市町村合併後の地域サービスを担う住民によるNPO法人(新潟県上越市)NPO雪のふるさと安塚|地域活性化100

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市町村合併後の地域サービスを担う住民によるNPO法人
NPO雪のふるさと安塚
新潟県上越市

新潟県上越市の地域の概要

上越市安塚区(旧安塚町)は、冬季は平地で平均2m、山間部で平均4mの積雪がある豪雪地帯である。昭和
35年には10,000人を超えていた人口が、平成22年には約3,700人(約1,150世帯)にまで減少した。昭和50
年代、地域住民にとって大きな障害であった大量の雪を逆手に取った町おこしを始めた。雪が珍しい太平洋側や南
国に向けて雪そのものを商品化として送る「雪の宅急便」、450tもの雪を東京・後楽園球場に運び込んでのスノー
フェスティバルなど、雪を活用した取り組みで注目を浴びた。平成2年にはスキー場、温泉施設等をオープンさ
せて観光振興を進め、現在では年間50万人を超える観光客が訪れる。

取り組みの概要:市町村合併後の地域サービスを担う住民によるNPO法人

合併前の旧安塚町では、町民に花の苗を配布し、ロード
サイドなど町中に花を植える活動「花いっぱい運動」、雪
像とキャンドルで幻想的な景色を演出している「灯の回廊」
安塚キャンドルロード、地域の環境を生かした都市住民と
の交流事業、日本一の福祉を目指した各種のボランティア
事業等の様々な地域づくり活動が行われていた。
平成17年の市町村合併を契機に、旧町の時代から続い
てきた取り組みを、行政とは違う新たな組織で引き継ぐこ
と、地域の住民の安心・安全を確保することを目的として
「NPO法人雪のふるさと安塚」が設立された。
活動の範囲は、現在の上越市安塚区(旧安塚町内)で、全
住民を対象に1世帯1名以上が正会員となることを目指
して、当初は87名の準備委員会を立ち上げ会員の募集を
始め1,024名が参加した。
雪のふるさと安塚は5つの「部会」に別れ、各部会に
20名程度が所属して広範囲にわたる活動を行う。
第1部会では「支え合い安心して暮らせる環境づくり
事業」として、地域の福祉・子供・女性・健康に関連する
事業を行っている。子供に関する事業では、子供会の運営
や子供の放課後を見守る活動を市からの受託事業として行
う。福祉事業では高齢者の生活支援や、独居高齢者の安否
確認なども行う。これまでは「町」が行ってきていたが、
合併によって維持できなくなった地域生活サービス全般を
行政に代わって担っている。
第2部会では「自然と食を活かした産業を育てる部会」
として地域産業の振興を行う。地域を支える産業を生み出
すことを目指し、近年ではかって行われていた楮を原料と
した和紙作りを行う。まだ大きな産業にまで育つものは生
まれておらず、部会員たちの試行錯誤が続いている。
第3部会では「豊かな心を育む部会」として地域の文
化向上を目的とし、講演会やコンサート等の文化活動の企
画運営を行う。
第4部会では「観光・交流部会」として、「黄金の回廊
(ヤナギバヒマワリのシーズンに合わせた花のイベント)、
「灯の回廊」安塚キャンドルロード雪景色の中でたくさん
のろうそくを灯すイベント、「スノーフェスティバル」な
ど、旧安塚町の頃から続いてきた各種のイベントを継続し
て企画運営している。第5部会は「情報発信部会」として、
インターネットや「NPOだより」など各種広報資料を通
した地域の情報発信を行っている。
これらの部会活動の他にも、町内会や自治会組織の活動
への支援や、住民による地域活動を支援するための事業費
助成(1事業10万円限度)を行い、住民の自主的活動に
対する支援も行っている。
自主事業に加えて、活動のもう一つの柱となっているの
が上越市や観光協会、農業振興公社からの受託事業を行っ
ている。受託事業としては、これまでに行ったものを含め
て「高齢者支援事業」「敬老会、放課後児童クラブの運営」
「地域情報を自主的に放送するケーブルテレビ番組制作事
業」のほか、市道や林道の管理など多岐にわたる。
活動の内容は、福祉事業やイベントの企画運営から道路
の整備と、雪のふるさと安塚は、旧安塚町役場が行ってい
た公共サービスを引き継ぎ、地域において欠かすことの
できない存在となっている。会員数は平成26年は正会員
760名、賛助会員139名、企業会員36団体となっている。
地域の高齢化、人口減少はさらに進行することが予測さ
れ、さらにその役割は重要となる。今後は、行政と市民と
のパイプ役としての役割をさらに強くすること、自立した
地域産業の創出、高齢者の増加に対応した有償ボランティ
ア事業の確立、若者の移住促進の取り組みなど、今後も取
り組むべき課題が山積している。そうした中で、NPOの
組織だけで今後の活動のすべてを継続していくのは困難で
あり、行政とのより強い協力体制による運営も必要となる。

インタビュー:岡武夫氏(事務局長/NPO雪のふるさと安塚)

NPO雪のふるさと安塚
事務局長
岡武夫氏