札幌市まちづくり戦略ビジョン(ビジョン編) 平成25年2月26日議決

○札幌市まちづくり戦略ビジョン(ビジョン編)
平成25年2月26日議決
札幌市まちづくり戦略ビジョン(ビジョン編)
目次
第1章 はじめに
第2章 社会経済情勢の変化と札幌
第1節 札幌を取り巻く社会経済情勢の変化
第2節 札幌・北海道の魅力と資源
第3章 私たちが目指す札幌市の将来
第4章 まちづくりの基本目標
第1節 地域 ~つながりと支え合い~
第2節 経済 ~暮らしと雇用を支える~
第3節 子ども・若者 ~健やかに育む~
第4節 安全・安心 ~人に優しいまち~
第5節 環境 ~次世代へ引き継ぐ~
第6節 文化 ~創造性を育む~
第7節 都市空間 ~魅力と活力のある都市の形成~
第5章 ビジョンの推進に当たって
第1節 基本理念
第2節 基本姿勢
第3節 戦略ビジョンの効果的推進
第1章 はじめに
1 策定の背景
私たちのまち札幌は、北の大地に、自然の恵みと共に暮らしてきた人たちと、日本各地から移り住んできた人たちとが、それぞれの伝統と文化を紡ぎ、育みながら、外国の先進の英知も取り入れて、文化の薫る国際都市へと飛躍的な発展を遂げてきました。
(1) 黎明れいめい期
明治2年(1869年)に開拓使が設置され、政府の開拓政策の拠点となった札幌は、大正11年(1922年)の市制施行などを経て、道路や路面電車、上下水道など、都市基盤の整備が順次進められてきました。また、人口も増え続け、昭和15年(1940年)には函館市を抜いて北海道最大の都市となり、今日の札幌の骨格が形成されました。
(2) 成長期
第二次世界大戦後から昭和40年代前半までは、国による行政事務の効率化を目的とした市町村の合併が促進され、札幌においても、周辺町村との合併による市域の拡大と人口増加が続きました。同時に、道内他市町村からの流入により飛躍的に人口が増加し、これらに対応した市街地や都心部の整備が進み、昭和45年(1970年)には人口が100万人を超え、日本有数の大都市へと発展しました。
(3) 躍動期
昭和47年(1972年)、アジアで初めて開催された冬季オリンピック大会を契機として、新たに地下鉄や地下街などが整備され、まちの様相が一変するとともに、市民の生活も大きく変わりました。また、政令指定都市に移行し、区役所を中心として各区の特色を生かしたきめ細やかな行政が行われる体制になりました。その後、昭和60年(1985年)頃までの間に、上下水道の普及率や道路の舗装率は共に90%を超えるなど、基礎的な都市基盤が整備されました。
また、この時期には、姉妹・友好都市提携を結んだポートランド市、ミュンヘン市、瀋陽市及びノボシビルスク市との間で、文化、スポーツ、教育、経済を始めとした幅広い分野で交流が行われるなど、国際都市へと大きく発展を遂げました(平成22年(2010年)には、大田広域市と提携)。
(4) 成熟期
市民の生活意識や価値観が多様化し、暮らしにうるおいやゆとりといった心の豊かさが求められるようになり、市民の関心は、生活基盤の充足だけでなく、文化芸術など生活の質の向上にも向けられるようになりました。こうした中、札幌芸術の森、札幌コンサートホールKitara及び札幌ドームが相次いで整備されたほか、PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)などの文化芸術イベントや、サッカー・野球などのプロスポーツが根付くなど、市民が文化芸術やスポーツを身近に楽しむ環境が充実しました。さらに、近年では、サッポロ・シティ・ジャズ、札幌国際短編映画祭、さっぽろアートステージといった、新たな文化芸術の活動が生み出され、市民や札幌を訪れる人々の創造性を育んでいます。
また、平成16年(2004年)に従来の連絡所が「まちづくりセンター」に改編され、様々な地域のまちづくり活動の拠点としての機能が強化されることにより、まちづくりに市民が盛んに参加するようになってきました。これを契機に、平成19年(2007年)には札幌市自治基本条例が、平成20年(2008年)には札幌市市民まちづくり活動促進条例が相次いで制定され、市民がまちづくりの主役であるという考え方が明確に位置付けられました。
さらに、同年、札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例が制定され、幅広い世代がまちづくりに参加できる環境が整ってきました。
こうした取組を通じて、市民の間に、市民自治の意識が着実に根付き始めています。
(5) 新たな創成期 ~未来へ~
そして今、札幌は、大きな転換期を迎えようとしています。
増加の一途をたどっていた札幌市の人口は、近い将来、少子高齢化を背景として、市制施行後、初めて減少に転じることが見込まれており、また、かつて経験したことのない超高齢社会を迎えつつあります。さらに、生産年齢人口の減少により、経済規模の縮小が懸念されています。
そして、地球規模で環境・エネルギー問題が深刻化する中、平成23年(2011年)3月11日に、東日本大震災という未曽有の災害が発生しました。この大震災は、被災地だけでなく、日本全体に防災に対する心構えや、地域における支え合いなどの重要性を改めて認識させることとなりました。
加えて、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故の発生によって、原子力が決して安全で安定的なエネルギーではないことが明らかになりました。
こうした社会情勢の変化の中、私たちは今までの価値観を転換し、先人の培ってきた財産と、一人一人の創造性を生かして、「新たな創成期」を切り開いていくことが求められています。
2 策定の趣旨
札幌市では、平成32年(2020年)を目標年次とする札幌市基本構想(平成10年(1998年)議決)と第4次札幌市長期総合計画(平成12年(2000年)策定)に基づき、計画的にまちづくりを進めてきました。
しかし、少子高齢化や人口減少、札幌・北海道経済の長期にわたる低迷、福島第一原子力発電所の事故をきっかけとしたエネルギー政策の見直しなど、札幌を取り巻く社会経済情勢が、計画策定時の想定を超えて、大きく変化しています。
このような状況の中で、国は、中央集権による画一的な地域づくりから脱却し、地域のことは地域の住民が責任を持って決める「地域主権型社会」の実現に取り組んでいます。
札幌市でも、札幌市自治基本条例を制定し、「自分たちの地域のことは、自分たちで考え、決め、そして行動する」という理念の下、「市民が主役のまちづくり」を進めるなど、まちづくりの基本的な考え方が大きく変わっています。
こうした状況の中、私たちが、目指すべきまちの姿とまちづくりの方向性を共有し、共に取り組んでいくために、札幌市まちづくり戦略ビジョン(以下「戦略ビジョン」という。)を策定するものです。
3 位置付け
戦略ビジョンは、これまでの札幌市基本構想と第4次札幌市長期総合計画に替わる新たなまちづくりの基本的な指針として、札幌市自治基本条例第17条の規定に基づき策定するものであり、札幌市のまちづくりの計画体系では、幅広い分野にわたる総合計画として最上位に位置付けられます。それぞれの分野には、法令に基づくものや札幌市が独自に策定するものなど、様々な個別計画がありますが、これらは、いずれも戦略ビジョンの基本的な方向に沿って策定し、推進していきます。
また、札幌市は、戦略ビジョンにおける基本的な考え方に基づく個々の施策・事業の展開に当たって、中期の実施計画を策定し、効果的で着実な実行を図っていきます。
4 計画期間と目標年次
平成25年度(2013年度)から平成34年度(2022年度)までの10年間を計画期間とし、平成35年(2023年)を目標年次と設定します。
5 特色
(1) 市民と共有できるビジョン
市民自治によるまちづくりを目指し、市民と共有するための「市民計画」として位置付けるとともに、広く市民の参加を得ながら共につくり上げることにより、「市民と共有できるビジョン」にすることを基本的な考え方としています。
(2) ビジョン編と戦略編
戦略ビジョンは、私たちが一体となってまちづくりを進めるために、目指すべき将来のまちの姿を描いた「ビジョン編」と、主に行政が優先的・集中的に実施することを記載した「戦略編」で構成しています。
(3) 実施型から未来実現型への転換
これまでの長期総合計画では、行政が実施することを記載していましたが、戦略ビジョンでは、10年後に実現を目指すまちの姿を示し、市民と行政が一体となって取り組むまちづくりの方向性を示します。
(4) 役割分担の明確化
戦略ビジョンでは、私たちが一体となってまちづくりに取り組み、目指すべきまちの姿を実現するため、市民、企業、行政など、様々な主体の役割分担を明確にしています。
第2章 社会経済情勢の変化と札幌
これから迎える人口減少・超高齢社会は、私たちの暮らしに様々な影響を及ぼすことが予想されています。また、グローバル化の進展は、ヒトやモノが容易に国境を越えることを可能にし、世界の経済動向が、地方の経済や雇用に与える影響をより大きなものとしています。加えて、地球規模で深刻化する環境・エネルギー問題では、福島第一原子力発電所の事故が、私たちのエネルギーに対する考え方を変えるきっかけとなり、暮らしにも大きな影響を与えています。
今後のまちづくりでは、このような変化を的確に捉え、札幌の強みを生かしながら、目指すべき都市像の実現に向け、道筋を定めていくことが必要です。
この章では、札幌を取り巻くこれらの変化から生じる課題を踏まえた上で、今後の取組の方向性と、その中で生かしていくべき札幌・北海道の魅力や資源を示します。
第1節 札幌を取り巻く社会経済情勢の変化
1 人口の将来見通し
(1) 札幌市の人口
札幌市の人口は、これまで一貫して増加傾向にありましたが、平成27年(2015年)前後をピークに減少傾向に転じることが予測されており、同年からの10年間で見ると、193万7千人から191万1千人へと1.3%減少する見込みです。
また、平均寿命の延びや出生率の低下により、少子高齢化が急速に進行し、高齢化率は、平成27年(2015年)からの10年間で25.1%から30.5%へと上昇する見込みです。
(2) 北海道の人口
北海道の人口は、既に減少傾向にあり、平成27年(2015年)からの10年間では、536万人から493万7千人へと7.9%減少する見込みです。そのうち札幌市を除く道内市町村の人口は、344万5千人から306万9千人へと、10.9%減少する見込みです。
また、高齢化率は、同じく10年間で29.0%から34.0%(札幌市を除く道内市町村の場合、31.3%から36.5%)へと上昇する見込みです。
2 人口減少・超高齢社会を迎える札幌
(1) 地域・暮らしへの影響
ア 超高齢化
(ア) 現状・課題
札幌市の人口が減少する局面に入っても、高齢者は大幅に増加することが見込まれています。また、少子高齢化の進行を背景として、支援や見守りが必要な要介護者や障がいのある方が増加傾向にあります。
加えて、高齢単身世帯数は、今後も増加傾向が続き、平成37年(2025年)には、おおむね8世帯に1世帯が高齢単身世帯となる見込みです。
また、今後、支援や見守りが必要な高齢単身世帯が増えることが予測される中、地域コミュニティの中核を担っている町内会の加入率は、年々低下しています。
一方、国において、平成24年(2012年)に新たな高齢社会対策大綱が策定され、これまでの「人生65年時代」から「人生90年時代」への転換など、今後の高齢社会対策の方向性が大きく見直されようとしています。
この中では、「65歳以上は支えが必要な人」という年齢一律による概念を変えていくことや、社会保障制度における、自助・共助・公助のバランスの最適化などについて、基本的な考え方が示されています。
(イ) 取組の方向性
高齢者の社会的孤立や孤立死を未然に防ぐため、身近な住民同士のつながりを維持・強化することが必要です。
特に、町内会を始めとした地域の団体の更なる活性化とともに、新たなつながりを生み出すコミュニティの形成が重要です。
また、年齢などによる画一的な基準ではなく、個々の状況に応じたサービスを受けられるようにする必要があるとともに、元気な高齢者は、地域社会を支える重要な一員として、健康を保ちながら、活躍していくことが期待されます。
さらに、少子化に歯止めをかけるためには、子どもを生み育てやすい環境づくりが求められます。
イ 地域によって異なる人口推移
(ア) 現状・課題
これまで札幌市の人口は、緩やかに増加を続けてきましたが、早くから開発された郊外の大規模な住宅団地では、人口減少が始まっている地域が既に多く見受けられるほか、地下鉄やJR沿線においても、一部の地域で人口の減少が見られます。特に、郊外の大規模な住宅団地では、開発当時、同じような年齢層や家族構成の世帯が一斉に移り住んできましたが、それから30年以上経った現在、当時の子どもたちが成長して団地を出ていくことにより、人口の減少や高齢化の進行、空き家の増加といった問題が生じています。
一方で、マンションの立地が活発な地域や新しく開発された郊外の住宅地などでは、若い世代の流入が比較的多く、人口が増加するとともに、高齢化率が低い地域も見られます。
このように、札幌市内の人口動態や年齢構成は、地域によって大きく異なっている状況にあります。
(イ) 取組の方向性
今後も、地域の状況や特性に合わせたまちづくりを進めることが重要です。このためには、町内会を始めとした地域の団体の活性化を図るとともに、近年、増加しているNPOなど、多様な活動主体が連携してまちづくりに取り組むことが求められます。また、自動車を持たない高齢者なども安心・快適に暮らせるまちづくりを進めることも重要です。
(2) 生産年齢人口の減少による経済規模の縮小
ア 現状・課題
札幌市においては、経済活動を主に支える生産年齢人口と実質市内総生産に強い相関関係が見られ、生産年齢人口が減少に転じた平成17年度(2005年度)以降は、実質市内総生産も減少を続けています。
また、今後も、生産年齢人口の減少が予測されるとともに、道外へ転出する若者が多いという傾向もあることから、更なる経済規模の縮小が懸念されます。
札幌市は、人口に占める女性の割合が高い特徴がありますが、女性の有業率は、他の政令指定都市と比較して、やや低位にあることから、経済を支える力が潜在しているといえます。
イ 取組の方向性
企業の誘致や起業への支援などを通じて市民の就業の場を確保し、若者の道外への流出を防ぐことで、生産年齢人口の減少幅を縮小させるとともに、地場産業の付加価値の向上を図ることなどにより、市民一人当たりの所得を高めることが求められます。
また、女性ならではの視点を取り入れて、付加価値の向上を図り、新たな市場を開拓するとともに、働く意欲のある女性や元気な高齢者世代の就業・起業の促進、働きやすい環境づくりなどにより、札幌の潜在的な力を経済の活性化に結び付けることも必要になります。
3 グローバル化の進展
(1) 現状・課題
道内・国内の人口は減少傾向にありますが、海外に目を向けると、経済成長が著しいアジア諸国では、人口の増加が続いています。中でも中国、インド、インドネシアなどでは、引き続き人口の増加やこれに伴う経済成長も見込まれており、今後も有望な市場として期待されます。
こうしたアジア諸国の経済成長を背景に、日本の貿易相手国は大きく変化しており、輸出全体に占めるアジア諸国の割合が上昇しています。
また、札幌市を訪れる外国人観光客は、近年増加しています。外国人宿泊者数は、平成13年度(2001年度)から平成22年度(2010年度)までの10年間で約3倍となっており、特に、アジア諸国からの宿泊者が9割近くを占めています。
(2) 取組の方向性
グローバル化が進む中で、人口減少に伴い、縮小が見込まれる札幌の経済規模を補うためには、成長著しいアジアの活力を最大限に取り込むことが必要です。
そのためには、戦略的に相手先の国・地域を定め、需要を取り込んでいくことが求められます。
4 地球規模の環境・エネルギー問題の深刻化
(1) 現状・課題
ア 温室効果ガス
平成21年(2009年)に開催された主要国首脳会議(G8サミット)では、先進国は平成62年(2050年)までに温室効果ガスの排出量を平成2年(1990年)比で80%以上削減することを支持する宣言がなされるなど、地球規模での温室効果ガス排出量の削減が求められています。
札幌市においては、二酸化炭素の排出量を部門別の割合で見ると、民生家庭部門が33.0%、民生業務部門が32.7%、運輸部門が24.5%と、この3部門で約9割を占めており、全国や北海道と比べて割合が高くなっていることが特徴です(3部門の合計は、全国で52.9%、北海道で59.4%)。
また、札幌市の二酸化炭素の排出量は、政令指定都市の中では7番目ですが、民生家庭部門における一世帯当たりの排出量は最も多く、冬期の暖房による影響が大きいと考えられます。
イ エネルギー
これまでの日本のエネルギー政策では、原子力を主要なエネルギー源と位置付け、将来にわたって、その役割を担うものと考えていましたが、福島第一原子力発電所の事故は、日本のエネルギー政策の在り方を根底から見直すきっかけとなりました。
こうした中、原子力発電に対する市民の意識も大きく変わってきています。「平成23年度(2011年度)エネルギーに関する市民意識調査」でも、今後のエネルギーの在り方について、脱原発依存と再生可能エネルギーの拡大を望んでいることがうかがわれます。札幌市議会においても、平成23年(2011年)6月に「原発に頼らないエネルギー政策への転換を求める意見書」を全会一致で可決するなど、脱原発依存社会の実現や再生可能エネルギーへの移行に向けた気運が高まっています。
なお、平成22年度(2010年度)の泊原子力発電所が停止する前の時点では、北海道で消費される年間電力量のうち、約44%が泊原子力発電所で発電されています。
また、積雪寒冷地である札幌では、暖房に代表される冬期の電力使用量が比較的多い傾向があります。また、エネルギー需要全体に占める熱需要の割合が高いという特徴があり、これに対応した効率的なエネルギー利用が求められています。
(2) 取組の方向性
低炭素社会と脱原発依存社会の実現に向け、限りある資源を有効に活用し、さらには、自分たちでエネルギーをつくり出していく取組が求められています。
また、市民一人一人が環境に配慮したライフスタイルへ転換することも求められます。
第2節 札幌・北海道の魅力と資源
1 札幌の魅力と強み
(1) 豊かな自然環境
ア みどり豊かな自然
石狩平野の南西部に位置する札幌には、豊平川を始めとする多くの河川が流れ、市街地の周囲には、みどり豊かな自然環境が広がっています。
また、森林が市域の約6割を占め、南西部は支笏洞爺国立公園に指定されているほか、天然記念物の指定を受けている藻岩山原始林と円山原始林があり、約450種の豊かな植生が広がっています。
イ 変化に富んだ気候
札幌は、亜寒帯に属し、本州とは異なる植生が、独特な景観をつくり出しています。
気候は、夏は爽やかで過ごしやすく、冬は積雪寒冷であるのが特徴で、四季の変化が鮮明です。100万人以上の人口を擁する世界の大都市の中で、年間6mもの降雪量がある都市は他にありません。
(2) 少ない自然災害
札幌は、全国的に見ても台風の接近回数が少なく、地震の発生回数も少ないなど、自然災害の影響が比較的少ない都市です。
(3) 札幌に集積する都市機能
札幌には、北海道庁や国の出先機関などの行政機関が集積しているほか、北海道内の約3割の事業所があり、企業の本社や支社も多数立地しています。また、金融機関、テレビ・ラジオ局、新聞・雑誌社などが集積し、北海道の中心的な役割を果たしています。
このような機能集積によって、ヒト、モノ、情報が集まり、札幌・北海道の魅力を発信しています。
(4) 札幌らしい文化・ライフスタイル
ア 冬の暮らし
札幌では、市民が雪や寒さを活用しながら冬の生活を楽しむことができます。
また、冬季オリンピックが開催されたこともあり、札幌には、ジャンプ競技場を始めとするウインタースポーツ施設が充実しており、オリンピック選手を多く輩出しています。さらには、小中学校の授業でスキーが行われるなど、子どもから大人までウインタースポーツに親しむ文化が定着しています。
イ 四季折々のイベント
札幌では、年間を通じて多彩なイベントが開催されています。初夏の訪れを告げる「YOSAKOIソーラン祭り」、開放的な雰囲気で夏を楽しむ「さっぽろ大通ビアガーデン」、北海道の食を一度に楽しめる「さっぽろオータムフェスト」、幻想的な雰囲気に包まれる「さっぽろホワイトイルミネーション」、そして、世界中から多くの観光客が集まる「さっぽろ雪まつり」など、四季折々のイベントが市民や観光客を楽しませています。
ウ 文化芸術・スポーツ
札幌芸術の森や札幌コンサートホールKitara、モエレ沼公園を始めとした文化芸術施設が整備され、国際的な文化芸術に触れることができるほか、札幌ドームなどの大規模なスポーツ施設も集積し、野球やサッカーなど、様々なプロスポーツを観戦することができます。また、市民が身近に文化芸術・スポーツに親しめる環境も整っています。
(5) 札幌人の気質
札幌は、先人が北海道の厳しい自然環境の中、海外の文化などを積極的に取り入れ、幾多の困難を乗り越えてつくり上げてきたまちです。
こうした背景が、多様な文化を受け入れる寛容な気質と、既存の価値観にとらわれず、常に新しいモノを取り入れ、新しいコトに挑戦していく進取の気風を育んだといわれています。
2 郷土意識と外から見た評価
(1) 市民の愛着
「平成23年度(2011年度)市政世論調査」の結果によると、市民の「札幌の街に対する愛着度」は、97.2%(「好き」と「どちらかといえば好き」の合計)と極めて高くなっています。その理由としては、「豊かな自然」、「はっきりした四季の変化」が多く挙げられ、「整備された公共交通機関」、「便利な都市施設」、「美しい街並み」が続いています。
また、定住意向も87.5%と高く、市民の札幌に対する愛着度の高さがうかがえます。
(2) 外から見た札幌のブランドイメージ
都市のブランドイメージについても、民間調査機関による魅力度ランキングで1位になるなど、全国的に高い評価を得ています。特に、観光意欲や食品購入意欲に関する魅力度が高くなっています。
また、「平成23年(2011年)来札観光客満足度調査」によると、札幌を訪れた観光客の総合満足度は94.7%(「満足」と「まあ満足」の合計)と高く、「食」に関する満足度が高いという結果が出ています。札幌のイメージについては、「観光スポット」、「食」が特に高く、「祭り・イベント」が続いています。
札幌は、市民に愛され、国内外の人たちが憧れる、魅力にあふれた都市といえます。
3 未来を切り開くために活用すべき北海道の資源
札幌の魅力は、豊かな自然や食など、その多くが北海道の魅力そのものであり、また、札幌と北海道の経済は密接不可分であることから、北海道の発展なくして札幌の発展もないといえます。
北海道には世界に誇る優れた資源や特性があり、これらを生かして国家的課題、地球規模の課題に対応し得る優位性を持っています。こうした北海道の資源を強みとして再認識し、札幌のまちづくりにも生かしていく視点が必要です。
(1) 北海道の食
平成62年(2050年)には、世界の人口が91億人に達することが見込まれ、この人口を賄うためには、現在の食糧生産を飛躍的に増大させることが必要なことから、食糧需給のひっ迫は、地球規模の課題です。
また、アジア諸国の経済成長による所得の上昇に伴い、消費の成熟化が進み、安全・健康志向が高まる中、高付加価値の食品や加工品の需要が拡大しています。
今後、食が国際的にも戦略的資源になる可能性がある中、北海道は、食糧自給率約200%を誇る、国内最大の食糧生産基地であるという強みを生かし、札幌においても、その付加価値を高める役割を担うことが求められています。
(2) 北海道の自然
北海道は、森林、火山、温泉、湿原など豊富な自然環境に恵まれています。この自然環境と明瞭な四季の変化が織りなす特徴的な景観や純白の雪などは、海外、特にアジアの人々の憧れとなっており、観光客を引き付けています。
また、北海道の豊富で質の高い水資源は、北海道民の暮らしや産業を支える貴重な財産です。今後も、道民の安全・安心な暮らしの確保や、産業の活性化、環境の保全のためにも、その重要性は高まっていくものと考えられます。
(3) 北海道に豊富に賦存する再生可能エネルギー
北海道には、広大な土地や自然資源を背景に、太陽光、風力、地熱、小水力など、様々な再生可能エネルギーが賦存しています。また、森林の間伐材や農業生産過程で発生する廃棄物など、バイオマスエネルギー活用の可能性が多くあります。
今後、低炭素社会と脱原発依存社会を実現していくために、エネルギーの一大消費地である札幌は、こうした北海道全域でのエネルギー活用の可能性を生かし、効果的に活用していく視点が必要です。
なお、北海道の年間消費電力量は、平成22年度(2010年度)で323億kWhであり、北海道が持つ風力発電のポテンシャルの1割を利用した場合、道内の電力消費量のほぼ全量を賄うことができます。
<トピック~今後、意識すべき視点>
北海道新幹線の札幌延伸 ~北海道の発展を支える未来の資源~
私たちの長年の夢であった北海道新幹線の札幌延伸が、平成24年(2012年)に工事実施計画の認可を受け、平成47年度(2035年度)までに実現されることになりました。
この札幌延伸によって、国土の北から南までを一貫してつなぐ「背骨」ともいうべき高速鉄道ネットワークが形成され、特に、北海道と東北・北関東との交流が盛んになり、ヒトやモノの流れが活発化することなどにより、道内全体に様々な効果がもたらされることが期待されています。
そこで、その起点となる札幌は、新たな経済交流圏との連携強化や末端駅としての強みを生かした企業集積、さらには、道内各地のハブの役割を果たすための交通機能の強化などについて、今から積極的に進めていくことが必要です。
したがって、今後、私たちは、様々なまちづくりの取組を展開していくに当たり、北海道新幹線を北海道・札幌の発展を支える重要な資源として捉え、その整備効果を最大限に発揮させ、道内全域に波及させていく視点を持つことが重要です。
第3章 私たちが目指す札幌市の将来
これまでの札幌市は、人口の増加や市域の広がりなど、量的な拡大を背景に、社会基盤整備を基軸としたまちづくりを進め、身近に感じられる豊かな自然と高度な都市機能が調和した魅力的な都市として、国内外から高い評価を受けてきました。
しかし、今後、人口減少社会の到来や、生産年齢人口の減少に伴う経済規模の縮小が見込まれる中、これまでの右肩上がりの社会構造を前提とした価値観は大きく変わりつつあり、いわゆるパラダイムの転換が求められています。
このような中にあって、私たちは一丸となって、今後見込まれる人口減少の緩和に努めるとともに、都市の活力と生活の質を高めながら、先人が知恵と努力で築き上げてきたこのまちを、次世代に良好な形で引き継いでいかなければなりません。
そのためには、市民、企業、行政などが、それぞれの立場でまちづくりへの役割を果たしていくことが重要であることから、この戦略ビジョンは、「市民計画」として位置付けるとともに、市民と共有するビジョンであることを基本的な考え方としています。
そこで、この章では、私たちそれぞれが、今後のまちづくりに当たって共有できる将来のまちの姿を、目指すべき都市像として以下に掲げます。
<目指すべき都市像>
1 『北海道の未来を創造し、世界が憧れるまち』
札幌・北海道の様々な魅力資源を、一人一人の創造性によって、より磨き上げながら、それを国内及び世界に発信することで、世界との結び付きを強め、投資や人材を呼び込むなど、世界が憧れ、活力と躍動感にあふれる、心ときめくまちを実現します。
(1) 新たな価値を生み出す創造とチャレンジ
札幌・北海道が持つ豊かな自然や文化と、先人たちがこれまで育んできた北方圏ならではの知識や技術などの貴重な資産に、今後、創造性から湧き出るアイデアによって更に磨きをかけるとともに、若者を始めとする様々な人々が、先駆的な取組にチャレンジできる環境を整えることによって、絶えず新たな価値が生み出されていくまちを目指します。
(2) 札幌型ライフスタイルの追求
芸術の薫り漂う、札幌ならではの個性と楽しさにあふれる都市文化と、うるおいのある豊富な自然環境の中で、多様な文化や新しいモノを取り入れ、新しいコトに挑戦していくなど、創造的に暮らす、世界が憧れる札幌型のライフスタイルを追求し、その魅力を発信します。
(3) 世界に誇る環境首都の実現
先人たちが築き上げた北方圏ならではの都市機能と、北海道の豊富な自然エネルギーを生かしながら、環境負荷の少ない暮らしを追求するなど、低炭素社会と脱原発依存社会を目指した持続可能なまちづくりを進め、世界に誇れる先進的な環境首都を実現します。
2 『互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまち』
誰もが生きがいと誇りを持ちながら、互いにつながり、支え合うことで、生きる喜びと幸せを感じられる、心豊かで笑顔になれるまちを実現します。
(1) つながりと支え合いのまちづくり
誰もがその能力を十分に発揮し、自らのできる範囲で社会的な役割を果たすとともに、互いの個性や多様性を認め合う寛容さと相互の信頼感の下でつながる共生のまちづくりを進めます。
(2) 道内市町村との連携と魅力創造
「北海道の発展なくして、札幌の発展はない」との考え方の下、私たちは北海道全体の発展を常に意識し、道内の魅力資源と札幌の都市機能を融合させながら、他の都市や地域と手を携え、北海道の魅力を更に高めます。
(3) 世界の中での都市の共生
国際平和や人権擁護はもとより、環境・エネルギーなどの地球規模の課題への取組が求められている中、世界の都市の一員としての責任と役割を果たすことにより、世界と共生していくことを目指します。
第4章 まちづくりの基本目標
「目指すべき都市像」を実現するためには、私たちが具体的な目標を共有し、その目標に向かって連携しながら課題に取り組んでいく必要があります。
そこで、この章では、まちづくりの分野を7つに分け、その分野ごとに「現状と課題」を整理し、今後の取組を展開する際の「重要な視点」を掲げた上で、まちづくりに関する「基本目標」を設定します。
また、私たちが、今後のまちづくりの方向性を具体的にイメージできるようにするため、基本目標ごとに「将来のまちの姿」を示すとともに、その実現に向けて同じ方向で取り組んでいけるよう、「実現に向けて私たちが取り組むこと」を明記しています。この取組の記載に当たっては、市民や企業などが、それぞれの立場で取り組むべきことを表しており、行政については、札幌市が他の行政機関などを含めた各主体と連携を図りながら取り組むべきことを表しています。
なお、まちづくりの実践に当たっては、市民、企業、行政などの様々な主体が、取組の決定過程に参画し、相互に補完し合いながら責任を持って進めることが重要です。
第1節 地域 ~つながりと支え合い~
1 現状と課題
市民の意識や生活様式の変化、価値観の多様化などにより、地域における課題が複雑・多様化しており、これまでの取組だけでは解決が難しくなっています。
今後は、住民同士の支え合いや助け合いが地域課題の解決に重要な役割を担うことが期待されており、そのためには地域のつながりを深め、町内会などの地域コミュニティを活性化していく必要があります。
また、ボランティアやNPO、企業などによる社会貢献活動も広がってきており、これらの多様な活動の担い手の連携による地域課題の解決が求められます。
2 現状と課題を踏まえた重要な視点
―地域での支え合いとつながりづくり―
地域での支え合いを実現するためには、世代や性別、国籍、文化の違い、障がいの有無などにかかわらず、地域の人々がお互いを認め合いながら、社会参加や交流を通じてつながりを深めていくことが重要となります。また、市民一人一人や、町内会、NPO、企業などが、地域課題を自らの問題と考えて主体的に活動し、お互いに連携しながらネットワークを構築していく必要があります。
このような取組により、地域自らが様々な地域課題を解決していける力を向上させるとともに、住民同士が支え合いながら暮らしていけるまちづくりを進める必要があります。
3 基本目標(1から3まで)
(1) 基本目標1 共生と交流により人と人がつながるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 地域では、世代を超えた様々な交流などを通じて住民同士のつながりが深まり、世代の違いや障がいの有無にかかわらず、支え合いにより自立した生活を送っています。また、誰もが持てる能力を十分に発揮して、積極的に社会参加しています。
(イ) 地域を越えた市民同士や市民と団体などとのつながりも広がっており、重層的で多様なまちづくりのネットワークが広がっています。
(ウ) 男女がお互いを尊重し、責任を分かち合う男女共同参画社会が実現され、様々な分野で協力しながら活動しています。
(エ) 地域における多文化共生の意識が醸成され、様々な国籍や民族の人々が、国や文化の違いにかかわらず、お互いを認め合い、地域の一員として生活しています。
(オ) 子どもを始めとした住民が集える居場所や交流の場が身近にあり、そこで生まれたつながりを通じて地域コミュニティが活性化しています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 住民同士の交流や支え合い活動への積極的な参加
b 高齢者及び障がい児・者への理解
c 外国人や多様な歴史・文化への理解
d 平和や人権に対する理解
(イ) 町内会・NPO・企業等
a 住民同士による交流や支え合い活動の推進
b 地域における多文化共生の推進
c 市民の居場所づくり
d 子どもが主役の交流の場づくり
(ウ) 行政
a 多世代交流などの推進
b 障がい児・者への市民理解の促進
c 男女共同参画社会に対する市民理解の促進
d 国際理解を深める取組の推進
e 平和への取組の推進
f 多様な価値観に対応する人権教育の充実
g アイヌ民族の歴史・文化への市民理解の促進
h 市民の居場所づくりへの支援
i 子どもが主役の交流の場づくりの支援
(2) 基本目標2 様々な担い手が地域のまちづくり活動に参加するまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 子どもから高齢者まで、全ての市民が、様々な学びの機会を活用しながら、それぞれが持つ能力や経験を生かし、自分に合った形で主体的に地域のまちづくり活動に参加し、活躍しています。
(イ) 地域のまちづくり活動の中核を担っている町内会への加入が進み、地域コミュニティが活性化しています。
(ウ) 町内会を始め、NPO、商店街、企業など、多様な活動主体が様々な地域のまちづくり活動に取り組んでいます。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 町内会活動を始めとした地域のまちづくり活動への積極的な参加
b 生涯学習などを通じた自己啓発
(イ) 町内会・NPO等
a 地域のまちづくり活動の推進
b 地域のまちづくり活動を通じた担い手の育成
(ウ) 企業等
a CSR活動などを通じた地域のまちづくり活動への積極的な参加
(エ) 行政
a 市民が地域のまちづくり活動に参加できる環境づくり
b 市民の自発的な生涯学習の促進
c 学びと地域のまちづくり活動の実践が繰り返し行われる仕組みづくり
d 多様な活動主体が地域のまちづくり活動に取り組める環境づくり
e 市民や企業による地域のまちづくり活動を支える寄附文化の醸成
(3) 基本目標3 多様な地域課題を解決できるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 地域ごとに年齢や世帯構成、居住形態などの違いが顕著になり、地域課題が複雑・多様化している中、これらの課題は、住民や地域の団体、企業などによる自主的な活動や行政による支援を通じて解決されています。
(イ) 地域のまちづくり活動を実践する様々な主体が、お互いに連携し、相乗効果を生みながら活発に活動しています。
(ウ) ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスなど、ビジネスの手法を活用して地域課題を解決する活動も活発に行われています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 地域のまちづくり活動への積極的な参加
(イ) 町内会
a 地域課題の解決に向けた取組の推進
b 地域課題の解決に向けた多様な活動主体との積極的な連携
(ウ) 企業・NPO等
a 地域課題の解決に向けた多様な活動主体との積極的な連携
b ビジネスの手法を活用した地域課題の解決に向けた取組の推進
(エ) 行政
a 福祉や防災、防火、防犯など、地域ごとの課題を踏まえた施策の展開
b 町内会など地域のまちづくり活動団体の活性化の支援
c 地域のまちづくりに関する情報提供
d 区役所・まちづくりセンターにおける地域課題の的確な把握及び迅速な支援体制づくり
e 活動主体間の連携を促進するためのネットワークづくり及び調整機能の強化
f ソーシャルビジネス・コミュニティビジネスの振興
第2節 経済 ~暮らしと雇用を支える~
1 現状と課題
産業の活性化は、都市の活力を高めるとともに、安定的な雇用を創出し、社会の持続可能な発展を支える重要な役割を担っており、市民の安心な暮らしを実現する上で欠かすことのできないものです。
このため、人口減少や少子高齢化の進行、グローバル化の進展など、札幌を取り巻く社会経済情勢の変化に対応できる足腰の強い経済基盤を確立させることが必要となっています。
2 現状と課題を踏まえた重要な視点
―暮らしと雇用を支える経済の発展―
経済の発展と安定的な雇用の確保のためには、札幌の経済をけん引していく産業分野を明確に定め、積極的な振興を図ることが重要です。また、創造性や地域特性を生かした付加価値の創出やグローバル化への対応などにより、産業全体の活性化を図り、競争力を高めることが必要です。さらに、地域コミュニティを支える産業を育てていくことが求められています。
3 基本目標(4から8まで)
(1) 基本目標4 強みを生かした産業が経済をけん引するまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 札幌・北海道の強みや時代の潮流を捉え、食、観光、環境及び健康・福祉の4つの重点産業分野やそれに関連する様々な産業が一体となって札幌の経済成長をけん引し、足腰の強い経済基盤が確立しています。
(イ) 従来の製造業にバイオ産業、IT産業及びコンテンツ産業を加えた「札幌型ものづくり産業」が根付き、他分野との連携により新たなビジネスが生まれています。
(ウ) 札幌の企業の大半を構成している中小企業の活動が活性化し、裾野の広い経済基盤が確立しています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 地場の中小企業の発展への協力
b 地産地消の実践
(イ) 企業・大学・研究機関等
a 他産業との連携による付加価値の向上
b 共同研究による製品開発や付加価値の向上
(ウ) 行政
a 食、観光、環境及び健康・福祉の4つの産業分野の重点的な振興
b 道産食品の付加価値を高める6次産業化や都市型農業の推進などによる食関連産業の活性化に向けた取組の推進
c 広域連携による観光振興やMICEの推進、戦略的なシティプロモート活動などによる観光関連産業の活性化に向けた取組の推進
d 札幌型ものづくり産業の振興
e 中小企業の積極的な経済活動を促進するための支援
(2) 基本目標5 様々な連携により産業が高度化するまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 時代の潮流から生み出される新たな需要を的確に捉え、産・学・官の連携や同業種・異業種間の連携などにより、創造性を発揮した様々なイノベーションが起きています。
(イ) 道外から多くの先端技術分野の企業などが進出し、札幌圏に集積しています。これにより取引関係が広がるとともに、地場産業の付加価値が向上するなど、札幌圏を含めた北海道全体の産業の競争力が高まっています。
(ウ) 空港、港湾、高速道路、北海道新幹線などの広域的な交通ネットワークを効果的に活用し、道外や道内他市町村とのヒトやモノの流れが活発化しています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 企業等
a 道内外の企業などとの積極的な交流
b 新たな技術や製品の開発への挑戦
c 他産業などとの連携による技術革新や新市場開拓
d 新事業や新分野への事業展開
(イ) 行政
a 新たな技術や製品の開発に向けた産・学・官連携の促進
b 様々な産業における創造的なイノベーションの誘発の媒介となるIT産業やコンテンツ産業などの振興
c 女性や若者による起業への支援
d 近隣自治体と連携した先端技術分野の企業などの誘致と地場企業との連携促進
e 広域的な交通ネットワークの整備
f 道内外の自治体との広域的な連携
(3) 基本目標6 市民の雇用が安定的に確保されるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 雇用の受け皿となる中小企業の経営基盤の強化や、雇用創出力の高い企業の市内や近隣市町村への進出、さらには、求職者への様々な就業支援などにより、市民の雇用が安定的に確保されています。
(イ) 誰もがそれぞれの能力を生かして働くことで、自立して暮らしています。その中でも、働く意欲を持つ女性が地域経済を支える担い手として活躍しています。
(ウ) 市民や企業の間でワーク・ライフ・バランスの考え方が浸透し、実践されています。これにより市民一人一人がやりがいや充実感を感じながら働いています。また、多くの企業が従業員の意欲・能力・創造性を引き出し、生産性を向上させるとともに、優秀な人材を確保することにより、社会全体が活性化しています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 職業能力の向上や自己啓発
b 起業への積極的な挑戦
c ワーク・ライフ・バランスへの理解と実践
(イ) 企業等
a 市民の能力を生かす積極的な雇用
b ワーク・ライフ・バランスの実践に向けた職場環境づくり
(ウ) 行政
a 求職者の技能向上のための支援
b 雇用のミスマッチ解消や起業への支援
c 雇用創出力の高い企業の誘致
d 働く意欲のある障がいのある方、高齢者、女性などへの就業支援
e 働きながら子育てできる環境の整備
f 女性による起業への支援
g ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた市民理解の促進や企業への支援
(4) 基本目標7 強みを生かし世界とつながるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 札幌・北海道の強みを生かし、アジアを始めとする経済成長の著しい地域からの観光客の増加やこのような地域への販路の拡大などにより、多くの外貨を獲得しています。
(イ) 市内や近隣市町村への外国企業の進出により、新たな雇用や地場企業への様々な波及効果が生まれています。
(ウ) 企業では、グローバル化に対応した国際的な視野を持った人材が活躍しています。
(エ) 札幌・北海道の地理的な特性などを踏まえた海外との様々な都市間交流や互恵的な国際協力が、新たなビジネスへの架け橋になっています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 外国人や多様な歴史・文化への理解
b 留学などを通じた積極的な海外経験
c 外国人観光客などへのおもてなしの実践
(イ) 企業等
a 積極的な海外事業の展開
b 国際的な視野を持った人材の育成と活用
(ウ) 行政
a 流通ネットワークの強化
b コンテンツなどを活用した戦略的なシティプロモート活動の推進
c 外国企業の誘致のための施策の検討・推進
d 観光客の受入環境の整備
e 国際交流や国際理解教育などの推進
f 国際的な視野を持った人材の育成・活用の支援
g 地理的特性を生かした国際協力の促進
(5) 基本目標8 地域コミュニティを支える産業を大切にするまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 地域の身近な利便性を確保する役割の一翼を担う商店街が活性化し、地域のにぎわいを生み出しています。
(イ) ビジネスの手法を活用して地域課題の解決を実践するソーシャルビジネスやコミュニティビジネスが活発化し、地域コミュニティを支える産業としての役割を果たしています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 地域の商店街活動への理解と協力、店舗の利用
(イ) 企業・NPO等
a 商店街活動への積極的な参加
b 地域課題の解決に向けた多様な活動主体との積極的な連携
(ウ) 商店街
a 地域課題の解決に向けた多様な活動主体との積極的な連携
(エ) 行政
a 商店街活性化に向けた様々な取組に対する支援
b ソーシャルビジネス・コミュニティビジネスの振興
c 多様な活動主体とコミュニティビジネスの連携促進
第3節 子ども・若者 ~健やかに育む~
1 現状と課題
全国的に少子化が進む中、札幌市の合計特殊出生率は大都市の中でも極めて低い水準で推移しており、社会の活力に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
少子化の背景としては、子育て家庭の孤立化などによる子育てへの不安や負担感が増大していることが要因の一つとして考えられます。また、子どもや若者の成長過程では、いじめや虐待、不登校、引きこもりなどといった問題も生じています。
こうしたことから、社会全体で協力して子どもの成長を支え、誰もが子どもを生み育てやすい環境を整えていくとともに、困難を有する若者の自立や社会参加を支援していく必要があります。
2 現状と課題を踏まえた重要な視点
-将来を担う子ども・若者の健やかな育み-
子どもを生み育てやすいまちづくりを進めるためには、子どもの権利の尊重の下、社会全体で子育て・子育ち支援を推進し、子育てへの不安や負担の軽減を図るとともに、子どもの成長過程での様々な問題に対応していく必要があります。
特に、ふるさと札幌に根差した自立した子どもを育んでいくためには、全ての子どもに対して、生きる力を培い、豊かな創造力を育む充実した教育を推進することや、社会性を育む実践的な学びの機会を充実させていくことが重要です。
さらに、若者全ての社会的自立を実現するとともに、主体的に地域社会に参画する取組なども進め、将来の札幌を担う人材を育成していく必要があります。
3 基本目標(9から11まで)
(1) 基本目標9 安心して子どもを生み育てられるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 地域の団体や企業、NPO、行政などによる様々な支援を通じて、安心して子育てができる環境が整っています。
(イ) ワーク・ライフ・バランスの考え方が社会全体に浸透し、男性も女性も仕事と生活の調和を図り、働きながら子育てができる環境が整っています。
(ウ) 多様なニーズに対応した様々な保育サービスが提供され、子どもが小学校に入学した後も、放課後児童対策などの支援体制が整っています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 男女の協力による子育て
b 様々な子育て支援活動への積極的な参加
c ワーク・ライフ・バランスへの理解と実践
(イ) 町内会・NPO等
a 子育てサロンの開催など子育て支援活動の推進
b ニーズに即した子育て支援サービスの提供
(ウ) 企業等
a ワーク・ライフ・バランスの実践に向けた職場環境づくり
b ニーズに即した子育て支援サービスの提供
(エ) 行政
a 母子保健の充実など妊娠期から出産・幼児期・思春期まで、子どもの成長過程に応じた支援
b 子育て家庭の孤立防止に向けた相談・支援体制の充実
c 市民が子育て支援活動に参加しやすい仕組みづくり
d 地域の団体や企業、NPOなどとの連携・協力による子育て支援活動の推進
e ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた市民理解の促進や企業への支援
f 様々な保育サービスの提供
g 放課後の児童の居場所づくり
(2) 基本目標10 将来を担う子どもの成長と自立を支えるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 子どもたちは、一人一人の個性や特性を伸ばす充実した教育を受け、伸び伸びと遊ぶことを通じて、生きる力を高め、豊かな創造力を身に付けながら成長しています。
(イ) 家庭・地域・学校の連携による多様な体験活動などを通じて、子どもたちは自立した社会性のある大人へと成長しています。
(ウ) いじめや不登校、児童虐待などを未然に防ぐとともに、迅速かつ適切に対応する環境が整っています。
(エ) 配慮や支援を要する子どもは、充実した相談・支援体制などの下、個別の状況に応じて適切な支援を受けることができます。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 子どもの権利への理解
b 様々な子育ち支援活動への積極的な参加
(イ) 町内会・NPO等
a 地域における体験活動などへの協力
b 学校教育との連携
(ウ) 企業等
a 体験学習などへの協力
b ボランティア活動への支援
(エ) 行政
a 子どもの権利の理解促進
b 一人一人の個性や特性を伸ばす教育の充実
c 子どもが伸び伸びと遊べる場の充実
d 障がいのある子どもの自立と社会参加に向けた教育的支援
e 家庭・地域・学校との連携による地域について学ぶ機会や体験活動などの充実
f 市民が子育ち支援活動に参加しやすい仕組みづくり
g 配慮や支援を要する子どもへの個別の状況に応じた適切な相談・支援体制の充実
h いじめ、不登校、児童虐待などの相談・支援体制の充実及び家庭や地域、関係機関との連携強化
i 家庭での養育が難しい子どもの養育環境・自立支援体制の充実
j 少子化に伴う児童生徒数の減少に対応した学校の統合など、子どもの社会性などをより一層育むための教育環境の向上
(3) 基本目標11 若者が社会的に自立し活躍できるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 全ての若者が社会的に自立できるよう、教育機関や企業、地域、行政などの連携・協力の下、充実した相談・支援体制が整っています。
(イ) 地域や企業等と大学などの教育機関が連携し、学生に実践的な学びの場が提供されています。
(ウ) 若者の安定的な雇用が確保され、起業を支援する制度も充実するなど、働きやすい環境が整っています。
(エ) 多くの若者が、様々なまちづくり活動への主体的な参加や新たな取組への先駆的なチャレンジを通じて、地域課題の解決やまちの活力の向上に向けて力を発揮しています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 大学と地域が連携した取組への参加
b 職業能力の向上や自己啓発
c 起業への積極的な挑戦
(イ) 町内会・NPO等
a 地域における体験活動などへの協力
b 大学など教育機関との連携
(ウ) 企業等
a 職業体験などへの協力
b 大学などの教育機関との連携
(エ) 行政
a 国や北海道、支援機関との連携によるニートや引きこもりなどへの相談・支援体制の充実
b 大学などの教育機関や地域との連携強化
c 地域や企業との連携・協力による子どもの頃からの社会体験や職業体験などの推進
d 若者の就業や起業への支援
e 若者の地域社会への参画の促進
第4節 安全・安心 ~人に優しいまち~
1 現状と課題
高齢化の急速な進行によって、高齢単身世帯や高齢夫婦世帯が増え、支援や介護を必要とする市民が増加しています。また、ニーズが複雑・多様化し、ライフステージに応じた一貫した支援も求められていることから、必要なサービスが適切に受けられる環境づくりのほか、住民同士の支え合いや助け合いも求められています。また、日常の防犯や交通安全など、安全な暮らしの確保も求められています。
さらに、東日本大震災の教訓から、大規模な災害が発生した際には、市民・企業・行政の役割分担による相互連携の取組の重要性が改めて認識されており、それぞれが自らの役割を意識しながら災害に備えていくことが必要です。
2 現状と課題を踏まえた重要な視点
-安心して暮らせる「人に優しい」まちづくり-
地域における住民同士の見守り・支え合いや、防犯活動などを通じた日常の安全の確保、市民の主体的な健康づくりなどを通じて、高齢になっても住み慣れた地域で安心して暮らせる環境づくりを進めていく必要があります。また、多様化するニーズに対応した「きれめ」や「すきま」のないサービスや、安心できる医療体制の充実などを図っていくことが重要です。
そして、万が一の災害に備え、自分の身は自分で守る「自助」、地域で互いが助け合う「共助」、行政による消防・救助活動などの「公助」の役割をそれぞれが認識し、主体的に防災活動に取り組む「防災協働社会」を構築していく必要があります。
3 基本目標(12から14まで)
(1) 基本目標12 誰もが健康的で安心して暮らせるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 高齢単身世帯の増加などに対応した見守り活動や、支援を要する市民への相談・支援体制の充実などを通じて、誰もが安心して暮らしています。
(イ) 在宅医療や身近なかかりつけ医の普及促進などを通じて、地域と医療の結び付きが強まるとともに、充実した医療相談体制や救急医療体制により、市民の安心を支えています。
(ウ) 支援を要する高齢者や障がいのある方が安心して生活できるよう、適切なサービスが提供されています。
(エ) 高齢者や障がいのある方など、様々な世帯のニーズに合った住まいが安定的に供給されています。
(オ) 市民の主体的な健康づくり活動が活発に行われ、高齢になっても健やかに暮らしています。
(カ) 食の安全が守られ、食に対する市民の安心と信頼が確保されており、誰もが健やかで豊かな食生活を送っています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 地域福祉活動などへの積極的な参加
b 高齢者及び障がい児・者への理解
c 自主的な健康づくり活動
d 食の安全に対する意識の向上
(イ) 町内会・NPO等
a 地域福祉活動の推進
b 健康づくり活動の推進
(ウ) 企業等
a ニーズに即した保健福祉サービスの提供
b 障がいのある方の雇用の推進
c 市民の自主的な健康づくり活動への支援
d 食の安全に関する取組
e 衛生管理に関する取組
(エ) 行政
a 保健・医療・福祉のネットワーク強化
b 子どもがボランティア活動に参加しやすい環境づくり
c 支援を必要とする市民への相談・支援体制強化
d 医療相談体制や救急医療体制の充実及び地域の医療連携の推進
e 介護保険施設などのサービス基盤の整備
f 障がい児・者のニーズやライフステージに対応した支援体制の充実及びサービス基盤の整備
g 住まいに関する情報提供の充実
h 市民の健康づくり活動の推進
i 食育環境の整備及び食育の推進
j 心の健康づくりに向けた相談・支援体制の充実
k 市民や企業と連携した食の安全に対する取組
l 衛生面での市民への情報提供及び事業者の自主的な活動への支援
(2) 基本目標13 地域防災力が高く災害に強いまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 子どもの頃からの継続した防火・防災教育や、地域における自主的な防災訓練などを通じて、地震などの災害や火災の発生時に市民一人一人が主体的に行動できる準備・体制が整っており、地域の防火・防災力が高まっています。
(イ) 避難場所となる公共施設や上下水道、道路のほか、民間施設も含めた都市全体の耐震化などが進んでおり、自然災害による被害を最小化させる取組が進んでいます。
(ウ) 高齢者、障がいのある方、子ども、外国人など、災害時に一人で避難することが難しい市民も、災害発生時には円滑に避難できるような、細かな配慮がなされています。
(エ) 万が一の災害発生に備え、防災関係機関、企業、道内他市町村などの連携を通じて、大規模災害にも対応可能な防災力が確立しています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 防災訓練などの自主防災活動への積極的な参加
b 自宅の防災対策・家庭内備蓄の推進
(イ) 町内会等
a 自主防災組織の結成
b 防災訓練などの自主防災活動の推進
c 災害時要援護者の避難支援体制の整備
(ウ) 企業等
a 所有建築物の耐震化の促進
b 防災訓練などの自主防災活動の推進
c 企業内備蓄の推進
(エ) 行政
a 子どもの頃からの防火・防災教育の充実
b 市民、自主防災組織、学校などとの連携・協力による防災対策の推進
c 災害時におけるライフラインや交通ネットワークの確保
d 公共施設、上下水道、道路などの耐震化の推進
e 災害に関する積極的な情報提供
f 迅速な災害対策を行う体制の強化
g 緊急生活物資の確保などの支援体制の充実
h 災害時要援護者に対する支援の充実
i 災害時の防災関係機関及び他市町村との広域的な連携体制の充実
(3) 基本目標14 安全な日常生活が送れるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 犯罪や消費生活に関する問題の発生を防止する取組など、市民の安全な暮らしを守る環境が整っています。
(イ) 交通ルールの順守や自転車マナーの理解の促進によって、交通事故の少ない安全で安心な交通環境が実現しています。
(ウ) 都市生活型公害といわれる、自動車排出ガスによる大気汚染や騒音、悪臭などについて、適切な対策や市民への情報提供などを通じ、市民の健康で安心な暮らしが守られています。
(エ) 公共交通機関の駅とその周辺、多くの人が集まる施設や住宅などでは、バリアフリー化やユニバーサルデザインの導入が進んでおり、誰もが安全で快適に移動できる空間が整備されています。
(オ) 雪対策に関して、市民・企業・行政の連携による冬の市民生活ルールの共有や、効果的で効率的な除排雪などを通じて、安全な冬道が確保され、雪と共存した豊かな暮らしが実現しています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 地域防犯活動や交通安全運動への積極的な参加
b 交通ルールなどの理解・順守
c 雪対策に関する理解・協力
(イ) 町内会・NPO等
a 地域防犯活動や交通安全運動の推進
b 雪対策への協力
(ウ) 企業等
a 地域防犯活動や交通安全運動への支援
b バリアフリー化などの自主的な取組
(エ) 行政
a 地域防犯の取組の推進
b 配偶者などからの暴力(DV)への対策の充実
c 消費者問題への対策の充実
d 事故危険箇所の解消や自転車マナーの理解促進などの交通安全対策の推進
e 都市生活型公害などの防止に向けた事業者への指導強化及び市民への的確な情報提供
f 公共施設のバリアフリー化などの推進
g 市民や企業との連携・協力による雪対策の推進
h 通学路の安全確保に向けた取組の推進
第5節 環境 ~次世代へ引き継ぐ~
1 現状と課題
地球温暖化対策や福島第一原子力発電所の事故をきっかけとしたエネルギー政策の見直しなど、近年の環境問題は複雑・多様化しており、その対応に当たっては、自然環境の保全やエネルギー利用の見直し、環境負荷の少ないまちづくりなど多角的な取組が求められています。
また、札幌の財産である豊かなみどりは、その総量が減少傾向にあるため、市民・企業・地域・行政の連携・協力により、今あるみどりを守るとともに、新たに創出していくことが求められています。
2 現状と課題を踏まえた重要な視点
-次世代へつなげる持続可能なまちづくり-
複雑・多様化する環境問題に対応するため、市民・企業・地域・行政が一丸となって、みどりの保全・創出やごみの減量・リサイクルなど、環境の保全・創造に関する取組を引き続き進める必要があります。
また、再生可能エネルギーの活用などに関する研究・開発・普及やエネルギー利用の在り方に関する市民意識の醸成を図ることにより、社会全体でエネルギー利用の在り方を考えながら、低炭素社会と脱原発依存社会を目指していく必要があります。
そして、市民が環境の保全・創造について学び、実践する環境づくりを進めることにより、札幌が持つ四季折々の美しい自然と豊かな文化を次世代に引き継ぎ、より良い環境を創造する持続可能な都市「環境首都・札幌」を推進していくことが重要です。
3 基本目標(15から17まで)
(1) 基本目標15 豊かな自然と共生するまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) まちにうるおいや安らぎを与えるとともに、地球環境にとっても大切なみどりをみんなで守り育てる取組によって、森林や農地、公園などに加え、民有地でもみどりの保全・創出が進み、みどり豊かで住み心地の良いまちが形成されています。
(イ) 市民にうるおいと安らぎを与えるほか、全ての生物にとっても欠かすことのできない水については、その質や量だけでなく、生物と生息環境、水辺とのふれあいといった水環境全体が守られています。
(ウ) 自然環境を守り育むなど、地球環境への負荷を低減する取組によって、生物多様性が保全されています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a みどりを保全・創出するためのまちづくり活動への主体的な参加
b 河川周辺の環境保全の取組
c 生物多様性に関する理解
(イ) 町内会・NPO等
a みどりを保全・創出するためのまちづくり活動の実施や情報発信、市民などへの助言
(ウ) 企業等
a みどりを保全・創出するためのまちづくり活動への主体的な参加
b 所有地やその周辺などの緑化の推進
c 生物多様性を意識した取組の実施
(エ) 行政
a 公有地のみどりの保全・創出
b 市民・企業・地域との連携・協力によるみどりの保全・創出
c 市民・企業・地域との連携・協力による水環境の保全や水環境への負荷を低減する取組の推進
d 生物多様性を意識した取組の推進
(2) 基本目標16 資源やエネルギーを有効活用するまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) ごみの減量・リサイクル・再利用が積極的に行われており、資源循環型の社会となっています。
(イ) 省エネルギー技術や次世代エネルギーシステムについては、ICTとの連携などの研究・開発が進められることにより、その利用が進んでいます。
(ウ) 特にエネルギー消費量の多い都心部を中心に、効率的なエネルギー利用が図られています。
(エ) 積雪寒冷地であり、家庭などの二酸化炭素の排出量が多いことに対応した、エネルギー消費を抑えた市民のライフスタイルが定着しています。
(オ) 環境に配慮した自動車の普及が進むとともに、公共交通機関が積極的に利用されることにより、移動にかかるエネルギー消費を抑えた社会となっています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a ごみの減量・分別・リサイクルの実践
b 使い捨て製品の使用抑制
c エネルギー消費を抑えたライフスタイルの実践
d 積極的な省エネ家電・新エネ機器・次世代自動車への買換え及び高断熱・高気密住宅への改修・建て替え
e エコドライブの実践
f 公共交通機関の積極的な利用
(イ) 町内会・NPO等
a 環境の保全・創造活動の推進
b 集団資源回収の実施など、ごみ減量・リサイクル活動の推進
(ウ) 企業等
a ごみの減量・分別・リサイクルの実践
b 省エネ設備などの積極的な導入や環境負荷の低減への配慮
c 環境配慮型製品の開発や製造の推進
d 環境の保全・創造に関する新技術の開発・普及
(エ) 行政
a ごみの減量・リサイクル・再利用の取組の促進
b ごみの適正な処理の推進
c 企業や研究機関などとの連携による次世代エネルギーシステムに関する研究・開発・普及の促進
d エネルギー消費を抑えた市民生活・企業活動の促進
e 子どもがエネルギーについて学習する機会の充実
f 環境に配慮した自動車の普及促進
g 高断熱・高気密住宅の普及促進
h 公共交通機関の利便性向上や利用の促進
i 環境関連産業の振興
(3) 基本目標17 市民が環境について学び行動するまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 市民や企業などは、地球温暖化や生物多様性などへの問題意識を持ち、環境の保全・創造のために自ら考え、行動しています。
(イ) 子どもたちは、自然とのふれあいや日常生活に根差した学習活動を通じて、広く環境問題に関心を持ち、身近なことから取り組んでいます。
(ウ) 市民や企業などは、ふるさと札幌の美しい自然・環境を守り育て、美しい景観を維持・創出する意識を持ちながら、持続可能なまちづくりに主体的に取り組んでいます。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 環境の保全・創造活動への積極的な参加
b 環境学習などを通じた自己啓発
c 生物多様性に関する理解
d 子どもが自然とふれあう機会や学習する機会の積極的な提供
(イ) 町内会・NPO等
a 環境の保全・創造活動の実践を通じた市民への理解促進
(ウ) 企業等
a 町内会、NPO、行政などと積極的に連携した環境の保全・創造活動の実践
b 企業内の研修などによる環境の保全・創造に関する意識の向上
(エ) 行政
a 学校・環境関連施設間の連携強化などを通じた環境教育の充実
b 市民、企業などの主体的な行動につなげるための環境の保全・創造に関する理解促進と人材の育成
c 子どもが自然・環境を守り育てる意識を醸成する機会づくり・場づくりの推進
第6節 文化 ~創造性を育む~
1 現状と課題
社会経済情勢が大きく変化する中で、札幌・北海道の資源を有効に活用し、まちの魅力を効果的に伝えることにより、北海道全体の地域振興や産業振興などに結び付け、市民生活を豊かなものとしていく取組が求められています。
札幌には、世界的に評価の高い文化芸術・スポーツに関する施設やイベントが多数あり、市民の創造性を育む基盤が整っています。
また、文化芸術・スポーツは、人々に感動を与え、その感動は、人々を刺激し、新たな行動を起こすきっかけをつくっています。そして、その行動を新たなコト・モノを生み出す創造的な活動へとつなげていくことが求められています。
2 現状と課題を踏まえた重要な視点
-文化芸術・スポーツによる創造性の育み-
札幌には市民が身近に文化芸術やスポーツに親しめる環境が整っています。文化芸術やスポーツを通じて育まれる創造性を地域の活性化や産業の発展に結び付け、まちの活力を維持し、向上させていくことが重要です。
また、年間6mもの雪が降る特徴的な風土や歴史がつくり出してきた独自の文化やライフスタイルに代表される札幌の魅力を市民一人一人が再認識し、誇りを持って発信していく必要があります。
3 基本目標(18から20まで)
(1) 基本目標18 創造的な活動により活力あふれるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 文化芸術やスポーツが、市民に感動や刺激を与え、市民の感性や創造性を育むことで、生活を豊かなものにしています。
(イ) 子どもから高齢者まで、障がいのある人もない人も、見るだけではなく、自ら文化芸術やスポーツを楽しむことで、充実した生活を送っています。
(ウ) 文化芸術やスポーツからつくり出された人と人との交流がまちづくりに発展し、まちの活性化へとつながっています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a 文化芸術の鑑賞及び創作・表現活動への積極的な参加を通じた交流
b スポーツ活動への参加を通じた交流
(イ) 企業等
a 市民や地域の文化芸術やスポーツ活動への積極的な支援・協力
(ウ) 行政
a 文化芸術やスポーツを活用したまちづくり及び交流の促進
b 高齢者や障がいのある方も文化芸術やスポーツに気軽に参加できる環境づくり
(2) 基本目標19 文化芸術やスポーツの魅力によりにぎわいが生まれるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 多くの人が集まる文化芸術やスポーツが、札幌の魅力的な資源として、観光振興や国際交流などの様々な分野で生かされています。
(イ) 文化芸術やスポーツが、食や観光など様々な産業分野と結び付くことで新たな付加価値を生み出し、まちににぎわいと活力があふれています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民・企業等
a 文化芸術やスポーツ活動への積極的な支援・協力
b 各産業分野における文化芸術やスポーツの積極的な活用
(イ) 行政
a 集客力のある文化芸術やスポーツの振興と戦略的な活用
b 文化芸術やスポーツの観光、食及び健康・福祉分野への活用の促進
c 国際的な芸術祭の定期的な開催
d メディアアーツなどを活用した創造的な産業の振興
(3) 基本目標20 市民一人一人が魅力を再認識し発信するまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 雄大な北海道の中にあって、四季折々の豊かな自然と快適な都市機能を備えている札幌は、そこに暮らす人、そこを訪れる人を刺激し、その創造性を育んでいます。
(イ) 世界の大都市の中でも降雪量が突出している札幌は、独自の冬の文化を形成しており、厳しい冬の生活環境の中でも、雪を楽しむ魅力あるイベントやウインタースポーツなどが、まちににぎわいを与えています。
(ウ) 札幌型ライフスタイルの中から生み出される札幌・北海道の魅力を市民一人一人が再認識し、その魅力を高め、誇りを持って多様な手段により国内外に発信することで、世界の様々な人々が集い、交流しています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民・町内会・NPO・企業
a 札幌の魅力を楽しむライフスタイルの追求
b 札幌型ライフスタイルの積極的な発信
c 札幌の魅力である雪を楽しむイベントやウインタースポーツへの参加
(イ) 行政
a 戦略的なシティプロモートの推進
b 文化芸術やスポーツを活用した交流の促進
c 市民や札幌を訪れる人々が雪を楽しむイベントやウインタースポーツの推進
d 歴史や文化、景観、観光など札幌の魅力に関する情報の収集・発信
e 子どもが札幌・北海道の魅力を知る機会の充実
第7節 都市空間 ~魅力と活力のある都市の形成~
1 現状と課題
これまでの札幌のまちづくりは、人口や産業の集中に対応するため、計画的に市街地を整備・拡大してきましたが、今後は、人口減少・超高齢社会の到来や地球環境問題の深刻化などに対応するため、大きな転換が求められます。
そのため、これからの都市空間の形成に当たっては、今ある都市の魅力と活力の向上を目指して、市民の多様なニーズを捉えるなど、きめ細やかな取組を積み重ねることが重要です。
また、急激な人口増加に対応するために整備してきた都市基盤の老朽化が進んでいることから、適切な維持・保全や、人口動態や年齢構成の変化に応じた既存施設の再配置などの見直しが必要です。
2 現状と課題を踏まえた重要な視点
-魅力と活力を持続的に高める集約型のまちづくり-
自動車を持たない高齢者なども安心・快適に暮らせるとともに、市民生活や都市活動のエネルギー効率を高めるためには、公共交通を中心とした集約型のまちづくりが必要です。
国内外から多くの人々が訪れ、様々な交流や活動が活発に展開される都市となるためには、札幌の顔である都心部の魅力と活力を高めるとともに、まちにうるおいを与えるみどり豊かな都市空間の創出や、良好な都市景観の形成が重要です。
また、人口減少・超高齢社会を迎える中でも、市民生活や都市活動を支え続けるためには、上下水道などの都市基盤施設や市有建築物の計画的かつ効率的な維持・保全と併せて、特に市有建築物については、機能の複合化など、効果的かつ効率的な再配置が必要です。
3 基本目標(21から24まで)
(1) 基本目標21 公共交通を中心とした集約型のまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 都心や地下鉄駅の周辺などに、多様な都市機能が集積され、様々な交流やにぎわいが生まれています。
(イ) 都心の周辺部や地下鉄の沿線では、生活関連サービスの充実などにより、利便性の高い暮らしの場が形成されています。一方、郊外の住宅地では、ゆとりある良好な環境を生かした暮らしをしています。
(ウ) 日用品の買い物など、日常生活に必要なことは身近な場所で行えるとともに、市内の各地域をつなぐ公共交通網により、多様な都市機能が利用できることで、自動車を運転しなくても困らない暮らしをしています。
(エ) 市民や企業は公共交通機関をみんなで支える意識を持ち、更に利用者の利便性が向上することで、積極的に公共交通機関を利用しています。これにより、過度な自動車の利用が控えられ、移動にかかるエネルギー消費を抑えた社会となっています。
(オ) 道路ネットワークの維持・充実が図られるとともに、駅施設やその周辺などのバリアフリー化が進むことにより、安全で快適な交通環境が実現しています。
(カ) 高速道路と都心のアクセス性の向上や、北海道新幹線など広域的な交通ネットワークの整備が進められ、観光や物流の面で北海道経済の活性化にも貢献しています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a まちづくりの計画策定や活動への積極的な参画
b 公共交通機関の積極的な利用
c 自動車の適切な利用
d 環境負荷低減のための取組
(イ) 企業等
a まちづくりの計画策定や活動への積極的な参画
b まちづくりに必要な支援や専門的知識・技術の提供
c 市街地の質の向上や良好な都市景観の創出につながる空間整備
d 環境負荷低減のための取組
e 良好な空間形成を意識した企業活動の実施
(ウ) 行政
a 土地利用計画制度などの適切な運用
b 都市空間に関わる多様なまちづくり活動の支援や調整
c 地域の特性に合わせた機能の誘導や施設の配置
d 市街地の質の向上や良好な都市景観の創出につながる空間整備の誘導・支援
e 公共交通機関の利便性向上や利用の促進
f 子どもが公共交通に親しむ取組の充実
g 安全で快適に利用できる道路ネットワークの維持・充実
h 広域的な交通ネットワークの整備
i 市民、企業などとの連携による、環境負荷を低減するまちづくりの推進
(2) 基本目標22 札幌の顔となる魅力と活力あふれる都心にします
ア 将来のまちの姿
(ア) 市民を始め、国内外からも多くの人が訪れる都心には、高次な都市機能が集積しているとともに、多様な活動を支える場など、人を中心とした魅力ある空間が形成されています。
(イ) 創造的な活動の発信や担い手の育成など、文化と活力を創造する取組が展開されています。
(ウ) 豊かなみどりが充実することにより、うるおいや風格が感じられる都心にふさわしい街並みが形成されています。
(エ) エネルギーの効率的な利用などにより、先駆的な環境低負荷型のまちづくりが展開されています。
(オ) 市民や企業などが主体となった都心のまちづくりにより、それぞれの地域特性に合わせた良好な環境が形成され、地域の価値の維持・向上が図られています。
(カ) 都心は北海道の中心としての役割を果たしながら、国内外に札幌・北海道の魅力を発信し続けるとともに、市民生活の豊かさを享受できる場が創出されています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民・町内会・NPO等
a 都心のまちづくりに関わる計画策定や活動への積極的な参画
b 環境負荷低減のための取組
(イ) 企業
a 都心のまちづくりに関わる計画策定や活動への積極的な参画
b 都心のまちづくりに必要な支援や専門的知識・技術の提供
c 市街地の質の向上や良好な都市景観の創出につながる空間整備
d 環境負荷低減のための取組
e 良好な空間形成を意識した企業活動の実施
(ウ) 行政
a 土地利用計画制度などの適切な運用
b 都心のまちづくりに関わる計画などの策定・推進
c 市民や企業などが主体となった都心のまちづくり活動への支援
d 市街地の質の向上や良好な都市景観の創出につながる空間整備の誘導・支援
e 市民、企業などとの連携による、環境負荷を低減する都心のまちづくりの推進
(3) 基本目標23 都市の価値を高めるみどりを生かしたまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 市街地では、うるおいと安らぎを与えるみどりと、憩いや交流の場として活用されるオープンスペースが十分にあり、それらを生かした、市民に親しまれる良好な都市景観が形成されています。
(イ) 市街化調整区域では、森林や農地などの保全が図られているとともに、その特質を生かした土地利用が行われています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 市民
a みどりを保全・創出するためのまちづくり活動への主体的な参加
(イ) 町内会・NPO等
a みどりを保全・創出するためのまちづくり活動の実施や情報発信、市民などへの助言
(ウ) 企業
a 市街地の質の向上や良好な都市景観の創出につながる空間整備
b 所有地やその周辺などの緑化の推進
c 良好な空間形成を意識した企業活動の実施
(エ) 行政
a 公有地のみどりの保全・創出
b 市民・企業・地域との連携・協力によるみどりの保全・創出
c 市街地の質の向上や良好な都市景観の創出につながる空間整備の誘導・支援
(4) 基本目標24 都市基盤が適切に維持・保全されるまちにします
ア 将来のまちの姿
(ア) 市民の生活や都市活動を支え続けるために、老朽化が進んでいく上下水道などの都市基盤施設や市有建築物のライフサイクルコストの縮減につながる計画的かつ効率的な維持・保全が進められています。
(イ) 市有建築物については、機能の複合化など、効果的かつ効率的な再配置が進められています。
イ 実現に向けて私たちが取り組むこと
(ア) 企業
a 地域ニーズに合わせた公共的サービスの提供を目的とした所有施設の活用
(イ) 行政
a 都市基盤の計画的かつ効率的な維持・保全
b 市有建築物の集約化・複合化や、民間施設との連携などによる効果的かつ効率的な市有建築物の配置の推進
c 市民、企業などへの都市基盤の現状や将来の課題に関する情報の提供
第5章 ビジョンの推進に当たって
この章では、戦略ビジョンの推進に当たっての「基本理念」と、私たちが一体となってまちづくりに取り組むための共通の「基本姿勢」を示すとともに、私たちの生活や価値観が複雑・多様化する中で、経営資源の有効活用を図りながら、この戦略ビジョンを戦略的に推進するために必要となる「選択と集中」の考え方を示します。
第1節 基本理念
私たちは、先人たちが幾多の苦難を乗り越え、築き上げてきた世界に誇る魅力的なこのまちを受け継いでいます。今後、社会経済情勢が大きく変化しても、未来に向けてこのまちを良好な形で次世代に引き継いでいく責任を果たしていかなければなりません。
そこで、戦略ビジョンの推進に当たっての基本理念を、以下のとおり掲げます。
~札幌の未来をつなぐ子どもたちのために~
私たちは、一人一人の暮らしや地域・企業活動など、あらゆる場面において、常に札幌の明日をつくる子どもたちが、笑顔で生き生きと幸せに暮らす姿を思い描きながら、持続可能なまちづくりを進めていかなければなりません。
また、子どもたちを、ふるさと札幌・北海道の魅力を語り、更に磨き上げることのできる大人に育てていく使命があります。
そして、札幌に誇りを持ち、積極的かつ主体的なまちづくりの担い手に成長した子どもたちが、また次の世代に、このまちの魅力を引き継いでいくことにより、世代間の良好な循環を実現します。
第2節 基本姿勢
私たちが一体となってまちづくりに取り組んでいくために、4つの共通の基本姿勢を掲げます。
1 市民が主役のまちづくり
地域主権型社会を実現するためには、まちづくりの主役である市民自らが、主体的に参加することが求められます。
そこで、私たちは、自分たちの地域のことは、自分たちで考え、自分たちの力で解決する市民自治のまちづくりを進めます。
(1) 市民一人一人の参画
私たちの行動が、深くまちづくりにつながっていることを認識し、まちづくりや市政について関心を持ち、話し合い、積極的かつ主体的に参画します。
(2) 多様な主体によるネットワークの推進
様々なまちづくりの主体が相互に連携し、ネットワークを広げ、複雑・多様化する地域課題に対応します。
2 まちの活力を高める人づくり
札幌が今後とも魅力的なまちであり続けるためには、「人」がまちづくりの資源であり、新たな時代を担う推進力であると位置付け、それぞれの個性と能力を伸ばしていくことが必要です。
そこで、私たちは、様々な場面において、市民一人一人が社会で活躍する力を養う人づくりを進めていきます。
(1) 札幌人の育成
変化の早い時代に対応した進取性を備え、コミュニケーション力や行動力を併せ持ち、地域や世界で活躍する未来の札幌人をみんなで育てます。
(2) 市民が活躍できる環境づくり
誰もが生きがいと役割を持ち、社会に参加できるようにするため、様々な立場の人たちの能力を引き出し、活躍できる環境をつくります。
(3) 未来を担う子どもたちへのまなざし
常に子どもたちに温かなまなざしを向け、健やかな成長を願うとともに、子どもたちが札幌の未来について主体的に考え、学び、行動するための機会を提供します。
3 北海道と共に発展する札幌
札幌と北海道の発展は、一体の関係にあります。
そこで、私たちは、札幌の魅力や経済活動が、北海道の人々、自然、資源などに支えられたものであり、札幌の発展は北海道と共にあることを常に意識しながら、北海道の中心都市としての役割を果たしていきます。
(1) 北海道の資源との連携
近隣市町村や道内中核都市など、道内の他市町村との広域的な連携を深めながら、北海道が持つ豊かな資源と札幌が持つ都市機能やブランド力を結び付け、札幌や北海道の魅力を相乗的に高めます。
(2) 北海道内の経済循環の促進
札幌の市民や企業などが、北海道の魅力や価値を改めて認識し、道産品の消費や道内観光、道内企業との取引などを積極的に行い、道内の経済循環を高めていきます。
(3) 北海道の魅力の発信
札幌が持つ情報発信機能を活用し、北海道全体の魅力を札幌から国内外へ発信します。
4 限りある資源の有効活用と共創
地球規模の環境問題への対応や高齢化の進行、都市基盤の維持・保全などにより、社会的な費用が増大していくことが予想される中、行政と民間の役割分担や連携を十分考慮しながら、社会経済情勢の変化に対応し、効果的なまちづくりを進めていくことが重要です。
そこで、私たちは、市民・企業・行政が一体となって、それぞれの知恵と工夫により、限りある資源を有効に活用し、相乗効果を発揮します。
(1) 官民の持つ力による共創の推進
市民・企業・行政がそれぞれの持てる力を発揮しながら、共創によって魅力と活力のあるまちづくりを進めていきます。
(2) 世代間の公平性に配慮した資源活用
未来を担う子どもたちに過度な負担を残さないため、世代間の負担の公平性を考慮し、将来を見据えた効率的な資源の活用に努めます。
第3節 戦略ビジョンの効果的推進
札幌市を取り巻く社会経済情勢の変化は、様々な分野において、かつて経験したことのないような影響を与え、これまでと同様の考え方や取組では、解決することが困難な課題が、ますます顕在化していくと予測されます。
このような時代にあって、戦略ビジョンを効果的に推進していくためには、こうした課題を的確に見定めた上で、資源を集中的に投下するなど、「選択と集中」により戦略的にまちづくりを進めていくことが重要です。
<今後、戦略的に取り組むべきテーマ>
第4章の基本目標の実現に向けた取組を進めるに当たり、第2章における社会経済情勢の変化を踏まえ、今後10年間で最も大きなパラダイムの転換が必要となる以下の3つのテーマを選択し、集中的に施策を展開します。
1 暮らし・コミュニティ
高齢化の急速な進行による高齢単身世帯の増加や様々な要因による社会的孤立の顕在化が懸念されることなどを踏まえ、地域でのつながりや支え合いによる共助の意識を広く醸成し、さらに、それらを補完する仕組みづくりに取り組むことによって、いかに安心して暮らせる地域をつくり出していくかというテーマ
2 産業・活力
今後想定される人口減少は、地域消費型の経済構造となっている札幌・北海道に深刻な影響を与えることが懸念されることから、北海道経済全体の活性化を見据えた上で、札幌・北海道の魅力や強みを生かしつつ、新たな付加価値を創造することによって、いかに足腰の強い経済基盤を確立させていくかというテーマ
3 低炭素社会・エネルギー転換
地球温暖化や東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、今後は低炭素社会と脱原発依存社会を実現していくことが、先人が築き上げてきた札幌の財産を未来に引き継ぐためには重要であることから、このために環境エネルギー政策をまちづくりの中核に位置付け、いかにエネルギーの大消費地としての責務を果たしていくかというテーマ
これらのテーマに沿った施策の方向性は、「戦略編」で設定します。
なお、課題認識と戦略設定は、時代の変化に迅速に対応する必要があることから、適宜中間点検し、戦略の追加・補正を行うなど柔軟に対応します。