつながるまちづくり

株式会社御祓川(以下、御祓川)は平成11年に設立さ
れた民間まちづくり会社である。
七尾における民間主体のまちづくりの歴史は昭和の終わ
り頃まで遡る。当時、七尾市の中心市街地の衰退が進み、
街の活気が失われていた。これに危機感を感じて立ち上
がったのが、当時の青年会議所の地元の若手だった。彼ら
は古くから栄えた七尾港を中心に据えた「港を中心とした
まちづくり」をコンセプとして「七尾マリンシティ構想」
を立案。平成3年には、今も年間90万人を超える観光客
で賑わう「能登食祭市場(海産物の直売や飲食店)」を開
店した。平成7年には七尾駅前再開発も行われ、中心市
街地に2つの核が生まれた。
七尾の市街地にはこの二拠点をつなぐメイン通りがあ
り、それに沿って流れるのが御祓川である。メイン通りと
御祓川の賑わいの創出は、市街地活性化にとって欠かせな
いものだったが、当時は汚染されたドブ川となっていた。
街の顔でもあるこの川を市民の力で浄化し、市民の意識ま
でを変えることでまちづくりとしようと設立されたのが株
式会社御祓川である。
御祓川の事業は「まち育て」「みせ育て」「ひと育て」の
3つから成る。
一つ目の「まち育て」では御祓川の浄化に関する取り組
みを行っている。水質浄化ワークショップやシンポジウム
を開催し、官民一体の共同研究体で地元の企業や大学の智
恵を集め、民間まちづくり会社である御祓川が繋ぎ役として
の役割を果たしている。平成17年度には、市民の手づくり
による「御祓川方式浄化施設」を完成させた。近年では地域
のNPOとも連携して川を中心とした市民コミュニティ形成
のための取り組みも行っている。他にも「七尾旨美オンパク・
うまみん」を運営しており、地元住民しか知らないB級グ
ルメの食べ歩きといった、たくさんの小さな体験プログラム
を提供している。
二つ目の「みせ育て」では、御祓川沿いを中心とした中心
市街地の賑わいを創出することを目指し、市内の店舗や、能
登特産品を扱うネットショップのプロデュース、商品開発等
を行っている。地域のTMO(タウンマネージメント機関)
や行政との連携をしながら、御祓川沿いに貸店舗や拠点施設
をつくっている。現在、御祓川の本社ともなっており、かつ
ては銀行の建物であった「商業インキュベーター施設・寄合
処御祓舘」は新規開業者のための貸店舗として整備され活用
されている。
店舗プロデュース事業では、個店の事業計画を検討やマー
ケティングなどの具体的事業のプロデュースを行っており、
御祓川の直営店として、地域の作家が作成した工芸品を扱う
「ギャラリー葦」や、特産物である魚醤を利用した料理を提
供する「まいもん処・いしり亭」を経営。他にも数店の個人
店舗のプロデュースも行っている。魅力のある店を地道に一
つ一つ作っていくことで町全体の魅力を作り出している。
他にもWEBショップ「能登スタイルストア」を展開し、
地域の特産品開発等を行い、能登半島で一次産業やものづく
りを行う事業者の応援をするなど地域商社的な役割も担う。
最後の「ひと育て」事業では長期実践型のインターンシッ
プ事業や、地域の企業と若者のマッチングや、ワークショッ
プ研修などを行っている。
現在、最も力を入れている「能登留学」では、学生が「留学先」
である能登の地元企業に3ヶ月から1年間の留学をする「実
践型インターン」である。実際のプロジェクトに参加して、
地元企業の経営課題解決に挑戦することで、地域における仕
事づくりの促進と学生自身の成長を図ることを目的としてい
る。平成22年に開始し、これまでに10名以上が参加した。
ほかにも、地元商業者や経営者を対象に経営革新のための
マーケティング座学とフィールドワークを行う「マーケティ
ング塾」や各種セミナー。「まちづくり塾」では市職員・会社員・
学生などを対象とし、地元まちづくりの担い手を育成する講
義を行った。
「まち・みせ・ひと」の3つがそれぞれに良い関係あるま
ちを目指し、実業等を通してきちんと収益を上げながら、そ
れを街に還元していく取り組みを続けており、民間まちづく
り会社のあり方を示している。

インタビュー:森山奈美氏・森山明能氏(株式会社御祓川)

株式会社御祓川
森山奈美氏・森山明能氏