「地域活性化のための面的支援」調査研究報告書

「地域活性化のための面的支援」調査研究報告書

商工会議所による「地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト」等の支援事例研究
2015 年 3 月
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
経営支援部 支援機関サポート課

「地域活性化のための面的支援」調査研究報告書

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目 次
はじめに
Ⅰ.序章 地域活性化について
Ⅰ-1.地域を取り巻く状況と諸問題
Ⅰ-2.地域活性化の考え方
Ⅰ-3.地域資源を活かして地域を活性化する
(1)地域活性化の推進体制
(2)地域資源とは
(3)地域資源を発掘する
(4)地域資源を絞り込む
(5)地域資源を編集して地域らしい商品・サービスを創造する
(6)商品・サービスの販売チャネルを考える
(7)商品・サービスのプロモーション
Ⅰ-4.地域活性化のための「面的」支援の捉え方
Ⅱ.本章 事例調査に基づく研究報告
Ⅱ-1.本調査報告書で採り上げる地域活性化のテーマ
Ⅱ-2.商工会議所による地域活性化のための面的支援事例
(1)46 事例の傾向
(2)事例の成果
①46 事例の成果
②4 テーマ別の成果
Ⅱ-3.取材 19 事例の研究
(1)4 つのテーマ別区分とマーケティング視点による分析
1.テーマ別区分
2.4 テーマごとのマーケティング視点による整理
A.地域資源活用
B.地域ブランド化
C.観光
D.まちづくり
(2)事業推進形態の類型と支援プロセスの特徴
1.事業推進形態の類型
2.類型別の支援プロセスの特徴
①商工会議所事業牽引型
②地域機関連携型
③外部の地域プロデューサー活用型
④参画事業者主体型
⑤参画事業者成長型
【参考】46 事例の事業推進形態の類型
(3)支援プロセスの体系
(4)面的な地域活性化のポイント
(5)面的な地域活性化の課題
■附属資料:支援者のための地域活性化ツール
 地域経済活性化支援ツール(1)_地域資源テーマ発掘シート.pptx
 地域経済活性化支援ツール(2)-1_地域活性化計画シート.doc
 地域経済活性化支援ツール(2)-2_地域資源活用計画シートの概算費用計算用.xls
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はじめに
平成 26 年 5 月に日本創生会議が発表した日本の将来についての報告は衝撃的でした。その内容
は、2040 年には全国の半数にあたる 896 市町村で、子供を産む中心世代である 20~39 歳の若
年女性の人口が 2010 年と比べて 5 割減少し、自治体が消滅する可能性があるという人口推計でし
た。1,800 市区町村の内、人口が 1 万人未満になる自治体は 523 に上りました。特に若年女性の
流出が多い自治体では、合計特殊出生率を引き上げても急激な人口減少が起きると予測しています。
人口減少期に入った日本の市場において、人が流出しない、人を呼び込む「地域活性化」は内需
を掘り起こすための重要なテーマの一つです。地域の人たちが、地域の様々な資源を活用して新し
い価値を創造し、地元やその他の地域の人々に価値を提供する仕組み=地域活性化が全国で求めら
れています。

地域活性化にはその地域に住む個人や企業の参加・活動が不可欠です。そのためにはそれらの人
たちを会員として保有し、個別にコミュニケーションをとっている商工会・商工会議所が地域活性
化のプロデューサーやコーディネーターになることは親和性が高いと言えます。
地域活性化には準備段階、試作品製作段階、販路開拓段階、プロモーション段階等で費用が発生
するケースがあり、国・県・市等の補助施策等を活用することが多くあります。また、支援機関独
自の予算を使用する場合ももちろんあります。そのような時に普段から補助施策活用支援等の経営
支援に携わっている商工会・商工会議所が地域活性化の中核に存在し、地域活性化事業を推進して
いくことが必要ではないかと思われます。
平成 27 年度からは、国は、農商工連携により規格外品・低未利用資源などを利活用した新商品・
サービスの開発、製造事業者と連携した「ふるさと名物」の開発・改良、販路開拓等を行う小売事
業者等を支援するとともに、中小企業グループによる消費者へのブランド訴求力を高める取り組み
や地域を巻き込んだ着地型観光の取り組みを支援する計画を立てています。
商工会・商工会議所では、平成 18 年度から、国の補助事業である「地域力活用新事業∞全国展
開プロジェクト※」などを活用して、地域産業の育成に努めています。本書では、日本商工会議所に
ご協力いただき、各地商工会議所が地域活性化に向けた面的支援をどのように行っているのか、そ
の成功事例を調査することで、支援ノウハウや支援ポイントを抽出しました。地域活性化を担う支
援機関の事業活動にご活用いただければ幸いです。

【地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト】
地域の小規模事業者による全国規模のマーケットを狙った新事業展開を促進するため、地域の資源を活か
した(1)特産品開発事業 (2)観光開発事業(着地型観光開発を含む) (3)特産品・観光開発事業
(4)コミュニティビジネス創出事業 に対する支援策。補助対象者は、商工会、都道府県商工会連合会、
商工会議所。
※本支援策を活用した支援は、商工会、都道府県商工会連合会でも行っていますが、本研究で取材等研究
対象としたのは、商工会議所が支援した事例のみとなります。
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Ⅰ-1.地域を取り巻く状況と諸問題
①地域が元気を失っている背景=地域の構造的な変化
・総人口減少、少子高齢化および生産年齢人口の減少・割合の低下
・ライフスタイルの変化(世帯人数の減少、結婚や就職が困難な若者・中年の増加等)
・国際競争・地域間競争の激化(系列分業の緩み、工場移転、新興国との競争激化等)
・商工業者数の減少(工場や事業所、小規模・中小企業等の減少)及び商工業者数の減少が地域へ
の人口定着を阻害
・国・地方の財政悪化(長期債務残高の増加、事業費・補助金の削減等)

②地域の構造的な変化によって発生している諸問題
・人口の減少や需要の減少、中心市街地の衰退により、地域商業が衰退している。
・国際競争の激化により、企業の製造拠点は、海外移転等による生産体制の見直し等で縮小・撤退
が進み、関係企業群が影響を受けている。
・競争力が弱く、技術継承が進まない地場産業や農林水産業が衰退している。
・業績悪化に伴う廃業・倒産および低迷する創業等により、地域経済の担い手である中小企業が減
少しており、地域の雇用・所得が減少している。
・中心市街地の衰退や地域の魅力喪失により来街者や交流人口が減少している。
・雇用機会の減少や住環境の利便性の低下等により、居住人口が減少している。

Ⅰ.序章
地域活性化について
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Ⅰ-2.地域活性化の考え方
「地域」は、商工業者のビジネスの基盤であり、商工業者の従業員を含む住民の生活の場である
ため、地域が元気になることは、その地域の関係者にとって、極めて重要なものです。
地域を元気にするためには、地域内の所得を地域内で循環させる「地産地消」と、地域外のヒト・
企業・カネを地域内に呼び込み、地域内に所得を発生させる「地域外需要の取り込み」により、地
域内に企業の投資を促し、家計の所得を増やし、消費が拡大する「好循環」を起こすことが求めら
れています。
好循環を起こすためには以下のようなアクションが必要となります。
① 地域内の「定住人口の増加」や「企業の増加」により消費を促す(定住人口の増加、創業、企
業誘致)
② 地域内の企業が生産した「製品を地域外で販売」する(地域外マネーの獲得)
③ 地域内に「観光客を呼び込み」消費を促す(交流人口の増加)
■地域活性化のための好循環を起こす(イメージ)
Ⅰ-3.地域資源を活かして地域を活性化する
地域活性化の切り札として「地域資源」が活用されています。地域資源とは「その地域ならでは
のリソース(産業資源)」のことです。特産品や観光名所などを指します。この概念が広まる契機
となったのは、2007年6月施行の「地域資源法(中小企業地域産業資源活用促進法)」でした。
地域外
域外企業
製品・サービス 製品・サービス
地産地消
交流人口
:ヒト・企業の流れ
:製品・サービスの流れ
域外需要の
取り込み
地域内
ヒト
定住人口
既存企業
創業
企業誘致
生産者
地域内交流
域外人口
企業
既存 新規
雇用
増加
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地域資源を活用した新たな商品・サービスを開発することで、取引や雇用を拡大し、地域経済を
活性化する。この仕組みは、まず都道府県が地域の産業資源を、①農林水産物 ②鉱工業製品及び技
術 ③観光資源の3類型の中から、「地域資源」として指定します。それを活用した事業計画を中小
企業が策定し、国の認可を受けることで、新ビジネス創出のためのさまざまな支援措置が受けられ
るというものです。
今までに指定された地域資源は約14,000あります。事業者や自治体等のアイデアと意欲を刺激
し、地域団体商標制度と相まって、新たな「地域ブランド」誕生を後押ししています。
2007年6月の施行から7年が経ち、国が認定した事業は約1,300件(2015年1月現在)となっ
ています。地域の特産物を活用して活性化を図るという目的のもと、中小企業者の新事業展開をサ
ポートし、相応の効果があったと思われます。
しかし、言い換えると14,000件のうちの1,300件の認定ですからまだ休眠している資源がいっ
ぱいあるということです。そのような休眠している資源を発掘し、磨き上げ、さらに付加価値を高
めていくことが期待されています。ここでは、地域資源を如何に発掘し、編集して事業化していく
か、その流れを考えてみたいと思います。
(1)地域活性化の推進体制
地域活性化推進には、商工会・商工会議所が中心となって事業を推進しながらも地域における多
様な主体がプレーヤーとして参画する必要があります。また、地域内で幅広い内容の取り組みを行
う場合、様々な関係者が協議するための受け皿となる組織(検討委員会など)が必要になります。
事業の特徴に応じて、様々な専門家を活用して専門家の助言をもとに取り組みを行っているケー
スも数多く見受けられます。特に参画事業者だけで検討すると、その方向性に偏りが出るケースな
どは専門家を活用することも検討します。
以下、事業実施のポイントについて説明します。
①必要なメンバー集め
すでに何らかの取り組みがある場合は、既存の体制を軸にメンバーの過不足を調整します。新
しい取り組みの場合は、キーパーソンを中心に商工会議所から声をかけます。事業の内容・目標
を踏まえて戦略的なメンバー集めを行うことがポイントとなります。また、商品開発にあたって
は、ターゲット層を想定したメンバーを選定することも有効です。

②事業推進体制のポイント
事業推進には、事業そのものを具体化していくプレーヤーと事業を支援していくプレーヤーが
必要となります。そして、両者が緊密に連携しながら事業を推進していく必要があります。

③専門家の活用
専門家を活用する場合、その事業にとって必要な知見は何かを整理して依頼することが必要で
す。あくまで事業の主体は、地域の事業者と商工会議所ということを忘れずに、専門家からは事
業成功のためのアドバイスを受けるというスタンスが必要です。

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(2)地域資源とは
「地域資源活用促進法」で定める地域資源は以下の 3 つです。
① 地域の農林水産物または鉱工業製品
② 地域特産物の鉱工業製品の生産に係る技術
③ 文化財、自然の風景地、温泉その他の地域の観光資源
また、以下のようなものも地域資源となります。
 豊かな森林、澄んだ空気やきれいな水など、受け継がれてきた美しい景観
 古くから伝えられてきた伝統芸能や文化
 集落の団結力等の「地域力」
 手作りの温もりのある農林水産物・加工品
 遊休農地、遊休施設(空き家、廃校舎)
 農林漁業や生活に関わる知恵や技
網羅的に地域資源を把握することができるように次のように分類・整理します。
■地域資源の分類

※「いちから見直そう!地域資源―資源の付加価値を高める地域づくり」(三井情報開発株式会社総合研究所)を参考に作成
地域特性資源
自然資源
固定資源
地域に固定さ
れ、地域内で活
用・消費される
もの
流動資源
地域内で生産さ
れ、地域外でも
活用・消費され
るもの
遺跡、歴史的文化財、歴史的建造物、歴史的事件、郷土出身者 等
伝承文化、芸能、民話、祭り、イベント、伝統衣装、住民特性・気質 等
構築物、構造物、家屋、市街地、街路、公園 等
知恵、ノウハウ、電子情報、ブランド、評判、制度、ルール、
地域への想い・愛着・誇り 等
歴史的資源
人口施設資源
人的資源
情報資源
気候的条件(降水、降雪、気温、光、湿度、風、潮流 等)
地理的条件(地質、地勢、位置、陸水、海水 等)
人間的条件(人口の分布と構成 等)
原生的自然資源(原生林、自然草地、自然護岸、湿地 等)
二次的自然資源(人工林、里地・里山、農耕地、牧草地 等)
野生生物(希少種、身近な生物 等
鉱物資源(化石燃料、鉱物素材 等)
水資源(地下水、表流水、湖沼 等)
エネルギー資源(太陽光、風力、水力、地熱 等)
環境総体(風景、景観 等)
文化・社会資源
技術資源(労働力、技能・技術、知的資源 等)
関係資源(人脈、地域ネットワーク、相互信頼、ソーシャルキャピタル、
地域活動 等)
特産的資源 農・林・水産物、同加工品、工業部品・組み立て製品 等
間伐材、家畜糞尿、堆肥、下草、落葉、廃棄農作物・海産物、産業廃棄物、一
般廃棄物 等
中間生産物
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(3)地域資源を発掘する
地域資源を発掘するとは、自分たちの地域に存在するモノ、コト、ヒト等が持っている隠された
力に改めて思いを馳せる作業です。だれもが驚くような奇抜な資源を地域内で発見しようとするこ
とではありません。自分たちの足元を改めて見つめ直すことで、様々な驚きや発見を体験できるも
のです。宝は意外に身近なところにあるものなのかもしれません。
①地域資源発掘の手法
地域資源の発掘手法として大きく 3 つが考えられます。
②具体的な発掘の仕方
具体的は発掘の仕方として以下の 3 つの手法が考えられます。
専門家の招聘
地域を熟知している専門家に来てもらったり、地域において考えられる地域資源に関連する分野
の専門家に来てもらうなど検討して、ニーズに合致する専門家に依頼することが必要と思われま
す。
ワークショップの開催
地域資源の洗い出しに際して、検討委員会を中心に、事業を具体化するプレーヤーと事業を支援
するプレーヤーの両方が集まってワークショップを行うなど今後の方向性について共有すること
が有効です。
各種調査の実施
地域にどのような資源があるのか、それを活用した商品化の状況はどうなのか、今後の事業展開
において他地域との差別化をどのように図っていくのかなどの調査を実施する必要もあります。

客観データ
人口、産業構造、
生産額等の公開
データ
定性データ
歴史的背景、風
習、住民性など
既存の成果
自治体や関連団
体が行った調査
結果など
分析(調べる、見る、聞く、考える)
地域資源の洗い出しのポイント
 客観的に見て自分がいる地域とはどんなところか
 弱みを強みにできないか
 ニーズや環境変化と組み合わせられないか
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(4)地域資源を絞り込む

①地域資源の絞り込み
次のステージとして、発掘した地域資源を絞り込むことが必要となってきます。地域資源を絞り
込む際に必要な視点として、「客観性」「地域の思い」「専門家の知見」などが考えられます。
■地域資源絞り込みの視点

②面的な広がりを考慮した絞り込み
地域資源の絞込みに当たっては、地域産業の育成や地域外からのヒト・企業・カネの呼び込みな
ど、中長期的な視点を持つことも重要です。地域資源の活用を地域の面的な活性化に結び付けるた
めには、「地域での認知度が高い」などの地域アイデンティティとの繋がりや、「事業者が多く参加
できる」などの経済波及効果の有無や規模なども検討し、地域の多様な関係者にとって有効であり、
かつ持続的な活動に結びつく資源に絞り込む事が求められます。
■地域資源絞り込みの検討項目(例)
地域性
地域の特色を表現している。
地域関係者や行政、住民の賛同や参加が見込まれる。
地域内での認知がある/認知を向上させられる見込みがある。
多数の事業者が参画できる。
活用資源
の特性
他地域と比べて差別化できる要因や優位性を持っている。
付加価値が付けられる。
必要な原材料等の確保や生産・製造に必要なネットワークを確保できる。
事業性
事業化の核となる事業者や業界(団体)の参加が見込め、事業化が出来る。
ある程度のターゲット数/市場規模が見込める。
販売チャンネルを確保できる見込みがある。
事業の
継続可能性
事業を継続するだけの経済性・採算性がある。
中・長期的な関係者の継続的関与が見込まれる。

洗い出した地域資源
自然 文化 歴史
農産物 技術
森林資源
水産物
工業製品
客観性
地域への経済波及効果は?
地域の思い
参加者の思い入れは?
専門家の知見
専門家から見て魅力は?
事業で活用する
地域資源を絞り
込む
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(5)地域資源を編集して地域らしい商品・サービスを創造する
絞り込んだ地域資源を地域にある技術で加工したり、地域資源同士を組み合わせて地域らしい商
品・サービスを創造します。試作品を商品へとブラッシュアップする、モニターツアーから本格的
なサービスへと移行するといった商品化を図る必要があります。
■地域資源を編集して新しい商品・サービスを創造(例:伝統的工芸品)

■試作品開発から商品化への流れ

テストマーケティング
・回答者の特性
・商品へ評価、改良意見等
・購買可能価格
・購買場面
モニターツアー
・回答者の特性
・ツアー参加のきっかけ
・ツアー内容への評価、改良点
・購買可能性
ブラッシュアップ
商 品 化
素材 機能
地域資源
新しい
ブランド
顧客の声を取り入れて現代のニーズに合わせて編集する
技術 デザイン
従来型工芸品
現代的な感性
伝統ある旭川の工芸品 旭川クラフト
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(6)商品・サービスの販売チャネルを考える
自ら直接販売するのであれば、参画事業者の店舗や地域の販売所などを活用する方法やインター
ネット販売などが考えられます。
流通業者などを介して販売する場合は、主に GMS や百貨店、小売店などの販売が中心となりま
す。流通業者を介しての販売を考える場合は、展示会や商談会での人脈作りが需要なポイントとな
ります。
どのような販売経路を使って販売するかによって、生産者や加工業者の手取り価格が変化するこ
とに留意する必要があります。
加工食品などを一般的な卸売業者を介して小売業者へ販売する場合は以下のような価格体系にな
りますので、上代価格(小売価格)の設定、利益の算出には充分留意する必要があります。生産者から
小売業者に直接販売することができれば卸売業者への手数料は発生しませんが、営業活動や仕入等
のために必要な体制を整えなければなりません。
■加工食品販売価格の一般的な計算例(あくまで参考価格として捉えてください)
上代価格(小売価格) 300 円(小売業者手数料約 28%)
小卸価格(問屋→小売業者) 215 円(問屋手数料約 16%)
問屋への卸価格(加工業者→問屋) 180 円(加工業者利益率約 40%)
仕入れ値または原価 108 円

(7)商品・サービスのプロモーション

①広報宣伝の実施
商品の販売や開発したサービスの提供を行う上で、具体的なマーケットを設定して、そのマーケ
ットに訴えかける広報宣伝活動を行うことも重要です。
具体的には、独自パンフレット・フライヤーの作成・配布、或いはホームページへの掲載、SN
Sでの発信、パブリシティを作成して新聞やタウン誌・テレビ等のメディアを活用するケースなど
もあります。
②展示会等への出展
広報宣伝活動に加えて、有効なプロモーション手段として、様々な展示会・商談会への出展があ
ります。展示会を通して販路を拡大している事例も多くあります。競合他社と同じ場所に出展する
といった難しさもありますが、ここでネットワークを形成できる場合もあります。積極的に活用す
ることが重要です。
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Ⅰ-4.地域活性化のための「面的」支援の捉え方
商品やサービスのベネフィット(価値)を創造して、その価値を顧客に発信・提供して売れる仕
組みを作ることがマーケティングの基本とするならば、「地域活性化はマーケティング志向で考える
と、地域に存在する自然・歴史・文化・産物・産業などの資源を掘り起し、編集して地域のベネフ
ィットを創造して、そのベネフィットを地元やその他地域の個人・組織に発信・提供すること」で
あると言い換えられると考えます。
そしてこのベネフィットの創造を「個社」での取り組みではなく、地域へ「面的」な広がりを見
せていくことが活性化には必要と考えます。つまり、生産者と小売りが連携する「縦串」あるいは
地域をブランド化する「横串」という視点が必要となってきます。
■地域活性化のための面的支援(イメージ図)
商工会・商工会議所
行政
金融機関
支援機関 大学
研究機関
取り組み主体
個人 生産

NPO
マーケティング・コーディネーション
マーケティング実行
企業 企業
企業
専門家
自然
文化
産業
素材
技術
観光
人材






地域ベネフィ
ットの創造
「ふるさと名
物」等
地域ブランド
(狭義・広義)
観光
まちづくり
消費者
組織
(企業・
団体)
価値の伝達
・提供
価値の受け手
地域資源
地域内
地域外
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Ⅱ-1.本調査報告書で採り上げる地域活性化のテーマ
当調査報告書で記載する地域活性化のテーマは大きく 4 つとなります。それは「A.地域資源活用」
「B.地域ブランド化」「C.観光」「D.まちづくり」です。事例を紹介する前に 4 つのテーマについ
て地域活性化の観点でその内容を説明します。
A.地域資源活用
前述した「地域資源」を活用し、それを編集して新しい商品・サービスを創造し、内外からの需
要を創り出す活動です。従来は個社の取り組みが多く見られましたが、今後は地域の事業者が複数
参画する「面的」な広がりを見せるようなことが必要となってきます。

B.地域ブランド化
地域ブランド化とは「①地域発の商品・サービスのブランド化(=地域資源活用)と、②地域イ
メージのブランド化 の両方を結びつけ、好循環を生み出し、地域外の資金・人材を呼び込むとい
う持続的な地域経済の活性化を図ること」と一般に定義されています。つまり、地域から生まれた
商品・サービスを「地域ブランド商品」として確立するのと同時に、その地域が持つイメージを高
めて「地域ブランド」そのものを高めていく。この 2 つを同時に行っていくことが「地域ブランド
化」であるということです。
「地域ブランド化」には、すでに出来上がっている地域のイメージを利用して商品を作ったり、
その地域とは関係のない商品に地名を付けて売るだけではなく、その商品自体が「地域ブランド」
のイメージを高めていくことの一端を担っていることが必要となります。

Ⅱ.本章
事例調査に基づく研究報告
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C.観光
本調査報告書では、以下の 2 つのテーマで「観光」を取り上げます。
①着地型観光
着地型観光とは、これまでの旅行商品が都市部の旅行会社で企画される「発地型観光商品」で
あったのに対し、旅行目的地側主導で行う観光商品のことを指します。
これまでは、旅行者のニーズを把握し情報を発信するのに便利な発地型が大半でしたが、消費
者志向の多様化にともない、地元の人しか知らないような穴場や楽しみ方が求められるようにな
り、着地型が見直されています。地元にとっても新しい観光素材を掘り起こし、都市部の旅行会
社に提案する着地型が地域おこしに有効だと認識されています。
②産業観光
着地型観光のひとつ、歴史的・文化的に価値ある工場や機械などの産業文化財や産業製品を通
じて、ものづくりの心にふれることを目的とした観光を指します。

D.まちづくり
都市に観光客を呼び込んで地域を活性化することや、中心市街地の商店街や地域商店街の活性化
を目的に、商工会議所が関係機関・行政等との連携や協働により、賑わいあるまちづくりの推進の
ため、様々な取り組みを展開する活動を指します。

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Ⅱ-2.商工会議所による地域活性化のための面的支援事例
日本商工会議所より、「地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト」(以下、∞事業)などを活
用して成果を上げた事例を中心に「A.地域資源活用」「B.地域ブランド化」「C.観光」「D.まちづ
くり」の 4 つのテーマで効果をあげている全国の 46 事例の提供を受けました。本節では、この 46
事例について資料と電話取材、訪問取材による調査を基に分析を試みています。46 件のサンプル数
では全国的な傾向の分析はできないものの、商工会議所による地域活性化の方向性の一端が窺われ
ます。

(1)46 事例の傾向
46 事例の内訳は、多い順に、「C.観光」14 事例(30%)、「A.地域資源活用」12 事例(26%)、
「B.地域ブランド化」12 事例(26%)と同数、「D.まちづくり」が 8 事例(17%)でした。「D.
まちづくり」が少ないものの、他の 3 テーマの割合に大きな違いは見られませんでした。「A.地域
資源活用」に分類した事例でも、中長期的に地域ブランド化を目指している事例が約半分あり、商
工会議所の支援も、観光や地域ブランド化など地域の面的な活性化を図る方向を重視してきている
と言えるでしょう。「D.まちづくり」の事例が少ないのは、市や町など行政による参画や主導が必
要であり、商工会議所が中心となるのが難しいテーマだからと考えられます。

(2)事例の成果
それでは、地域活性化においては、どんな成果が上がっているのでしょうか? 以下のグラフは、
資料や電話取材、現地取材で明らかになった各事例の成果を集計※したものです。
※【集計方法】取材で抽出した成果項目を下記 11 項目に分類した上で、それぞれの事例ごとに上位 3 項目を選び 46 事
例を集計しました。なお、成果の上がった項目が 3 項目に満たない場合は、そのまま集計しています。
■成果の選択項目
新商品、新サービスを開発 新規事業を開発 ブランド創出 受注・売上が増加
流入人口、交流人口が増加 知名度が向上 雇用を創出 商品開発のノウハウ等を学習
若手など人材が成長 地域内ネットワークを構
築、関係性が強化
民間事業者が運営主体に
なって自立
A.地域資源
活用, 12
B.地域ブラン
ド化, 12
C.観光, 14
D.まちづくり,
8
4テーマ別区分(46事例)
A
B C
D
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①46 事例の成果
46 事例全体では、成果として挙げられた項目で最も多かったのは、「地域内ネットワークを構築、
関係性が強化」(23 件・46 事例中の 50%)となり、「受注・売上が増加」(18 件・同 39%)
を上回っています。これは、「B.地域ブランド化」(8 件)と「C.観光」(9 件)テーマが寄与し
た結果です。両テーマとも、商工会議所単独で取組むのは難しく、幅広い関係者や支援機関の巻き
込みが必要なため、結果として地域の協力関係が強化されるためでしょう。
また、全体として見ると、「新商品、新サービスを開発」(9 件・46 事例中の 19%)よりも、
「新規事業を開発」(13 件・同 28%)の方が多い結果となりました。「C.観光」テーマにおける
成果として挙げられたことが大きく寄与しています。

下図は、上記の棒グラフを円で表したものです。

9
13
12
18
8
9
3
3
3
23
6
0 5 10 15 20 25
新商品、新サービスを開発
新規事業を開発
ブランド創出
受注・売上が増加
流入人口、交流人口が増加
知名度が向上
雇用を創出
商品開発のノウハウ等を学習
若手など人材が成長
地域内ネットワークを構築、関係性が強化
民間事業者が運営主体になって自立
取り組み成果(46事例)
新商品、新サービス
を開発, 9
新規事業を開発, 13
ブランド創出, 12
受注・売上が増加, 18
流入人口、交流人口
が増加, 8
知名度が向上, 9
雇用を創出, 3
商品開発のノウハウ
等を学習, 3
若手など人材が成長,
3
地域内ネットワークを
構築、関係性が強化,
23 民間事業者が運営主
体になって自立, 6
取組の成果(46事例)
16
②4 テーマ別の成果
以下の棒グラフは、4 つのテーマ別に成果を集計したものです。成果を 4 つのテーマ別に見ると、
それぞれの相違が窺われます。
A.地域資源活用(12 事例)
本テーマでは、地域資源を活用した新商品・新サービスの開発・販売を行った結果、「受注・売
上が増加」が最多の成果(6 件・12 事例の 50%)となりました。「新商品、新サービスを開発」
の件数が少ないのは、本集計が上位 3 位を選ぶ方式であったためで、開発による生産者→加工業者
→販売など地域ネットワークの強化が図られた成果や、商品化の柱となった民間事業者の自立の成
果の方が、開発そのものの成果よりも高かったことが要因です。一過性の商品やサービスの開発だ
けで留まるのではなく、持続可能な事業展開を促す支援を進めている傾向が表れています。

B.地域ブランド化(12 事例)
本テーマでは、当然のことながら「ブランド創出」(6 件・12 事例の 50%)の成果が上がって
いますが、それ以上に「地域内ネットワークを構築、関係性が強化」(8 件・同 67%)の効果が高
かったようです。地域ブランド化には、地域の様々な関係者がそれぞれの立場で活動を行い、全体
で盛り上げていく必要があります。多くの事例が、協議会などを編成して、地域の関係者を取り纏
める仕組み作りを行っています。

2
2
2
6
0
2
1
2
1
5
4
0 2 4 6 8 10
新商品、新サービスを開発
新規事業を開発
ブランド創出
受注・売上が増加
流入人口、交流人口が増加
知名度が向上
雇用を創出
商品開発のノウハウ等を学習
若手など人材が成長
地域内ネットワークを構築、関係性が強化
民間事業者が運営主体になって自立
A.地域資源活用
4
4
6
5
1
2
0
1
1
8
0
0 2 4 6 8 10
新商品、新サービスを開発
新規事業を開発
ブランド創出
受注・売上が増加
流入人口、交流人口が増加
知名度が向上
雇用を創出
商品開発のノウハウ等を学習
若手など人材が成長
地域内ネットワークを構築、関係性が強化
民間事業者が運営主体になって自立
B.地域ブランド化
17
C.観光(14 事例)
外部からの観光客や訪問客誘致を主目的とした観光テーマにおいては、前述の 2 テーマでは目立
たなかった「流入人口、交流人口が増加」が 4 件と増えていますが、14 事例中の 4 件(28%)で
あり、外部からの観光・訪問客の誘致は簡単な事ではないことが窺われます。一方、「地域内ネッ
トワークを構築、関係性が強化」に関しては、14 事例中の 9 件(64%)が成果として挙げていま
す。観光においては、支援機関やエリアの枠を超えた連携を組むことが求められるからでしょう。

D.まちづくり(8 事例)
本テーマは、8 事例と件数が少なかったため、成果のそれぞれの項目の件数も少なくなっている
ことに留意ください。
特筆すべきは、8 事例中半分の 4 事例で、「受注・売上が増加」の成果が上がっていることです。
まちづくりの取組みが、地元の商店や企業の売上向上に寄与する可能性が高いことが推察されます。

2
4
4
3
4
3
0
0
1
9
1
0 2 4 6 8 10
新商品、新サービスを開発
新規事業を開発
ブランド創出
受注・売上が増加
流入人口、交流人口が増加
知名度が向上
雇用を創出
商品開発のノウハウ等を学習
若手など人材が成長
地域内ネットワークを構築、関係性が強化
民間事業者が運営主体になって自立
C.観光
1
3
0
4
3
2
2
0
0
1
1
0 2 4 6 8 10
新商品、新サービスを開発
新規事業を開発
ブランド創出
受注・売上が増加
流入人口、交流人口が増加
知名度が向上
雇用を創出
商品開発のノウハウ等を学習
若手など人材が成長
地域内ネットワークを構築、関係性が強化
民間事業者が運営主体になって自立
D.まちづくり
18
Ⅱ-3.取材 19 事例の研究
本研究では、前述した 46 事例のうち、特徴ある取組みや成果を挙げている 19 事例を選定し、
訪問取材を行いました。本節以降では、取材を行った 19 事例について分析します。分析に当たっ
ては、(1)テーマ別区分とマーケティング視点による分析と、(2)事業推進形態の類型と支援プ
ロセスの特徴 の 2 つの視点から 19 事例の分析を試みています。

(1)4 つのテーマ別区分とマーケティング視点による分析
1.テーマ別区分
訪問取材をした 19 事例を「A.地域資源活用」「B.地域ブランド化」「C.観光」「D.まちづくり」
の 4 つのテーマに区分しました。下記にテーマ別の MAP を示します。
■商工会議所面的支援事例取材 MAP
A 地域資源活用
小樽商工会議所、旭川市商工会議所、小山商工会議所、城陽商工会議所、
府中市商工会議所、八代商工会議所
B 地域ブランド化
弘前商工会議所、ひたちなか商工会議所、安城商工会議所、大和高田商工会議所、
伊万里商工会議所、久留米商工会議所
C 観光 青森商工会議所、糸魚川商工会議所、北九州商工会議所、鹿児島商工会議所
B まちづくり 大阪商工会議所、新津商工会議所、大分商工会議所
※19 事例の詳細は、別途「地域活性化事例」でご覧いただけます。本文中に事例番号を記載していますので、
事例記事もご参照ください。
19
2.4 テーマごとのマーケティング視点による整理
本項では、「A.地域資源活用」「B.地域ブランド化」「C.観光」「D.まちづくり」の 4 テーマ別
に区分した 19 事例の概略を、<ターゲット><地域資源の編集(商品特性)><価格><販売チ
ャネル><販促・PR 手法>の「マーケティング視点」でまとめると共に、各テーマにおける「マー
ケティング面でのポイント」を抽出しました。
※表内、会議所名の下の「●事例番号:A-①」は、事例記事の番号です。事例の詳細は、記事をご参照くだ
さい。

A.地域資源活用
都道
府県
支援機関 内容
ターゲッ

地域資源の編集
(商品特性)
価格 販売チャネル 販促・PR 手法 ポイント
北海道 旭 川 商 工
会議所
● 事 例 番
号:A-①
産業技術セ
ンターと連
携した旭川
クラフトの
商品開発支

デザイン
性・機能性
を重視 す
る顧客層
工芸センター、
デザイナー等の
支援を受けた旭
川クラフトの新
規商品開発によ
るブランド再構

プレミア
ム価格設
定(高価格
帯)
参画事業者の
既存販路
・HP 構築によ
る PR
・旭川商工会議所と旭川市工芸
センターの連携
・補助金の枠組みを活用した事
業推進によるブランドの再構築
・若手クラフトマンとデザイナ
ーのマッチングによる商品開発
力の向上支援
・展示会、商談会出展支援によ
る販路開拓
北海道 小 樽 商 工
会議所
● 事 例 番
号:A-②
未利用果実
酒「小樽美
人」の開発
域内・観光
客の女性
未利用果実を活
用した新商品開
発(リキュール、
スイーツ)
知覚価値
価格設定
地域限定販売 ・コンテスト
への出品、受
賞によるマス
コミへの露出
を活用した広

・ターゲット(女性)、販路(ご
当地限定)を明確にした商品開

・プロジェクトに参加した企業
による商品開発、バリューチェ
ーンの構築
・コンテスト出品と受賞による
メディア報道を活用した広報戦

栃木 小 山 商 工
会議所
● 事 例 番
号:A-③
「かんぴょ
ううどん
麺」の開発
健康志向
の富裕層
<健康>をテー
マにした、かん
ぴょうを材料と
した商品開発
プレミア
ム価格 設
定(高価格
帯)
・(H21~)
会議所が販売
窓口⇒
・(H25~)
関係者が設立
した農業生産
法人(株)大
地のかほりに
委譲
・「ぐるナビ」
を活用した飲
食店や消費者
への PR
・NHK 特集番
組の取材
・会議所理事による地域資源の
プロデュース、プロジェクトの
推進
・会議所の事務局機能を活かし
た、各ワーキング段階での最適
なコーディネイト
・会議所によるバリューチェー
ンの補完(販売窓口を担当)
・国、自治体、独自事業の活用
による事業化推進
京都 城 陽 商 工
会議所
● 事 例 番
号:A-④
金銀糸の産
地ブランド
化(燦彩糸)
①消費者
②業界
③地域
・金銀糸生産地
をブランド化
・金銀糸を活用
した消費者向け
「燦彩糸」ブラ
ンド商品の開発
① 知覚価
値価格設

② 市場価
格対応型
価格設定
①会議所直販
(ネット)
②商品開発の
コラボ先事業
者が保有する
販路
・JAPAN ブ
ランド認定に
よる知名度向

・商標登録に
よる PR
・ネーミング、商標登録による、
金銀糸生産地のブランド化(「燦
彩糸」ブランドの創出)
・メーカーとの川下連携等によ
る消費者向け商品の開発
・中長期的、プロセスを踏んだ
プロジェクト進行(研究→ブラ
ンド創出→市場調査→事業化チ
ャレンジ→自立化促進→本格的
な事業化促進)
・地域内生産者、行政、市民の
共通ビジョンの育成
20
広島 府 中 商 工
会議所
● 事 例 番
号:A-⑤
オリジナル
の雑貨商品
開発研究と
販路開拓の
並行支援に
よる下請け
木工業者の
メーカーへ
の脱皮支援
①首都圏、
都市の消
費者
②全国の
消費者
木 材 加 工 技 術
(=資源)を活
かした消費者向
け雑貨商品開発
プレミア
ム価格設
定(高価格
帯)
①参画事業者
が独自開発し
た百貨店、小
売店
② 会 議 所 の
HP
・展示会の共
同出展
・会議所運営
の HP による
プロモーショ

・中期的な 2 面の並行支援(商
品開発スキルの獲得支援と販路
開拓支援)
・「研究会」形式の商品開発支
援と、複数事業者に対する展示
会出展支援による地場産業振興
(下請からの脱却)
・展示会でのバイヤーやブース
訪問客との接触がもたらす、事
業者の更なる雑貨メーカーとし
ての商品開発力の向上
熊本 八 代 商 工
会議所
● 事 例 番
号:A-⑥
地元特産
「晩白柚」
を活用した
アロマ事業
① 地元消
費者
② 温泉へ
の観光客
・地元特産の晩
白柚を活用した
石鹸、入浴剤、
カクテル等の開

市場価格
対応型価
格設定
①会議所の直

②市内
・県内外の商
談会へ参加
・マスコミへ
の紹介、テレ
ビでの放映
・熊本高専との連携によるアロ
マ抽出技術の習得
・会議所による積極的な広報・
PR 活動

■「A.地域資源活用」事例におけるマーケティング面でのポイント
ターゲットの絞込み
開発する商品の品質向上やデ
ザイン面に注力した高付加価
値品の開発を目指す場合、タ
ーゲットの絞り込みが重要と
なる。
商品開発力向上による地
場産業の活性化
産業技術センターやデザイナ
ーによる商品開発力向上支援
は、複数事業者を対象とした
地場産業の活性化に繋がる手
法と言える。

事業者の連携
地域内の事業者の水平・垂直
連携による商品開発は、地域
産業の活性化にも繋がる。
会議所による商品開発
当初は会議所が推進役となっ
て商品開発を進めると、事業
者もまとまり易い。
プレミアム価格の設定
プレミアム価格(高価格帯)
を設定するためには、商品コ
ンセプトの明確化とターゲッ
トの絞り込みが必要である。
ブランド構築による知覚
価格設定
知覚価値価格を設定したい場
合は、ブランドの構築が求め
られる。
地域限定販売
生産量を増やせない場合は、
「地域限定販売」として、希
少性を訴求するアピール法も
ある。
既存販路の活用と販路開
拓支援
参画事業者の既存販路を活用
して、【新商品×既存市場】で
販売する場合は、会議所など
支援機関は、展示会出展支援
等の販路開拓の側面支援に回
る。

会議所による商品販売
中立性を担保するため、会議
所が販売機能を担うケースも
ある。
コンテストへの出品
コンテストへの積極的出品⇒
各賞受賞による話題性は、マ
スコミによる費用のかからな
い PR に繋がる。
「ぐるナビ」の活用
「ぐるナビ」を活用した PR
は、飲食店(B to B)と消費
者(B to C)両者をターゲッ
トにできる。

展示会への共同出展
展示会への共同出展支援は、
複数事業者を支援する効率的
な方法である。

地域資源の編集 価格 販売チャネル 販促・PR 手法
21
B.地域ブランド化
都道
府県
支援機

内容
ターゲッ

地域資源の編集
(商品特性)
価格 販売チャネル 販促・PR 手法 ポイント
青森 弘前商
工会議

●事例
番号:B-

白神山地の
「 もの資
源」「こと
資源」「と
ころ資源」
を活用した
トータルな
ワンストッ
プの地域プ
ロデュース
活動
① 国内外
観光客
② 地元住

行政や市民・業界
団体(やわらかネ
ット)を巻込んだ、
「もの(工芸品・
農産物等)」「こ
と(まつり・イベ
ント等)」「とこ
ろ(自然・観光施
設 ・ 中 心 市 街 地
等)」のトータル
な地域資源開発
プレミア
ム価格設
定(高価格
帯)
会議所がワン
ストップ窓口
で 販 路 開 拓
(国内外の百
貨店、セレク
トショップ、
スーパー等に
取り扱いをオ
ファー)
・「弘前感交
劇場」ポータ
ルサイト構築
と情報発信・
PR
・会議所課長など、地域のプロ
デューサー人材ネットワークに
よる面的支援
・開発・販路開拓にマッチした
専門家チームの形成による地域
資源(「もの」「こと」「とこ
ろ」)開発
・地域の声の吸い上げができる
プロジェクト体制の整備(やわ
らかネット→実務者会議→弘前
感交劇場推進委員会)
・自治体、支援機関によるワン
ストップ支援体制による、一丸
となった地域活性化の取り組み
・参加機関間での検討と迅速な
決定による事業予算の確保
茨城 ひたち
なか商
工会議

●事例
番号:B-

市の振興策
を活用した
業種組合と
連携した名
産品開発
① 地域内
の消費者
②観光客
・「一店逸品」ガ
イドに掲載された
食材・こだわり技
法を活かした名産
品の継続的開発支
援(5 商品開発)
・地名、茨城弁な
どローカル色を盛
り込んだネーミン

・会議所によるデ
ザイン支援
市場価格
対応型価

参画事業者の
既存販路
・茨城県と連
携した販促キ
ャンペーン
・会議所による明確な開発コン
セプト策定と、名産品開発のデ
ィレクション
・7 割を超える高い組織率を活
かした団体(組合)やグループ
による商品開発
・商品開発グループによる販売
の仕組みの確立と、会議所によ
る PR・プロモーション支援
・市の支援策を活用した初期開
発費用や宣伝費用の補完
愛知 安城商
工会議

●事例
番号:B-

エコ運動と
異業種連携
による新事
業開発と地
域ブランド

① エコキ
ャップ活
用事業の
賛同者(学
校 、 自 治
体、マスコ
ミ、公共施
設、企業な
ど)
② 潜在的
な発注企

・安城市が推進し
ている「エコキャ
ップ」運動を地域
資源として活用
・エコ運動と地域
の技術力を活用し
た、新産業の創出
(再生プラスチッ
ク素材による新規
商品の開発)
・異業種連携によ
る経済振興
プレミア
ム価格設
定(高価格
帯)
協同組合アン
ジョウハーツ
による直販
・「メッセナ
ゴヤ 2010」
出展支援
・マスコミ報
道の活用
・イベント出
典によるプロ
モーション
・「環境先進都市」という安城
市の地域特性を資源として活用
した新規事業の創出と、エコ運
動推進企業の巻込み
・社会貢献・地域貢献にも広が
る事業による、行政や市民の理
解やマスコミへの訴求
・製造業とデザイナーや IT 企業、
不動産業者などとの異業種連携
による新商品開発と OEM 共同
受注開拓
・今までなかった新規商品開発
による価格競争の回避と販路開

奈良 大和高
田商工
会議所
●事例
番号:B-

「大和木綿
の復興」を
テーマにし
た大和高田
の地域ブラ
ンドの構築
無農薬栽
培・手摘み
の安全・安
心に価値
を置く、赤
ちゃんを
出産する
女性、もし
くはその
女性に贈
答する友
人・知人
・オーガニック手
法(無農薬・手摘
み)を導入した「大
和木綿」復興栽培
・高付加価値の国
産オーガニックコ
ットン(「さくら
コットン」)を原
材料としたベビー
服開発
プレミア
ム価格設
定(高価格
帯)
①京都伊勢丹
等の伊勢丹グ
ループ(店舗
販売、カタロ
グ販売)
②市や地元病
院による記念
品購買
・「ベビー&
キッズエキス
ポ」「ギフト
ショー」など、
展示会出展
・NHK 奈良な
ど TV、全国大
手紙やローカ
ル紙等マスコ
ミの取材によ
る知名度向上
・地域産業の礎となった地域資
源=綿栽培の発掘と、地域ブラ
ンドとしての象徴化
・「さくらコットン」の綿栽培
のスキームの確立と、ものづく
り企業のネットワーク化による
事業化
・厳格なブランド基準と管理に
よるブランド価値の維持
・「さくらコットン事業化推進」
と、「市民活動推進」の 2 側面
からの取り組みによる地域への
浸透
・ブランドのストーリー性の高
さと、話題の継続的な提供によ
る、メディアからの継続的な注

22
佐賀 伊万里
商工会
議所
●事例
番号:B-

伊万里鍋島
焼と地域産
物を組み合
わせた特産
品開発によ
る「伊万里
ブランド」
の再強化
① 飲食店
等 への食
器卸バイ
ヤー
② 焼物愛
好者
③観光客
①現代感覚の伊万
里鍋島焼の新商品
開発
②伊万里鍋島焼と
他の地域資源(牛、
ネギ、茶など)を
組み合わせた新特
産品の継続開発
①(伊万里
鍋島焼)市
場価格対
応型価格
設定
②(伊万里
鍋島焼+
地域資源)
プレミア
ム価格設
定(高価格
帯)
①展示会によ
るバイヤー、
愛好家の引合

②各窯元の店
舗(観光客)、
HP(焼物愛好
家、消費者)
③佐賀、福岡
などでのイベ
ント
・特産品開発
やイベント参
加などの記者
発表などによ
る広報・PR 活

・展示会、商
談会出展サポ
ート
・伊万里鍋島焼と他の地域資源
を組合せた特産品開発による、
伊万里の地域ブランド再強化
・特産品の連続開発による、マ
スコミへの露出
・伊万里鍋島焼の研究プロジェ
クトによる新アイテム(風鈴、
行燈など)の創出
・東京の展示会出展や特産品開
発による現代ニーズを捉えた新
商品開発の促進支援
・若手後継者や奥様の巻き込み
による、地域(大川内山)全体
の活性化
福岡 久留米
商工会
議所
●事例
番号:B-

「B級グル
メ」による
まち興し
(「B 級グ
ルメの聖
地」ブラン
ド化)
①域外か
らの観光

②久留米
市民
地域食文化の発掘
とブランド化
(ラーメン、焼き
とり、うどん、酒
蔵など B 級グルメ
の発掘と情報発信
によるイメージの
定着と地域ブラン
ド化)
市場価格
対応型価

①現地の飲食
店舗
②イベント会
場での販売
「B 級ご当地
グルメの祭典
B-1 グランプ
リ」誘致や「久
留米焼きとり
日本一フェス
タ」開催など
の話題性によ
るマスコミを
活用した広報
・食文化を地域資源と捉えた B
級グルメの発掘
・複数年にわたる連続的な B 級
グルメ発信やイベントによるイ
メージ形成、「B 級グルメの聖
地」の地域ブランド化
・商工会議所による活性化シナ
リオと活動計画の策定、参画事
業者の取り纏め、予算の確保
・中心市街地活性化計画と歩調
を合わせたソフト事業の展開
・民間事業者の巻込みによる事
業運営の民間への委譲

■「B.地域ブランド化」事例におけるマーケティング面でのポイント
関係者への場の提供
地元事業者や関係者が集まれ
る場を継続的に提供すること
が、地域を挙げての商品・サ
ービス開発の活性化を促す。
業種組合の活用
業種組合を活用した地域活性
化も有効である。
市民の巻込み
地域ブランドの構築に当たっ
ては市民の巻込みが必要とな
る。市民活動と経済活動の 2
軸に対する並行支援が求めら
れる場合もある。
市民活動の地域資源化
地域食文化やエコ活動などの
市民活動も、編集の方法によ
っては地域資源になる。
新規性の高さによるプレ
ミアム価格の設定
今までにないアイデアの商品
や、市場に出回っていない価
値を提供できる商品を開発す
れば、プレミアム価格を設定
できる。
伝統工芸の現代市場価格
への対応
伝統工芸産業では、プレミア
ム価格ではなく、ターゲット
が買いやすい市場価格対応型
価格商品の開発が求められる
場合がある。
会議所によるワンストッ
プ販売
地域事業者のために、会議所
がワンストップの販売窓口と
なる場合もある。その場合は、
会議所は積極的な販路開拓を
求められる。
バイヤーとの協働商品開
発による販路の開拓
特定百貨店のバイヤーを商品
開発に巻き込むことで、当該
チャネルの販路開拓が可能と
なる場合がある。
知名度向上のための展示
会活用
展示会への出典は、地域ブラ
ンドの認知度向上にも繋が
る。
地元マスコミの活用
地域ブランドの広報には、地
元マスコミの協力が有効であ
る。
定期的・継続的な情報提供
マスコミを味方につけるため
にも、継続的な記者発表やプ
レスリリース配信などの情報
発信は欠かせない。

地域資源の編集 価格 販売チャネル 販促・PR 手法
23
C.観光
都道
府県
支援機

内容
ターゲ
ット
地域資源の編集
(商品特性)
価格
販売チャネ

販促・PR 手法 ポイント
青森 青森商
工会議

●事例
番号:C-

「事業化視点」
を採り入れた
観光プログラ
ム開発
①域外
からの
観光客
②地元
市民
・豊富な海産物を
活かした観光プ
ログラム開発
・卸売市場の観光
客向けメニュー
開発と一般への
開放
・JR、JA の観光
ツアーへの 組み
込みによる着地
型観光メニュー
開発
市場浸
透価格
帯(リー
ズナブ
ル)
①古川市場
内の販売
② JR 、 JA
(ツアー販
売)
・マスコミを活用し
た広報
・JR、JA など協力
事業者による観光客
誘致
・口コミ活用
・「青森市観光振興会議」を設
置し、官民あげての多彩な観光
プログラムを開発
・商工会議所による観光プログ
ラムの企画提案
・各種支援策を活用したモデル
事業の実施によるプロジェクト
効果実証
・収益化を前提としたプロジェ
クト企画と参画事業者の巻込み
による、事業の民間自立化
・旅行エージェントとの連携に
よる、新規特産品を組み込んだ
観光メニュー開発
新潟 糸魚川
商工会
議所
●事例
番号:C-

特産品のヒス
イを核とした
観光振興支援
女性観
光客
①ヒスイを活用
した特産品開発
(ヒスイネイル、
ヒスイカクテル)
②開発した特産
品を活用した観
光メニュー開発
③観光事業者と
の連携による着
地型観光メニュ
ー、ガイド付きの
「ヒスイ拾いバ
スツアー」
首都圏
の類似
品を意
識した
価格設

・提携した
旅行エージ
ェントのツ
アーへの組
み込み
・マスコミを活用し
た広報
・協力事業者による
観光客誘致
・外部の地域プロデューサーの
活用
・民間事業者の調査事業への参
画促進と、参画した事業者のベ
クトル合わせ
・地域の持つ魅力と地域資源を
繋ぎわせた特産品開発
・旅行エージェントとの連携に
よる、新規特産品を組み込んだ
観光メニュー開発
・事業化における市内事業者の
マッチングと、会議所のネット
ワークをフル活用した連携
福岡 北九州
商工会
議所
●事例
番号:C-

地元企業工場
群を中心にし
た産業観光商
品の編集
地域外
在住の
産業工
場群に
関心の
ある方
①地域にある企
業の工場群
②産業夜景
③角打ちなどの
地域文化
需要者
対応型
価格設

・独自およ
び旅行会社
を活用した
ツアー企画
・商工会議所をネッ
トワークとした広域
連携
・市役所、観光協会
を通じた広報・PR
・工場という特殊な素材をテー
マにした魅力的ツアー企画
・地域住民参加で意識向上
鹿児島 鹿児島
商工会
議所
●事例
番号:C-

陸・海・空のイ
ンフラ等を活
用した観光振
興支援
国内・海
外観光

・地域にある陸・
海・空のインフラ
需要者
対応型
価格設

商工会議所
のネットワ
ーク活用し
た広域連携
・マスコミを活用し
た広報
・協力商工会議所に
よる観光客誘致
・オール鹿児島体制による地域
住民を取り込んだ観光振興

24
■「C.観光」事例にみるマーケティング面のポイント
ご当地の魅力の編集
域外の観光客にとって魅力的
な観光メニューや観光資源の
編集が必要である。ご当地なら
ではの価値を如何に創造/編集
していくかが、観光のポイント
となる。
地元市民による域内経済
の活性化
域外の観光客と地域内の住民
両方がターゲットになり得る。
地元市民にとっても新鮮な魅
力を提供できれば、域内の経済
循環の活性化が図れる。
観光事業者との連携
観光メニュー開発に当たって
は、観光事業者との連携が必要
となる。観光事業者に対する働
きかけも観光振興のポイント
である。
産業資産の活用
産業資産は、魅力ある観光資源
となり得る。
ご当地ならではの価値
ご当地でしか体験できない
価値を付加することにより、
「お得感」を提供できる。
提携業者による販路開拓
観光事業者や JR、JA などと
の提携により、提携先が販路
開拓を代行してくれることを
期待できる。
提携先の開拓
観光事業者の開拓は、間接的
な販路開拓と言える。
地域で連携した情報発信
行政及び地域支援機関が連携
した情報発信が望まれる。
口コミの活用
観光には、口コミの活用が有
効である。初期ユーザーに
SNS などで自主的に情報を
発信してもらうにはどうした
らよいか、を考える必要があ
る。

地域資源の編集 価格 販売チャネル 販促・PR 手法
25
D.まちづくり(商店街等)
都道
府県
支援機関 内容
ターゲ
ット
地域資源の編集(商
品特性)
価格
販売チャネ

販促・PR 手法 ポイント
新潟 新津商工
会議所
●事例番
号:D-①
「家賃スラ
イド制」発案
による空き
店舗活用事

子供を
中心と
した地
元市民
古くから馴染みのあ
る商店街に今までに
ない駄菓子屋を開設
運営して、子供を中
心とした新しいニー
ズを開拓
・市場浸
透価格
帯(子供
でも購
買可能
な価格)
・店舗運営に
よる直売
・商工会議所によ
る各種メディアへ
の発信
・空き店舗活用者にとって、躊
躇する要因である家賃に関し
て、売り上げによってスライド
する方式を商工会議所が提案
大阪 大阪商工
会議所
●事例番
号:D-②
会議所・行
政・民間が一
体で取り組
む「水都大阪
再生」による
都市整備と
観光客誘致
①域外
からの
観光客
② 地 元
市民
「水都」をテーマに
した環境整備(ハー
ド事業)と、水路関
連の観光メニューや
地域振興プログラム
開発(ソフト事業)
・市場価
格対応
型価格
・大阪府、大
阪市、会議所
のプロモー
ションによ
る集客
・∞事業を活用し
た PR、プロモーシ
ョン活動
・マスコミを活用
した広報
・口コミ活用
・会議所によるプロジェクト企
画提案
・会議所による行政、民間事業
者、市民など関係者のコーディ
ネイトと調整
・事業化後の受皿団体やキーパ
ーソンを確保しての事業推進
と民営化
・民間団体への事業委譲を前提
としたプロジェクト推進
・∞事業などの施策を活用した
実証実験事業による計画して
いるプロジェクトの有効性の
検証
大分 大分商工
会議所
●事例番
号:D-③
まちづくり
会社による
テナントミ
ックスで出
店増加
①創業
希望者
②特に
働く若
い女性
・中心市街地におけ
る個店別経営支援に
よる商店街としての
魅力度アップ
・まちづくり会社に
よるテナントミック
ス事業
・各店舗によ
る直売
・空き店舗情報と、
起業・出店希望情
報および公的支援
情報を一元的に把
握できる体制を構

・出店後、商工会議所が定期的
に店舗の売上状況等をチェッ
クし、手厚いフォロー支援を実

■「D.まちづくり」事例にみるマーケティング面のポイント
スタンスの明確化
行政が主導する中心市街地活性
化計画など大きな計画における
会議所(自機関)の機能やスタ
ンスを明確にする。
関係者の調整
会議所には、協議会などの事務
局機能を担い、参加機関や官と
民の調整役を務めることが期待
される。
積極的な企画提案
地域事業者を熟知している会議
所など商工団体には、事業者の
シーズと市場のニーズをマッチ
ングさせた事業の企画提案機能
の発揮が望まれる。
プロジェクトの推進
商工団体は、会員企業の巻込み
や事業者の取り纏めなど、具体
的なプロジェクト進行の推進力
となれる。
 参画事業者の自立化促進
行政や支援機関は、まちづく
りの仕掛けを作り、個々の商
品やメニューの販路開拓や
販売に関しては、参画事業者
に任せ、自立化を促す。

民間への委譲
当初は、行政や会議所の支援
によりスタートしても、その
後は民間に委譲できる仕掛
けを作れるかが事業持続性
のキーとなる。

事業運営主体の組成
事業運営主体を組成して継
続的な活動を行う。まちづく
り会社の設立などが考えら
れる。
 行政と一丸となった PR・
広報
まちづくりのビジョンを内外
に周知するためには、行政や
支 援 機 関 が 一 体 と な っ た
PR・広報活動が必要である。

 マスコミを活用した広報
マスコミを活用した広報が第
一の手法となる。
地域資源の編集 価格 販売チャネル 販促・PR 手法
26
(2)事業推進形態の類型と支援プロセスの特徴
1.事業推進形態の類型
取材した 19 の事例は、商工会議所が事業の中核となり他機関との連携を図り、事業の事務局と
してその機能を果たすなど積極的な活動を進め、それぞれ大きな成果を上げています。これらの取
り組みに関して、全て明確に分けられるものではありませんが、商工会議所及び参画事業者、関係
機関などから見た事業推進形態が、いくつかの特徴的な類型に分類されることが分かりました。
類型は 5 つあり、①商工会議所事業牽引型、②地域機関連携型、③外部の地域プロデューサー活
用型、④参画事業者主体型、⑤参画事業者成長型 に分類しました。
■商工会議所面的支援事例 事業推進形態の類型
類型名 説明
①商工会議所事業牽引型
商工会議所が大枠のテーマ設定を行い、事業の仕組みを創造する段階で検討
の中核となって事業を推進する類型。
場合によっては商工会議所が事業の取り組み主体となる。
②地域機関連携型
地域の行政機関、支援機関、観光協会等と、明確な役割分担を行って連携し、
プロジェクトを推進する類型。
③外部の地域プロデュー
サー活用型
外部の地域プロデューサーを活用して、事業の推進過程でアドバイスを受け
ながら商工会議所が事業推進する類型。
④事業者主体型
事業展開の中でキーと思われる事業者やグループに参画してもらい、商品サ
ービスの開発から販売までを見据えて参画事業者の主体性を尊重し、商工会
議所は裏方役となって広報・PR を中心に推進する類型。
⑤参画事業者成長型
参画事業者が開発する商品・サービスについて、公設試や大学等の技術やア
ドバイスを受けることによって参画事業者を育成・成長させながら事業推進
していく類型。
商工会議所
他の支援機関
参画事業者 参画事業者
リーダー
①商工会議所
事業牽引型
⑤参画事業者
成長型 ④事業者主体型
③外部の地域
プロデューサー
活用型
②地域機関
連携型
参加
連携度 大
主体
商工会議所
27
2.類型別の支援プロセスの特徴
19 事例を 5 つの類型別に分類した上で、<準備段階><計画段階><実行段階><成果創出・
フォロー段階>の 4 つのプロセスごとの「支援プロセスの特徴」をまとめ、最後に類型別の 4 つの
プロセスごとに「効果的支援のポイント」を抽出しています。
※表内、会議所名の下の「●事例番号:A-③」は、事例記事の番号です。事例の詳細は、記事をご参照くだ
さい。

①商工会議所事業牽引型
商工会議所が大枠のテーマ設定を行い、事業の仕組みを創造する段階で検討の中核となって事
業を推進する類型です。場合によっては商工会議所が事業の取り組み主体となります。
支援機関 内容 推進組織 会議所の役割
支援プロセス毎の特徴
準備段階 計画段階 実行段階
成果創出
フォロー段階
小山商工
会議所
●事例番
号:A-③
「 か ん ぴ
ょ う う ど
ん麺」の開

「かんぴょう
開発委員会」
(会議所=事
務局、小山市、
栃木県、民間事
業者)
・プロデュー
ス(会議所理
事)
・プロジェク
ト企画・運営
・ワーキング
(準備作業)
のコーディネ
イトと管理
・開発委員会
の立ち上げ
・ワーキング
の計画
・∞事業を活
用したプロジ
ェクトのスタ
ート
・各ワーキング参
加者のコーディネ
イト
・ワーキングの運
営、進捗管理(事
務局)
・商品コンセプト
の策定(健康志向
の高付加価値品)
・アンケート調査
による試作品のブ
ラッシュアップ
・生産者、産業技
術センター、大学、
製麺業者との連携
による商品開発
・デザイナーの活

・会議所が販売窓口
・展示会、商談会のコー
ディネイト
ひたちな
か商工会
議所
●事例番
号:B-②
市 の 振 興
策 を 活 用
し た 業 種
組 合 と 連
携 し た 名
産品開発
会議所の「地域
おこし(名産品
開発)事業」
・商品開発プ
ロデュース
・関係者のコ
ーディネイト
・市の支援策
の活用による
商品開発、デ
ザイン費用の
補填
・産業観光推
進事業、縁起
のいいまち推
進事業などの
観光振興の推

・「一店逸品」
ガイドの発行
・事業コンセ
プト策定
・市の補助事業申

・開発食材・テー
マ、取り組む組合
(組合員事業者)
の発掘、調整
・商品開発支援
・開発に必要な費
用の負担
・デザイン支援
・ノベルティ、のぼり制
作、イベント開催などの
販促支援
助成金等で支援
協議会
プロジェクト実行委員会など
業界団体 民間事業

市民団体
商工会議所
支援 コーディネイト
技術センターなど
専門機関、専門

市など行政
参画 参画
事務局
28
安城商工
会議所
●事例番
号:B-③
エ コ 運 動
と 異 業 種
連 携 に よ
る 新 事 業
開 発 と 地
域 ブ ラ ン
ド化
①協同組合ア
ンジョウハー
ツ(複数業種の
事業者の連携
体、会議所=事
業者)
②エコ運動推
進者(市民、賛
同企業、障がい
者施設、市)
・事業コンセ
プト立案
・プロジェク
ト起ち上げ
・事業主体(協
同組合アンジ
ョウハーツ)
組成
・事業プロデ
ュース、推進
・原材料(再
生プラスチッ
ク)調達の仕
組み確立
・ 「 Anjo
Hearts
PROJECT
(アンジョウ
ハーツプロジ
ェクト)」の
企画
・記者発表と説明
会開催、参画事業
者の募集
・∞事業を活用し
た商品開発推進
・「メッセナゴヤ
2010」出展
・販売・発送・請
求等の事務局機能
の 会 議 所 の 代 行
(受託)
・展示会出展支援
・プレス発表など、マス
コミ対策
・安城市との調整
・組合メンバーとの定例
会議開催による商品開
発支援
城陽商工
会議所
●事例番
号:A-④
金 銀 糸 の
産 地 ブ ラ
ンド化(燦
彩糸)
「燦彩糸プロ
ジェクト協議
会」(会議所=
事務局、民間事
業者)
・コンセプ立

・プロジェク
ト企画、プロ
デュース
・支援機関、
参画事業者の
コーディネイ
トとプロジェ
クト管理
・ ( H17 ~
18)会議所主
催の金銀糸資
源活用研究の
発足、参画事
業者の募集
・(H19)京都府
助成金を活用した
製品化可能性調査
・(H20)∞事業
を活用した「燦彩
糸」ブランド開発
・H21~24:
JAPAN ブランド
認定、商標登録
・JAPAN ブラン
ド事業を活用した
テストマーケティ
ング
・会議所から協議会への
事業委譲による参画事
業者の自立促進
・インテリア業界とのコ
ラボレーション開発の
コーディネイト、デザイ
ンアドバイザー設置に
よる商品開発促進支援
・展示会、商談会のコー
ディネイト
大和高田
商工会議

●事例番
号:B-④
「 大 和 木
綿の復興」
を テ ー マ
に し た 大
和 高 田 の
地 域 ブ ラ
ン ド の 構

①「さくらコッ
トン委員会 」
(企業、会議所
=事務局、アド
バイザーなど)
②「元気な大和
高田創造協議
会」(会議所青
年部、市民、市、
公的機関、学校
など)
・事業コンセ
プト立案
・プロジェク
ト起ち上げ、
参画企業、参
画者の巻込み
・事業の推進
・市、市民団
体との調整
・「大和木綿
復興・コット
ンロード展開
事業」による
綿栽培の復興
・「ものづく
りメッセ大和
高田 2007」
開催による域
内ものづくり
企業の連携促

・「大和高田もの
づくりネットワー
ク」起ち上げ
・綿栽培チームの
組成による原材料
確保
・∞事業を活用し
たブランド開発の
調査研究
・「さくらコット
ン委員会」による
ベビー用品開発、
販路開拓支援
・「ベビー&キッ
ズエキスポ」「ギ
フトショー」出展
によるテストマー
ケティング支援
・商品開発アドバ
イザー(伊勢丹バ
イヤーなど)のコ
ーディネイト
・展示会への出展支援
・プレス発表など、マス
コミ対策
・「さくらコットン」の
大人向け商品開発、新用
途開発による事業拡大
企画
・「元気な大和高田創造
協議会」との連携による
市民意識の向上
八代商工
会議所
●事例番
号:A-⑥
地 元 特 産
「晩白柚」
を 活 用 し
た ア ロ マ
事業
①「晩白柚と温
泉による地域
活性化推進委
員会」
②「晩白柚アロ
マ部会」
③「日奈久温泉
マイスター育
成部会」
・商品開発プ
ロデュース
・関係者のコ
ーディネイト
・地域活性化
推進委員会の
設置
・商品実現化
に向けたアロ
マ部会の設置
・商品開発のため
の原料調達、製造
技術、製造設備の
調整
・会議所による販
売体制構築
・デザイン支援
・メディアへの広報・PR
実施
・NHK テレビ放映
・商工会議所HPでのイ
ンターネット販売告知

■「①商工会議所事業牽引型」の効果的支援のポイント
地域資源活用の大枠の設
定と参画事業者の募集
事業の方向性を見据すえて参
画事業者を募集することによ
り、事業の実現が早まる。
事業に合わせた業種組合
への打診
商工会議所がテーマを決めて
それに合わせた業種組合の構
成員を事業に参画させること
によって、業種組合・参画事
業者の販売チャネルに乗せる
ことが可能となる。
商品コンセプトの策定
計画段階で商品コンセプトを
しっかり策定することによっ
て事業化の方向性が明確にな
る。
販路拡大を見据えた原材
料の確保
計画段階で原材料の確保を行
っておくことによって販売チ
ャネル選定や売り上げ目標設
定算出が容易となる。
展示会等の出展によるアン
ケート調査実施と試作品ブ
ラッシュアップ
展示会等でのアンケートを商工
会議所が分析することにより商
品・サービスのブラッシュアッ
プが面的に可能となる。
各種施策活用して、商品開発
単年度でなく、事業を複数年で
のスパンで考えて年度別に施策
を活用することによって成果創
出が可能となる。
展示会、商談会のコーデ
ィネイト、プレス発表、
マスコミ対策
商工会議所の強みであるネ
ットワークを最大限に活用
することによって、PR 効
果が高まる。
会議所 HP でのインタ
ーネット販売告知
商工会議所の信用度の高さ
を HP での直接販売に活用
して拡販を図ることも有効
と思われる。
準備段階 計画段階 実行段階
成果創出
フォロー段階
29
推進委員会と実行部会の
立ち上げ
両方の委員を立ち上げること
によって意思決定と実行部隊
の役割が明確になる。
ワーキンググループの運

商工会議所が事務局となって
WG を運営することによって
進捗管理が容易となる。
参画事業者の調整
計画段階において事業の方向
性を踏まえて参画事業者の選
別調整を行うことも事務局の
重要な役割である。
商品開発のアドバイザーと
のマッチング
商工会議所のネットワークで小
売業バイヤーなどのアドバイス
を得ることにより、顧客ニーズ
を取り入れた商品と販売チャネ
ル構築の近道となる可能性があ
る。
デザイナー活用によるデザ
イン支援
ブランド化を図るためには、既
存の商品デザインに固執せず、
新しい機能性とデザイン性を持
ったデザイン支援を行うことも
重要である。
事業のバリューチェーン構

事業参画者間で構築が困難な場
合は会議所が取り組み主体とな
ることによって事業実現化が可
能となる。
取り組みに応じた専門家の
活用
実行段階での適切な専門家活用
によって事業実現が早まる。
ノベルティ、のぼり制
作、イベント開催などの
販促支援
費用のかかる販促用品を商
工会議所が施策活用して調
達実現支援する。
行政への PR 依頼調整
参画事業者ではプッシュで
きにくい依頼についても商
工会議所が行うことにより
行政も受け止めてくれるこ
とがある。

②地域機関連携型
地域の行政機関や支援機関、観光協会など地域の支援機関と関係団体が明確な役割分担を行っ
て連携し、プロジェクトを推進する類型です。決定・承認機関が上位機関で、その下に、事業
実行組織を持つ場合もあります。

行政の担当部門
商工会議所 事務局
県知事、市長など
事業者団体
経済団体
決定・承認機関
個別プロジェクト
事業者 事業者 事業者 事業者
事業運営
30
支援機関 内容 推進組織 会議所の役割
支援プロセス毎の特徴
準備段階 計画段階 実行段階
成果創出
フォロー段階
青森商工
会議所
●事例番
号:C-①
「 事 業 化
視点」を採
り 入 れ た
観 光 プ ロ
グ ラ ム 開

①決定機関:「青森市
観光振興会議」(副市
長、会議所、観光協会、
関係機関)
②実施機関:「幹事会」
(市、会議所、環境協
会、テーマごとの関係
者)+「プロジェクト
チーム」(関係者、民
間事業者)
・民間シーズ情報
収集
・個別プロジェク
トの企画・提案
・関係者のコーデ
ィネイト
・事業運営
・活動予算の確保
・地域資源の
発掘
・プロジェク
トテーマの策

・「青森市観
光振興会議」
への提案
・プロジェクト計
画策定
・支援策を活用し
た予算確保
・活動賛同者、民
間事業者の取り纏

・プロジェクトに
よる事業活動の企
画・運営
・民間事業者が参
画するモデル事業
の実施による検証
とプロジェクトの
事業化
・民間(「青森魚
菜 セ ン タ ー 共 進
会」)による事業
運営
・プレス発表な
どマスコミ対策
・事業を継承し
た民間事業者の
新規課題への支

・新たなプログ
ラムの投下
弘前商工
会議所
●事例番
号:B-①
白 神 山 地
の「もの資
源」「こと
資源」「と
ころ資源」
を 活 用 し
た ト ー タ
ル な ワ ン
ス ト ッ プ
の 地 域 プ
ロ デ ュ ー
ス活動
3 層による推進
①「弘前感交劇場推進
委員会」(弘前市長、
弘前大学長、会議所会
頭、物産協会会長、観
光協会会長、各専門
家)
②「実務者会議」(上
記機関の事務局)
③「柔らかネット」(業
界団体、参画事業者、
商店街組合、学校、
NPO、市民)
・全体調整
・実務者会議によ
る全体プロデュー

・ 事 業 予 算 の 申
請・確保
・地元関係者
による「やわ
らかネット」
の主催
・∞事業活用
申請
・外部の地域
活性専門家の
招聘
・「弘前感交劇場」
のコンセプト立案
・行政、支援機関
等との調整による
3 層の実施体制整
備、コーディネイ

・活用する地域資
源や開発商品、観
光、販路等の全体
のブランドコント
ロール
・専門家チームを
編成した市場ニー
ズ調査、商品開発
・JAPAN ブラン
ド育成事業の活用
による漆商品の海
外展開支援
・マーケティン
グ効果測定、魅
力度調査などの
フォローアップ
・地域団体商標
登録によるブラ
ンディング戦略
の構築
大阪商工
会議所
●事例番
号:D-②
会議所・行
政・民間が
一 体 で 取
り組む「水
都 大 阪 再
生」による
都 市 整 備
と 観 光 客
誘致
①決定機関:「水と光
のまちづくり推進会
議」(府知事、市長、
経済団体、会議所=事
務局)
②行政許認可機関:
「水都大阪オーソリ
ティ」(府、市の行政
のワンストップ窓口)
③事業実施「(一社)
水都大阪パートナー
ズ」
・推進会議の運営
・新プロジェクト
の企画提案
・民間事業者、市
民等の巻込み、コ
ーディネイト
・関係者(官・民)
の調整
・調査・実証実験
による事業化の検

・民間団体への業
務移管・民営化の
促進
・民間ニーズ
の収集と企画
提案
・関係者の巻
込み
・支援事業を
活用した予算
確保
・支援策を活用し
た調査・実証実験
による事業の検証
・事業受皿団等の
確保
・「(一社) 水都
大 阪 パ ー ト ナ ー
ズ」の事業実行の
サポート
・参画事業者の取
り纏め
・行政、団体との
調整
・∞事業を活用
した PR、プロモ
ーション活動
北九州商
工会議所
●事例番
号:C-③
地 元 企 業
工 場 群 を
中 心 に し
た 産 業 観
光 商 品 の
編集
①連携組織(北九州産
業観光センター*:北
九州商工会議所、市役
所、観光協会)
②実施機関(北九州商
工会議所・産業観光推
進室)
・ツアー参加工場
の調整
・ツアーの企画・
実施
・工場との調

・地域住民の
コーディネイ

・プロジェクト計
画策定
・支援策を活用し
た予算確保
・活動賛同者、民
間事業者の取り纏

・「工場視察ツア
ー」の企画・運営
・旅行会社を通
じた PR
・北九州産業観
光センターを通
じた PR
・独自 PR
久留米商
工会議所
●事例番
号:B-⑥
「 B 級 グ
ルメ」によ
る ま ち 興
し(「B 級
グ ル メ の
聖地」ブラ
ンド化)
①承認機関:「B級グ
ルメの聖地(まち)久
留米実行委員会」(久
留米市・観光国際課、
会議所、久留米観光コ
ンベンション、商店街
組合)
②実行機関:広報部
会、イベント部会、巡
礼部会(民間団体、業
界団体、事業者)
・活動の方向性の
企画立案、総合プ
ロデュース
・実行委員会の統
括事務局(運営)、
市との調整
・部会による個別
事業のプロデュー
ス、参画事業者の
コーディネイト・
調整
・活動予算の確保
・B 級グルメ
によるまちお
こしのシナリ
オ策定
・新規グルメ
の発掘とテー
マ策定
・年度計画の策定
・支援策を活用し
た予算確保
・活動賛同者、民
間事業者の取り纏

・部会による事業
活動の企画・運営
・販促物、HP、プ
ロモーションツー
ル等の作成
・マスコミへの情
報発信
・プレス発表な
ど、マスコミ対

・次年度活動の
計画・仕込み
・中期的な流入
人口増加策の策

31
大分商工
会議所
●事例番
号:D-③
中 心 市 街
地 活 性 化
の た め の
個店支援
①連携組織(大分市役
所、商工会議所、まち
づくり会社)
②実施機関(商工会議
所)
・商店街出店事業
者への個別支援
・市役所、ま
ちづくり会社
との調整
・個店支援事業の
企画と市役所との
調整
・まちづくり会社
サポート
・個店支援の実施 ・市役所、独自
ル ー ト に よ る
PR
鹿児島商
工会議所
●事例番
号:C-④
陸・海・空
の イ ン フ
ラ 等 を 活
用 し た 観
光 振 興 支

①承認機関(九州新幹
線全線開業経済効果
最大化プロジェクト
実行委員会)
②実施機関(鹿児島商
工会議所・観光部会)
・プロジェクト実
行委員会の事務局
と委員会の運営
・民間事業者、市
民等の巻込み、コ
ーディネイト
・関係者の巻
込み
・支援事業を
活用した予算
確保
・プロジェクト計
画策
・活動賛同者、民
間事業者の取り纏

・個別プロジェク
ト実行のサポート
・参画事業者の取
り纏め
・行政、団体との
調整
・オール鹿児島
による大規模キ
ャンペーン
・メディア活用

■「②地域機関連携型」の効果的支援のポイント
地域資源発掘と絞り込みと
決定
地域他支援機関等との連携によ
って違った視点での資源発掘が
可能となる。
参画事業者、関係者がオープ
ンに意見交換できる場の形

参加者を固定せず、オープンに
意見交換できる場を事務局が作
ることにより、柔軟なアイデア
を創出することが可能となる。
委員会、協議会等における関
係者間の調整
商工会議所が事務局となって関
係者の意見調整を行うことによ
って、意見の食い違い等を調整
しやすくなる。
単年度計画、中長期のプロ
ジェクト計画の策定
単年度での事業実現の計画と
その後の中小長期的計画を併
せ持つことによって、事業の継
続性が図れる。
支援施策を活用した予算確

事務局が国・県・市の支援施策
を有効に活用して事業計画を
立てることが事業予算確保に
欠かせないことである。
活動賛同者、民間事業者の
取りまとめ
商工会議所の会員を中心に事
業計画に賛同する事業者を集
めることが事業実現への弾み
となる。
開発商品、観光、販路等
の全体のブランドコント
ロール
商工会議所及び連携支援機
関が特産品やイベント等で
のブランドコントロールを
行うことによって統一感が
保たれる。
モデル事業の実施による
事業の検証とそれを受け
た事業化
試作品販売やモデル事業実
施による結果分析によって
商品・サービスがブラッシュ
アップされ、売れる商品とな
る。
参画事業者の取り纏め
地域をあげての観光事業な
どでは、様々な立場が異なる
事業者のファシリテートが
必要となる。
参画事業者の育成
参画事業者を事業の取組主
体と考え、事務局は後方支援
にまわって、事業者をバック
アップすることが必要であ
る。
効果測定、魅力度調査な
どのフォローアップ
購買客やツアー客へのアン
ケート調査や売り上げの成
果等を事務局が測定して事
業者へフィードバックし、
単発で終わらない事業の継
続化を図る。
プレス発表など、マスコ
ミ対策
商工会議所の得意とする分
野であり、総力を挙げて拡
販を図ることが事業者の弱
みを補完するものとなる。
事業を継承した民間事
業者の新規課題への対
応や伴走支援
事業の取組主体となった事
業者への伴走支援を行うこ
とによって事業継続の成否
を左右する場合がある。

準備段階 計画段階 実行段階
成果創出
フォロー段階
32
③外部の地域プロデューサー活用型
地域資源に詳しい外部の地域プロデューサーを活用して、事業の推進過程でアドバイスを受け
ながら商工会議所が事業を推進する類型です。
支援機関 内容 推進組織 会議所の役割
支援プロセス毎の特徴
準備段階 計画段階 実行段階
成果創出
フォロー段階
糸魚川商
工会議所
●事例番
号:C-②
特産品のヒ
スイを核と
した観光振
興支援
「「ヒスイの聖地プ
ロジェクト委員会」
(糸魚川市観光課、
会議所=事務局、観
光協会、ジジオパー
ク推進室など)
・プロジェクト
の企画・運営
・予算確保
・参画事業者の
コ ー デ ィ ネ イ
ト、取り纏め
・テーマ策定
・地域資源(ヒス
イ)の魅力の棚卸
・商品コンセプト、
ターゲットの策定
・∞事業を活用し
た予算確保
・外部の地域プロ
デューサーの活用
・ミニワークショ
ップ運営等、調査
事業の企画、推進
・ヒスイネイル
商品化検討、テ
ストマーケティ
ング支援
・ネイリストの
コーディネイト
・旅行エージェ
ントとの提携
促進
・ネットによる
情報発信(HP、
Facebook)

■「③外部の地域プロデューサー活用型」の効果的支援のポイント
テーマに沿った参画事業
者メンバー集めと意見調

外部プロデューサー活用の場
合、全てお任せではなく、参
画事業者の意見調整や会議後
のフォローなど事業者に密着
した側面支援が大切である。
外部の地域プロデューサ
ーの有効活用
外部プロデューサーを招聘す
る場合は、プロデューサー活
用の目的を明確にする。
商品化検討、テストマーケ
ティング支援
事務局が試作品のアンケート
調査分析やモニターツアーの
評価などを行って事業者へフ
ィードバックすることが効果
的である。
旅行エージェントとの提
携促進
ツアー事業などの場合は、商
工会議所が旅行エージェント
との商談窓口となって営業活
動を行うことが事業者への販
路開拓支援となり、効果的で
ある。
新商品の追加開発コーデ
ィネイト
事業継続のために、単発の商
品開発ではなく、年度ごとに
商品開発するなど継続性を持
って推進することが望まし
い。
準備段階 計画段階 実行段階
成果創出
フォロー段階
プロジェクト委員会
地域プロデューサー
連携
参画事業者 行政観光課
旅行企画会社
商工会議所
活用
観光客誘致
参画団体 観光施設
33
④参画事業者主体型
商工会議所が事業展開の中でキーと思われる事業者やグループに参画してもらい、商品サービ
スの開発から販売までを見据えて参画事業者の主体性を尊重し、商工会議所は裏方役となって
広報・PR を中心に推進する類型。

支援機関 内容 推進組織 会議所の役割
支援プロセス毎の特徴
準備段階 計画段階 実行段階
成果創出
フォロー段階
小樽商工
会議所
●事例番
号:A-②
未利用果実
酒「小樽美
人」の開発
「未利用果実飲料開
発事業委員会」(会
議所=事務局、酒造
会社を中心とした民
間事業者)
・コンセプト提

・プロジェクト
のコーディネイ

・ワーキンググル
ープの起ち上げと
運営
・近隣支援機関へ
の働きかけ
・∞事業活用申請
・実行委員会の立
ち上げ
・未利用果実を活
用した新商品開発
コンセプトの立案
・開発事業委員会
のサポート
・北海道のモデ
ル事業の活用に
よる試作品開発
のサポート
・展示商談会へ
の出展
・各種コンクー
ルへの出展に
よるプロモー
ション
・プロジェクト
の拡大支援(シ
リーズ化)

■「④参画事業者主体型」の効果的支援のポイント
事業の方向性やターゲッ
トを見据えた会議所によ
る参画メンバーの巻込み
開発商品やターゲットを見据
えて、参画事業者に声掛けし、
参画事業者に積極的に事業を
牽引していただくような場づ
くりを行う。
参画事業者が中心となっ
た商品開発の推進
商品開発における専門家の選
定など事業を推進するために
必要な外部資源を編集するこ
とを事務局が行うことによ
り、参画事業者が開発に専念
できる場が形成される。
会議所と参画事業者の役
割の明確に区分
計画段階で明らかにしたお互
いの役割をしっかりと分担
し、事務局は活用した施策を
逸脱しないようなコントロー
ルを行うことが望ましい
会議所の効果的な PR・プ
ロモーション
取組主体となる事業者を広
報・PR で側面的にバックアッ
プしていく。

準備段階 計画段階 実行段階
成果創出
フォロー段階
リーダー
事業者
商工会議所
参画事業者
商品開発
販売
コーディネイト
参画事業者
参画事業者 参画事業者
事務局
開発委員会
プロモーション支援
近隣支援機関
連携
34
⑤参画事業者成長型
参画事業者が開発する商品・サービスについて、公設試や大学等から技術や品質、デザイン等
のアドバイスを受けることによって、参画事業者を成長させることも目的として、事業推進し
ていく類型です。
支援機関 内容 推進組織 会議所の役割
支援プロセス毎の特徴
準備段階 計画段階 実行段階
成果創出
フォロー段階
旭川市商
工会議所
●事例番
号:A-①
産業技術セ
ンターと連
携した旭川
クラフトの
商品開発支

「旭川クラフト改造
計画協議会」(旭川
市工芸センター、デ
ザイン団体、若手ク
ラフト作家、会議所
=事務局)
・施策を活用し
た補助金確保に
よる事業の推進
・プロジェクト
の管理事務(事
務局)
・旭川市工芸セン
ターによる事業構

・会議所のネット
ワークを活かした
参画事業者のコー
ディネイト
・∞事業を活用し
た事業計画の策定
・(H19)調査事

・施策を活用
した事業推進
・(H20)∞
事業を活用し
他事業推進
・(H23~25)
JAPAN ブラ
ンド事業
・各種バイヤー
の招聘、調整
・展示会、商談
会のコーディネ
イト
府中市商
工会議所
●事例番
号:A-⑤
オリジナル
の雑貨商品
開発研究と
販路開拓の
並行支援に
よる下請け
木工業者の
メーカーへ
の脱皮支援
「商品開発チャレン
ジ研究会」(会議所
主催、参画事業者、
工業技術センター研
究員、大学、デザイ
ナー、プロデューサ
ー等アドバイザー)
・企画、事業推

・(~H19)研
究会主催・運営、
デザイナーなど
支援者のコーデ
ィネイト
・(H20~)展
示会出展支援に
よる商品開発力
向上支援
・支援テーマ(オ
リジナル商品開発
による下請けから
の脱却)設定
・支援手法(研究
会による事業者の
商品開発力育成)
の策定
・会議所の独自事
業「商品開発チャ
レンジ研究会」企
画、運営
・工業技術センタ
ー研究員、デザイ
ナーなど支援者の
取り纏め
・(H16~)
研究会による
商品開発研究
と展示会出展
による販路開
拓の並行支援
・展示会への毎
年の出展支援
・有力バイヤー
との商談会(H
21)、首都圏の
ショップへの営
業支援(H22)
逆見本市形式の
商談会(H25)
など、広範な販
路開拓支援
伊万里商
工会議所
●事例番
号:B-⑤
伊万里鍋島
焼と地域産
物を組み合
わせた特産
品開発によ
る「伊万里
ブランド」
の再強化
プロジェクトチーム
(会議所=主催、佐
賀県窯業技術センタ
ー、デザイナー、プ
ロデューサー等助言
者、参画事窯元)
・新規特産品の
企画、プロデュ
ース
・開発特産品の
関係者・事業者
のコーディネイ
ト、連携体の組

・支援コンセプト、
特産品コンセプト
策定
・技術センターな
どとの連携による
支援体制づくり
・関連事業者への
提案、取り纏め
・∞事業を活用し
た連続的な支援計
画立案(伊万里ブ
ランド商品開発計
画)
・「大山内山振興
協議会」への提案
・参画窯元の取り
纏め
・窯元と提携事業
者のコーディネイ

・部会ごとの
研究のサポー

・デザイナー、
プロデューサ
ーなど、アド
バイザーの招

・展示会への毎
年の出展支援
・イベント出展
支援
意欲ある事業者
助言
商品開発
コーディネイト
販路開拓支援
協議会 商工会議所
事務局
デザイナー
技術センターなど
専門家
意欲ある事業者
意欲ある事業者
意欲ある事業者
意欲ある事業者
意欲ある事業者
35

■「⑤参画事業者成長型」の効果的支援のポイント
公設試、工業技術センター
等の支援機関と連携した
事業推進
地場産業の育成など、事業の
中で参画事業者を育成・サポ
ートする体制を構築すること
が有効となる。
会議所による支援コンセ
プトや特産品コンセプト
の策定
会議所や連携機関がテーマや
事業コンセプトをあらかじめ
設定することにより、事業者
がその方向に沿って事業を進
めやすくなる。
参画事業者の技術レベル、
商品開発力を伸ばし、新商
品・サービスを磨きあげる
仕組みを構築
参画事業者には商品やサービ
スのブラッシュアップに集中
できるように、他に発生する
業務は全て事務局が行うよう
な仕組みを作ることが有効で
ある。
工業技術センター研究員、
デザイナーなど、プロの支
援者のコーディネイト
参画事業者の育成・成長につ
ながるような専門家の選定が
必要となる。
展示会出展と販路開拓の
並行支援
参画事業者のみなさんの商品
や作品を見せる場(展示会・
商談会)を提供し、参加者の
意見を聞き、それを商品のブ
ラッシュアップに活かし、更
に展示会等に来ていただいた
取引可能性のある事業者に繋
いでいくことが効果的であ
る。
会議所による継続的な展
示 会 等 の 出 展 支援や 広
報・PR 支援
継続した展示会への出店等の
アレンジを事務局が行い、ブ
ランド確立を推進する。
有力バイヤーとの商談会
設定、首都圏のショップへ
の営業支援など、販路開拓
の直接支援
商工会議所の外部事業者から
の信頼度やネットワークを活
用して直接販路開拓にあたる
ことによって商品の価値も高
めってくるものと考えられ
る。

準備段階 計画段階 実行段階
成果創出
フォロー段階
36
【参考】参考までに、46 事例の事業推進形態の傾向について記載します。
①46 事例の類型割合
下図は、46 事例全体の事業推進形態の類型の割合です(類型名の後の数値は事例件数)。多い順に、「②地
域機関連携型」(19 事例・41%)、「①商工会議所事業牽引型」(16 事例・35%)、「④参画事業者主体型」(6
事例・13%)、「⑤参画事業者成長型」(4 事例・9%)、③外部の地域プロデューサー活用型(1 事例・2%)
となりました。
②4 テーマ別の類型割合
次に、46 事例を 4 テーマ別に区分した上で、各類型の割合を見てみました。
<A.地域資源活用>(12 事例)
「③外部・地域プロデューサー活用型」以外
の 4 つの類型が万遍なく見られますが、事業
者が中心となって地域資源を活用した商品
開発を行う場合も多いため、他の支援テーマ
よりも「④事業者主体型」の割合が多くなっ
ています。
<B.地域ブランド化>(12 事例)
「①商工会議所事業牽引型」と「②地域機関
連携型」の2類型で、全体の 75%を占めて
います。この2つの類型は明確な区分が難し
く、本稿では、協議会など地域機関連携の形
を採ってはいるものの、商工会議所が企画・
プロデュースの柱となって進めている活動
に関しては、「①商工会議所事業牽引型」に
分類しています。
①商工会議所
事業牽引型, 16
②地域機関連
携型, 19
③外部の地域
プロデューサー
活用型, 1
④事業者主体
型, 6
⑤参画事業者
育成型, 4
【参考】事業推進形態の類型(46事例)
①商工会議所
事業牽引型, 3,
25%
②地域機関連
携型, 2, 17%
③外部・地域
プロデュー
サー活用型, 0,
0%
④事業者主体
型, 4, 33%
⑤参画事業者
育成型, 3, 25%
A.地域資源活用
①商工会議所
事業牽引型, 5,
42%
②地域機関連
携型, 4, 33%
③外部・地域
プロデュー
サー活用型, 0,
0%
④事業者主体
型, 2, 17%
⑤参画事業者
育成型, 1, 8%
B.地域ブランド化
37
<C.観光>(14 事例)
本テーマは地域全体の活動となるため、「②
地域機関連携型」が全体の 6 割弱を占めてい
ますが、商工会議所が企画・プロデュースし
て観光開発を進めている「①商工会議所事業
牽引型」事例も 5 事例見られました。また、
他のテーマには見られない「③外部・地域プ
ロデューサー活用型」が1事例ありました。
<D.まちづくり>(8 事例)
本テーマでの事業推進形態は、「②地域機関
連携型」(63%)と「①商工会議所事業牽引
型」(37%)の2類型のみとなりました。8
事例の内4事例が、中心市街地活性化計画や
都市再生プロジェクトといった大きな計画
の中で、商工会議所が官民の調整や参画事業
者の取り纏めなどを行いながら、個別プロジ
ェクトを進めています。
①商工会議所
事業牽引型, 5,
36%
②地域機関連
携型, 8, 57%
③外部・地域
プロデュー
サー活用型, 1,
7%
④事業者主体
型, 0, 0%
⑤参画事業者
育成型, 0, 0% C.観光
①商工会議所
事業牽引型, 3,
37%
②地域機関連
携型, 5, 63%
③外部・地域
プロデュー
サー活用型, 0,
0%
④事業者主体
型, 0, 0%
⑤参画事業者
育成型, 0, 0%
D.まちづくり
38
(3)支援プロセスの体系
今回の 19 の事例取材を通して、地域活性化のための面的支援プロセスには一定の取り組み段
階と支援のポイントがあることが見えてきました。その支援プロセスと支援機関として留意する
支援ポイントについて説明します。

■面的支援プロセスとプロセス毎の支援のポイント

①事業推進体制づくり
⑤地域資源の
絞り込み
⑦ターゲット
顧客の明確化
⑨商品、サービスの特徴づけ商品化
(テストマーケット、ブラッシュアップ等)
地域をプロデュース
する機能の存在
事務局機能の構築
地元の人を表に出す
地域の思い、専門家の
知見、優先順位付け等
調整
補助施策活用の場合等
の期間内での成果創出
留意
テストマーケット等で
のアンケート集計・分
析、参加者意見調整
販路確立のための参画
業者の意見調整
商工会議所ネットワー
クを活用した展示会、
商談会出展。メディア
への働きかけ
事業継続のための各施
策の活用
準備段階
計画段階
実行段階
成果創出
フォロー段階
支援のポイント(抜粋)
④地域資源発掘
⑧事業スケジュール作成
⑩販売チャネルの確立
⑪効果的広報・PR 活動
⑫商品・サービスの多様化
⑬ブランド力構築
⑥地域資源の
順位付け
②メンバー集め
役割分担 ③専門家活用
39
次に、取材 19 事例全体を俯瞰して、各支援プロセスにおける支援ポイントついてまとめます。
■支援プロセスごとの支援のポイント
支援の段階 支援プロセス項目 支援のポイント
準備
段階
①事業推進体制づ
くり
・プロジェクト全体を設計し、様々な専門家を活用してコーディネイトし、
進行を調整する役目をもつ機能が必要と思われます。人脈の広さや交渉力、
調整力が不可欠と思われます。この機能を担うのが、自治体の担当者、商
工会・商工会議所の担当者などがあげられると思います。また複数の担当
者がこの機能を担うこともありうると思います。具体的には「特定の個人」
となりますが、プロジェクトにとっては必要不可欠の機能となります。
・商工会・商工会議所が事務局となって他機関にアプローチして、事業者
が参画できる受け皿となる協議会等を組織化することが望ましいです。
・地域活性化プロジェクトのゴールを決めるのはあくまで地域の人たちで
す。外部専門家、自治体の担当者、商工会・商工会議所の担当者などはあ
くまで黒子に徹し、プロジェクトの成果は、プロジェクトが進んだ後に現
れるのではないかと思われます。言い換えれば、地域の人たちの想いを繋
ぎ合わせて計画にまとめ、それを遂行するために情報や技術を提供してい
くことが大切ではないかと思います。
②メンバー集め
・すでに何らかの取り組みがある場合は、既存の体制を軸にメンバーの過
不足を調整します。新しい取り組みの場合は、キーパーソンを中心に商工
会議所から声をかけます。事業の内容・目標を踏まえて戦略的なメンバー
集めを行うことがポイントとなります。また、商品開発にあたっては、タ
ーゲット層を想定したメンバーを選定することも有効です。
③専門家活用
・プロジェクトの進行状況に応じてその道の専門家が必要になると思われ
ます。例として、地元の食材を使った特産品を開発するプロジェクトであ
れば、レシピを開発するシェフや専門家、パッケージ開発や広告などを作
成するデザイナー、販路開拓を行うマーケティングの専門家などです。そ
のような専門家を探し出してチーム編成を行ってプロジェクトを進行して
いくのも事務局の役割と考えられます。
④地域資源の発掘
・専門家の活用、ワークショップ、各種調査の実施等を行って地域資源を
掘り起こす作業が必要となります。事務局は参画事業者の発掘作業をファ
シリテートし、場合によっては、専門家を活用して全体のとりまとめを行
います。

計画
段階
⑤地域資源の絞り
込み
・地域資源を絞り込む際に必要な視点として、「客観性」「地域の思い」「専
門家の知見」などが考えられます。「事業者が多く参加できる」「地域での
認知度が高い」などの視点も付けくわえて参画事業者の意見のとりまとめ
を行い、優先順位付けを行います。また「未利用資源×地域に根差した技
術」などの地域資源の組み合わせや地域資源の用途を考慮することなど、
柔軟な発想で参画者の意見調整を行うことも重要です。
⑥地域資源の順位
付け
・地域資源を活用して事業を実施する段階ですが、事業は優先順位付けし
たものから行うこととなりますが、一つに絞らず、想定外の展開も考慮し
て複数の可能性を残しておくことが良いと思われます。
40
⑦ターゲット顧客
の明確化
・プロジェクトの参画事業者は、年齢も業種も違うことが多くあります。
そのような関係の中で、どのようなターゲットを想定して事業を行うかが
共有されていなければ事業遂行に影響が出ます。ターゲットを明確に定め
て事業の開始時点から共有化することが重要です。事務局はこの点も参画
事業者を取りまとめていくことが求められます。
⑧事業スケジュー
ル作成
・事業スケジュールの作成にあたり、事務局は商品開発から販路開拓、広
報・PR にいたる細目のスケジュールを立て、補助金を活用して実施する項
目など全体を網羅した計画を作成する必要があります。また、だれがどの
程度費用を負担するかも関係者で事前に話し合って適切に調整することが
重要です。
実行
段階
⑨商品、サービス
の特徴づけ・商品

・商品化する段階では、計画段階での役割分担を継承して、試作品を商品
へブラッシュアップすることや、モニターツアーから本格的なサービスへ
の移行といった、商品化を図る必要があります。展示会やモニターツアー
などでアンケートを行い、事務局で集計・分析しておくことが良いと思わ
れます。
・商品の特徴づけ、差別化の確立、独自デザインの強化、生産体制の確立、
知的財産の管理・活用、具体的に事業推進する事業者または新法人設立な
ど事業化の中身について具体的に構築することが重要です。
⑩販売チャネルの
確立
・プロジェクトの中の誰が販売するのか、どのようなルートで販売するの
か、地域限定か全国展開か、直販か卸売業者経由かなど、プロジェクトの
中で話し合って決めることが重要です。参画事業者の中から取り組み主体
が出て来ることが望ましいですが、スタートは商工会・商工会議所が販売
窓口になることも考えられます。できれば期間を経て、民間へ委譲するこ
とを視野に入れた方がよろしいかと思います。
成果創出・
フォロー段

⑪効果的広報・宣
伝活動
・商工会・商工会議所の強みである、地域ネットワーク、他地区の商工会
議所ネットワーク、メディアとのネットワーク、展示会・商談会などを活
用して開発した商品・サービスを PR していく場面です。地元行政を巻き
込んで、組織全体でプロモーション活動をおこなうこととなります。
⑫商品・サービス
の多様化
・単発での商品化では、地域ブランドを構築していくことは難しいと思わ
れます。単年度毎に一つずつ開発していき複数年で商品をシリーズ化して
いき参画事業者が面的な広がりを見せることも有効かと思います。また、
地域活性化は単年度で成果を出ることは稀であります。事務局は、複数年
にわたる補助金の活用やその時々に合った施策の活用も考えながら事業を
推進していくことが重要と考えられます。
⑬ブランド力構築
・「ブランド」を構築させるためには、事業者の思い入れだけでなく、消費
者が満足することが必要です。そのためには、事務局が中心となって、地
域としてなんのためにブランド化を図るのか、どのようなプロセスでブラ
ンドを構築していくのか、関係者で議論をしながら理解を深めて取り組ん
でいくことが必要と思われます。

41
(4)面的な地域活性化のポイント
本研究では、地域資源の活用を切り口として地域活性化に取り組む事例を見てきました。従来
の地域資源活用の支援では、単独企業や一部事業者の経営力強化には資するものの、必ずしも地域
全体の活性化を目指した支援ではなかったという側面がありました。
しかしここにきて、地域活性化の重要性が見直されると共に、地域資源を活用しつつ、地域への
波及が強く求められる状況となっています。
以下に、19 事例による「面的な地域活性化の特徴」をまとめました。これらが、地域資源を活用
しつつ地域の活性化を面的に広げるためのヒントを与えてくれるのではないでしょうか。
①19 事例の面的波及の仕掛けのタイプ
下表は、19 の事例がそれぞれどのような仕組みにより、面的な波及効果を目指しているかをまと
めたものです。
特長 面的波及の仕組みのタイプ 該当する事例※
地域内事業者の力を
活用
垂直連携による商品開発 小樽商工会議所、小山商工会議所、八代
商工会議所
水平連携による
商品開発
同業種の連携 城陽商工会議所、大和高田商工会議所、
糸魚川商工会議所、八代商工会議所
同業種団体の連携・
活用
青森商工会議所、ひたちなか商工会議
所、久留米商工会議所、八代商工会議所
地場産業・伝統産業
の底上げ
旭川商工会議所、府中商工会議所、伊万
里商工会議所
異業種連携による商
品開発
弘前商工会議所、安城商工会議所、伊万
里商工会議所、糸魚川商工会議所
官民一体となった取
組み
協議会などによる官民一体となった地域
連携
弘前商工会議所、小山商工会議所、大阪
商工会議所、久留米商工会議所、北九州
商工会議所、鹿児島商工会議所
市民運動との一体化 安城商工会議所、大和高田商工会議所、
北九州商工会議所、鹿児島商工会議所
※1 つの事例で複数の項目に該当する場合は、それぞれの項目に記載しています。事例の詳細は、別途、地域活性化事例
をご参照ください。

②中長期の支援と活動の持続
19 の事例はそれぞれ、中長期にわたる支援を継続していました。長いものでは 10 年以上も継続
支援を続けている事例もあります。地域の活性化は一朝一夕に達成できることではなく、3 年、5
年、10 年後のビジョンを描いて目標を設定していかなければなりません。
このような長期にわたる支援活動を途切れることなく好循環で推進するためには、∞事業やふる
さと名物応援事業のような各種支援策を如何にして計画に組み込んで上手に活用するか、支援者の
施策活用についてのスキルが求められています。

42
(5)面的な地域活性化の課題
最後に、面的な地域活性化を進めるにあたっての課題に関して事例取材を通じて考察しました。
①活動の継続
まず、短期間で地域活性化の成果を創出するのは難しいことを念頭に置けば、活動の継続性をど
のように確保するかが課題となると思われます。成果がうまく上がらない事例においては、∞事業
など施策を活用した年度は活発に活動を行うものの、助成金等が終了した後は活動が不活発になっ
てしまったものが見られました。地域活性化は、10 年単位の長期的な地域の活動が求められますの
で、施策事業が終了した後も継続して活動が続けられるような仕組みや仕掛けを作る必要がありま
す。
そのための仕組みの代表的なものとしては、①各種施策をリレー式に繋ぎ、プロジェクトを継続
する。 ②商工会・商工会議所の独自事業として事業を継続する。 ③民間で事業を回せるような
計画とする。 などが挙げられますが、いずれにせよ、活動を計画する時点での中・長期的な戦略
の策定が求められます。
②長期的な目標の策定とベクトル合わせ
活動の継続とも関連しますが、活性化の活動を面的に広げるためには、10 年後、20 年後といっ
た長期的な目標の策定が欠かせません。単年度の施策を活用した支援は、とかく「地域資源を活用
して商品を作る」など短期的な目標を立てがちです。
しかし、単一の企業支援ならともかく、地域への波及を考えた場合、こうした短期的な目標だけ
では不十分です。地域の産業としての生産→加工→販売のバリューチェーンを確立するとか、「○○
のまちxxxx」など、地域のブランド化を図るなどの長期的な目標を策定することが必要です。
長期的な目標策定のためには、地域内の関係者とのベクトル合わせをする必要もあります。その
意味では、活動初期にどのような関係者を巻込んで活動を開始するか、という活動の体制作りが大
きな課題であるとも言えます。
下図は、上記課題の①と②をまとめた活動のイメージ図です。
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③事業者の育成と自立化の促進
当初は、商工会・商工会議所が事業を推進するとしても、どこかのタイミングで民間による事業
運営へと移行することが必要です。いつまでも支援機関が主軸で活動を続けていると、支援機関の
負担も大きくなり、他の活動にも支障が出かねません。また、事業者も自分達で工夫をする努力を
怠ったり、事業者自身の成長を妨げる事にもなりかねません。支援機関は、事業者の成長と自立を
念頭に置いて、支援の範囲や支援の期間を決める必要があります。
事例で多く見られたのは、事業の方向性と参画事業者が固まって来た段階で、事業運営を事業者
主体の協議会などに委譲し、支援機関は展示会出展支援など側面支援に回るものでした。
一方、地域資源の活用により地域活性化を図る場合は、参画者事業者が小規模なため、自分達で
事業を回す体力がない場合もあります。そのような場合は、事業者団体を組成したり、6 次産業化
を活用して会社組織化を図るなど、複数の事業者が協力し合える体制の整備を支援することも考え
られます。
④まとめ
商工会・商工会議所は商工団体であり、自治体のように地域に対する直接的な支援を期待されて
いる訳ではありません。しかし、商工団体であるがゆえに、地域内の事業者の情報を多く保有し、
接する機会が最も多いのも、商工会・商工会議所であると言えます。
この点を考えると、商工会・商工会議所の役割として、「地域活性化を推進する関係者取り纏め」
「地域資源の発掘、民間事業者のシーズの吸い上げ」「それらを活用した事業提案・企画」「事業者
間連携のマッチング」「行政と民間事業者間の調整」「事業立ち上げ後のフォロー支援」などが求め
られていると思われます。
同時に、商工会・商工会議所だけで進めるのではなく、自組織に無い機能を他の関係機関や関係
者で補完するという柔軟な考え方も必要となるでしょう。
以 上

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■附属資料:支援者のための地域活性化ツール
本研究では、支援関係者が地域資源を発掘して地域活性化を図る計画の策定をサポートするため、
下記の支援ツールを用意しました。使い方を説明しますので、ご活用ください。
ツール名 構成シート 使い方
地域経済活性化支援ツール(1)
_ 地 域 資 源 テ ー マ 発 掘 シ ー
ト.pptx
①「地域資源の棚卸」
地域資源の分類に従い、地域内の資源をリスト
アップし、地域資源を棚卸・発掘するために使
用するシート
②「地域資源活用マトリックス」
発掘した資源を組み合わせて、今までとは違う
用途を見出したり、新たな価値を探るために活
用するシート
③「地域資源活用 アイデアノー
ト」
②「地域資源活用マトリックス」シートで組み
合わせた地域資源をどのように活用するか検
討するシート
④「地域資源 絞り込みシート」
発掘した地域資源や、②「地域資源活用マトリ
ックス」で抽出した活用方法を評価し、優先順
位付けを行うためのシート
地域経済活性化支援ツール(2)
-1_地域活性化計画シート.doc
【地域活性化 計画シート】①
(概要)
「活用する地域資源」や「活用方法」、「計画の
目標」や「活性化コンセプト」などをまとめる
整理シート
【地域活性化 計画シート】②
(関係者の整理表)
関係支援機関やキーパーソンなど、地域活性化
に欠かせない関係者をリストアップするため
のシート。
【地域活性化 計画シート】③
(商品・サービス開発)
地域資源を活用した商品・サービスのコンセプ
トやターゲット、販売チャネルなどのマーケテ
ィングの 4P を検討してまとめるためのシート
【地域活性化 計画シート】④
(スケジュール)
活性化計画のスケジュール概要を短期と中・長
期で策定するためのシート。下記2種を用意。
■事業スケジュール(概要)
■事業スケジュール(詳細)
【地域活性化 計画シート】⑤
(事業費の概算)
試作品開発費など計画に必要な事業費と、その
調達方法を検討するシート。計算には、下記の
「地域経済活性化支援ツール(2)-2【附属資
料】地域資源活用計画シート(概算費用計算シ
ート).xls」が利用できる
地域経済活性化支援ツール(2)
-2_地域資源活用計画シートの
概算費用計算用.xls
上記「地域活性化計画シート」⑤ (事業費の
概算)のための計算シート

ツールの活用フロー
制作著作 独立行政法人中小企業基盤整備機構 経営支援部 支援機関サポート課
作成担当 髙橋 順一(平成 23~26 年度 全国支援ネットマネージャー)
松嶌 葉子(平成 23~27 年度 全国支援ネットマネージャー)
地域支援機関等サポート事業 ホームページ
http://www.smrj.go.jp/keiei/chiikiryoku/index.html