産業構造の変化に対応する中小企業の産業集積の形成と変革(イタリア)|地域活性化100 海外事例

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産業構造の変化に対応する中小企業の産業集積の形成と変革
イタリア
面積:30.1万㎢人口:6,080万人(外務省2014)

イタリアの地域の概要

イタリアの国土面積は約30万km²で日本とほぼ同規模であり、人口規模
は約半分となっている。国土面積は相対的に小さいため、欧州の中で最も人
口密度の高い国のひとつとなっている。その地理的条件から、歴史的に地中
海諸国と密接な関係を維持してきたことが、イタリアの地域性・歴史を形づ
くってきた。北部のミラノ市、トリノ市、ジェノバ市のいわゆる工業の三角
地帯が経済の中心であるのに対して、ローマ市やフィレンツェ市が観光や政
治の中心地となっている。また、南部は依然として農業を主産業としており、
近代的発展の必要性が叫ばれている。

取り組みの概要:産業構造の変化に対応する中小企業の産業集積の形成と変革

▼地域の課題:イタリアの繊維産業は1980年代には新興工業国からの繊維
製品の流入もあり深刻な危機に陥った。このとき特にコスト競争力が重要な、
中・下級製品については競争力を失い、企業の淘汰が進んだ。
▼取り組みの概要:イタリアの北部を中心に、中小企業の産業集積の形成と
変革を行った。産業集積(産地)には、コモ(絹製品)、ブリアンツア(家具)、
モデナ(ニット・タイル)、プラート(繊維)等、零細な中小企業による産
業集積が多くみられるが、これらは70年代後半頃に現れ、以後急速に成長し、
90年代の経済構造の大きな変動にもかかわらず、柔軟に適応して成長を続
けている。イタリアの繊維・アパレル等の産業集積地は、狭い地域に集積し
た零細な中小企業群による分業体制を取っており、以下の特徴が挙げられ
る。(1)多様な繊維に対応:テキスタイルからアパレルまで全製造過程があ
り、化合繊から綿、ウール、シルク、麻など全テキスタイル分野にわたりあ
らゆる素材の産地がある。そして布島からニット、アパレル製品まで、すべ
てが国内にある。化学繊維はドイツに次いで西ヨーロッパで第2位,羊毛工
業は世界のトップであり,染色(とくにプリント)では、コモ湖周辺の産地
は世界最高である。(2)社会的分業システム:紡糸・撚糸・織編・染色・仕
上げ加工・縫製と業種別に分業化。(3)多品種少量短サイクル生産方式:消
費者ニーズの個性化、高級化、多様化等の需要構造の質的変化に対応し、こ
れまでの少品種大量生産方式から多品種少量短サイクル生産方式に転換。(4)
柔軟な対応:生産システムは、独立性,自律性の強い中小企業が、各生産段
階に多く存在し、フレキシブルで柔軟性があり、ニーズの変化への反応が非
常に早い。(5)設備・研究へ投資:高品質、高性能製品開発への意欲が強く、
設備や研究開発への投資は世界でもトップクラス。(6)豊かな創造性で差別
化:色彩、シルエット、デザイン(意匠)等において創造性に優れている。
イタリアには世界的に著名なデザイナーがいるが、アパレル部門だけでなく、
各ゾーンにスペシャリストがいる。(7)繊維産業関連の人材育成:イタリア
には専門学校、カレッジ、大学等、繊維学をもつ高等研究教育機関が10校
あり、年平均5,000人の卒業生を世に送っている。

産業構造の変化に対応する中小企業の産業集積の形成と変革の成果

地域内のネットワークを束ね、企画・販売面で重要な役割を果たすオーガ
ナイザー企業は、ファッションと流行のクリエーターとして市場の動向をつ
かみ、新製品の企画やデザインを行う一方、地域内の企業・職人の情報に熟
知し、彼らに注文を出し生産をコーディネートする。地域での濃密な情報の
共有がこのような柔軟な分業を可能にし、消費者ニーズの変化に応えつつ多
彩な製品が供給された。またこれらの集積地は、大学の誘致や研究所の設立
等に力を入れ、世界市場への売り込みをかける展示会の開催や人材の育成を
地域で挙げて行ってきた。さらに、集積地やその周辺には、高度な技術をもっ
た繊維機械メーカーや、企画、デザイン、開発、マーケティング、コンサルティ
ングを行うサービス事業者が多く立地しており、メーカーの事業をサポート
している。また、産地独自の輸出組合・金融支援機関等による中小企業支援
策も充実している。独自の生産工程を確立することにより多品種少量生産に
対応している事例であり、多くの中小企業がイタリアの産業を支えている。
原材料や繊維も見直し、設備や研究に投資することによって、より良い生産
環境が作ることが出来た。

出典

■F-4イタリア産業構造の変化に対応する中小企業の産業集積の形成と変革
構造改革を乗り越えて地域を活性化させるには(日本総研)http://www.jri.co.jp/page.jsp?id=14270
イタリア経済と集積http://www.meti.go.jp/hakusho/tsusyo/soron/H14/04-03-01-02.html
イタリア繊維産業の発展と今後の課題https://www.jstage.jst.go.jp/article/sisj1986/1993/8/1993_8_1/_pdf
外務省公式HPhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/area/italy/data.html#section1