「ふるさと納税」の活用による地域の活性化・課題解決(三重県松阪市)松阪市|地域活性化100

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「ふるさと納税」の活用による地域の活性化・課題解決
松阪市
三重県松阪市

取り組みの概要:「ふるさと納税」の活用による地域の活性化・課題解決

1.制度の概要
全国で平成20年より始まった「ふるさと納税制度」であるが、その募集・運用方法については各自治体で自由
に設定ができる。三重県松阪市では平成22年度より、寄付者の希望により寄付の使途を指定できるようにした。
そして翌年度より、市では地域自治・まちづくりの自主的な進展を促進するために地区ごとに住民協議会の設置を
進めたことを受け、“ふるさと「地域力」サポート制度”という枠を設けた。これにより、寄付者は市に「ふるさ
と納税」をすれば、直接、各住民協議会の歳入に入れられるようになった。なお、市内で43の住民協議会が全市
をカバーする形で設置されている。
2.寄付の状況
「ふるさと納税」は当初、平成22年に30万円であったが、平成25年には約10名から250万円強が集まり、
市民が寄付する例も散見される。積極的に寄付金を集める地区や、医者などの高額納税者による高額寄付がある地
区など、地区ごとに取り組みが活発化している。年間100万円程度の事業費の住民協議会が多い中で、かなり重
要な収入源として今後も活用が期待されている。なお、松阪市では、高額の「ふるさと納税」をいただいた方に、
お礼として特産品として「松阪牛」の肉を提供しており、これを目的として寄付する人もいる。

事例インタビュー①豊地公民館館長中山晃氏(最も多くの人が「ふるさと納税」をしている地区)

1.地域の概要
豊地地区は、松阪市街から車で約20分に位置する農村地域で、「豊地」との漢字にもあるように、地区は清流
中村川を中心に肥沃・豊かな土地が南北に広がり、米やトマト、ミカン、ビワの産地となっている。このことから、
豊地まちづくり協議会だよりのタイトルも「豊穣の地」としている。昭和25年の市町村合併前の旧豊地村がエリ
アとなっており、小学校や保育所等も立地している。
2.寄付の状況
豊地地区では、1年目に9名から52万円、2年目に7名より36万円の「ふるさと納税」が寄せられた。寄付のあっ
たお金は、年2回、地区からの使途申請に基づき市から交付される。
まちづくり協議会の年間予算は約300万円である中、「ふるさと納税」によって50万円程度の上乗せがあると、
地域が必要とする事業やイベントを数多く展開でき、都合がよい状況にある。寄付の募集に関しては、当時のリー
ダーが熱心で、住民等に対して地区出身者等に「ふるさと納税」を呼び掛けることを提案して回った。現在は、協
議会だよりに記載して寄付の広がりを呼び掛けている。当初予算案に対して、前年度の寄付額に基づいた交付金が
支給されることから、直近の受け入れに対しては補正予算を組んで対応している。ただ、新しい事業を展開するこ
とは合意形成をする上で難しく、既往の事業の拡大や一部負担の低減化として活用することになる。お礼として、
寄付額の1割程度相当のみかんやトマトなどを手紙とともに送っている。市では、高額寄付者に対しては松阪牛ま
で送っている。
3.使途の状況
地区では、事業計画に取り組む事業を位置づけ、協議会承認を受けて配分して活用している。具体的には、生活
環境の維持を図るために、地区体育祭の参加賞の購入費や成人式を迎える地区住民への記念品購入費、地域交流イ
ベントの経費として活用されている。特に、移動に困る高齢者が多いことから、コミュニティバス回数券について、
高齢者に対して半額を補助として活用している。
4.今後の予定
年間数百万円もの「ふるさと納税」があったとすると、逆に地区では使い切れず、余計な事業も展開する恐れが
あるなど、お金に振り回される恐れもあるので、現状程度の規模でよく、今後もほどほどにPRをしていくことと
している。地区としてこんなことに取り組むべきだという大きな課題はなく、無理してたくさんの「ふるさと納税」
を集めることは考えておらず、ほどほどに集め、活用できるとよいと考えられている。
5.「ふるさと納税」を多く集めるポイント
出身者に対して、住民自らが「ふるさと納税」を呼び掛けることが重要である。お礼の品で知らない人から寄付
を受けるのではなく、地域でお礼を伝えながら継続的に受ける形の「ふるさと納税」が望まれる。

事例インタビュー②宇気郷住民協議会会長大石正幸氏

1.地域の概要
宇気郷地区は、柚原町、後山町、飯福田町、与原町の4町から成り、松阪市街から車で約30分の山里にある。
昭和40年代には1,000人いた人口も、現在は212人にまで減少した。高齢化率も70%を超え、一人暮らし世帯
も45%を超えている。しかし、熱心にまちづくり活動が行われてきたこともあって地区を支えるファンも多く、
イベントの参加のみならず草刈りへのボランティアも多い。
2.寄付の状況
これまでに延べ6名、20万円の寄付が集まっており、中には市民からの寄付もある。地区としては、特に「ふ
るさと納税」の呼びかけをしてはいないが、ファンからの寄付が多くを占める。
3.使途の状況
地区ではこれまでに、協議会で行う春のイベントであるひなまつりに対して経費等に充てた。このイベントでは、
各家で、各々が所有するひな人形を展示して来訪者に対して自由に見せるとともに、ぜんざいやコーヒーを出す店
などを出しているが、9日間で2,000人が訪れる大きなイベントに成長してきた。
4.今後の予定
協議会において自由に使えるお金を自ら集める感覚が芽生えてきたので、より多くの「ふるさと納税」を集めて
活用したいと考えるようになってきた。特に、移動困難な高齢者が増えている中では、路線バスに加えて地区で移
動を支えるためにワゴン車を買えるくらい集まるとよいと考えている。
5.「ふるさと納税」を多く集めるポイント
「ふるさと納税」を多く集められるかどうかは、リーダーや地区住民の行動によるところが大きい。重要な資金
源になるとの認識が広がってはおらず、地区(協議会)ごとに、集める意欲・取組意欲は大きく異なる。
ふるさとを思う気持ちを日々育て、転出する子供や地域のファンに対しても働きかけを行うことが重要である。
また、「ふるさと納税」を使って取り組みたいことを地域であらかじめ決めて提示するなど、効果的に情報発信し
ていくことも重要である。