地域の「情報のハブ」になる公立図書館(鳥取県鳥取市)鳥取県立図書館|地域活性化100

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地域の「情報のハブ」になる公立図書館
鳥取県立図書館
鳥取県鳥取市

鳥取県鳥取市の地域の概要

鳥取県の人口は588,667人であり47都道府県中47位)ピークは昭和63年の616,371人。鳥取県の人口は昭
和54年に60万人台に乗せた後、平成19年までの29年間に渡って60万人台を保ってきたが、平成20年に60
万人を割ると減少を続け、平成25年には58万人弱である。

取り組みの概要:地域の「情報のハブ」になる公立図書館

鳥取県立図書館では平成16年、「役に立つ図書館」「課題解決
型の図書館」を掲げ、低迷していた地域経済活性化を目指して「ビ
ジネス支援委員会(図書館長と若手の図書館職員、鳥取県商工会
議所、産業技術センターらが参加)」を立ち上げたことに始まる。
同館では多様な情報(企業情報、業界情報、技術情報等)を整備
するとともに、職員のスキルアップ研修等を積極的に行った。ま
た、各種団体が主催する勉強会(研修会や創業塾等)に、それぞ
れの会の趣旨に合った本を持参し、展示・複写・貸出をして図書
館の利用価値をPRする「営業活動」(年間100回以上)を行っ
てきた。鳥取県立図書館の取り組みは主に「少子・高齢化」や「持
続可能な社会の実現」と言った社会課題に対応するべく、以下の
ような取り組みが行われている。
1.持続可能な社会の実現のための取り組み
ビジネス支援サービス、行政支援サービス、郷土情報サービス、
国際交流ライブラリー、「児童」「学校図書館支援」等、人づくり
教育に関する事業として、書店で購入できない資料の提供(民間
調査会社の市場レポート、専門書等、有料データベースの無料利
用、図書館が契約する企業情報、商圏分析等)などの利用者のニー
ズにきめ細やかに対応する仕組みを整備している。また、情報の
提供のみならず、研修等を受けた職員によるリサーチ補助サービ
スも提供しており、特にビジネス関連で年間2,000件を超える相
談が寄せられている。さらには、これまでに図書館が各種営業活
動等を通して築いてきた関係を生かし、利用者の必要に応じて各
種支援機関(商工会議所、商工会連合会、産業技術センター、産
業振興機構、日本政策金融公庫)等と利用者を直接つなぐことも
行っている。単なる情報の提供に限らず、ビジネスにおいて必要
な相談や、関係各所との紹介等も行っている。
2.少子・高齢化に対応する取り組み
鳥取県立図書館では、もう一つの地域課題解決のための取り組みとして「少子高齢化問題」に役立つ情報提供に
も力を入れている。代表的なものは「医療・健康情報サービス」である。このサービスは、「不安を安心に変える」
をキャッチフレーズに最新の医療情報、病院や医師の情報、闘病記等の情報を整備し、病気と向き合うために必要
な情報を一元的に整理した。これまでの図書館では書籍の分類は統一ルールに基づいて画一的に行われていたため、
例えば「闘病記」は「エッセイ」等のコーナーに置かれていたがそれを本当に必要としている人の元に届くことを
目的として鳥取県立図書館独自の配架を行っている。
他にも、図書館の中央部分に「いきいきライフ応援サービスコーナー」という本棚を設け、高齢の作家の作品を
集めた「100歳文庫」、脳トレや健康法の本、人生を楽しく生きるための趣味の本など、高齢者が「よく生きる」
ための情報を集めており、常に補充をしなければ間に合わないほどに好評を得ている。この他にも「子育て応援サー
ビス」「児童サービス」など、暮らしの中にある様々な場面に対応したコーナーが並んでいる。そして、それらの
全てについて、本を借りるだけではなく図書館員に相談することが可能であり、望めば専門機関等への紹介もして
くれるという点が非常に特徴的である。
このほかにも、館内蔵書を翌日着で県内各地の公立図書館や学校図書館に届けるサービスも行っており、年間に
7〜8万冊の書籍が鳥取県内各地に配送されている。また、図書館主催の各種ビジネスセミナーの開催や、図書館
を活用してビジネスを行った事例を表彰する「図書館で夢を実現しました大賞」などの様々な取り組みを行う。こ
うした図書館の取り組みの結果、地元小企業と図書館が二人三脚で新製品開発をするなど、これまでの図書館の役
割を超えた新たな図書館像が生まれている。

インタビュー:小林隆志氏(鳥取県立図書館支援協力課長)「地方の公立図書館は地方の「情報のハブ」になれ」

地方の公立図書館は地方の「情報のハブ」になれ
小林隆志氏
鳥取県立図書館支援協力課長
地方の人は、田舎は「情報貧乏」だということを認識する必要がある。都市と地方の情報格差は情報通信技術の
発達等によって是正されているかのように言われるが、依然として格差は大きい。
例えば、学術書や専門書は一般的に2,000部程度しか出版されないが、書店は全国に10,000万件、公共図書館
は3200件あり、すべての書店や図書館に書籍が行き届かないというのが現状だ。図書の多くは売り上げが多い都
市部の書店や、都市の大規模図書館に集中し、都市と地方の情報格差は広がり続けている。
今では盛んに「地域間競争」を推奨するが、何もしなければ地方の人は圧倒的な「情報ハンデ」を抱えた状態で
競争をすることになってしまう。情報格差を埋めるためにも、地方における公立図書館の役割は大切だ。さらには、
地方の財政が厳しい状態にある現代だからこそ、地域の図書館から各種研究機関まで各地に点在している資料類を
公立図書館に集約することで、誰もが情報にアクセスすることが可能になり、無駄なく最大限に情報を生かすこと
が可能になる。地方の公立図書館は今後益々、地方の「情報ハブ」としての存在感を増していく必要がある。