小樽市中小企業振興基本条例 平成30年7月3日 条例第25号

○小樽市中小企業振興基本条例

平成30年7月3日

条例第25号

小樽は、天然の良港である小樽港を中心に運河や鉄道などが整備されるとともに、まちには商業、工業、物流、金融などの産業が集積し、北海道の発展における先駆的な役割を果たしてきました。

商工港湾都市として発展した本市には多くの職人が集まり、創意工夫を重ねたその技術は現在も受け継がれ、水産加工品や機械・金属製品、硝子工芸など地場産業の基盤を支えています。また、産業の発展に伴い建築され、今も残る多くの歴史的建造物は情緒あるまちなみを形成し、国内外の多くの方をひきつける魅力的な観光都市として知られるまちとなっています。

小樽は、事業所のほとんどを中小企業が占めるまちであり、中小企業が成長発展することは、働く人の収入増加や消費の活性化、雇用の確保、拡大へとつながることから、中小企業は地域経済の極めて重要な担い手となっています。そして、中小企業の成長発展は、地域経済の活性化を通じたまちづくりにつながり、市民生活の向上に寄与する好循環が生まれます。

しかしながら、情報化の進展、経済活動のグローバル化、産業構造の変化、価値観の変化や本市での人口と中小企業の著しい減少など、中小企業を取り巻く環境が大きく変化しており、その経営環境は厳しさを増しています。

こうした状況の中で、中小企業の活力ある成長発展のためには、その多様性や地域の強みを生かしつつ、自らの創意工夫と努力の下、新たな価値を生みだすとともに、中小企業自らが地域経済の重要な担い手であることを自覚し、変化する経営環境に果敢に挑戦していくことが求められています。また、未来を担う中小企業の振興が、小樽の発展に欠かせないという認識を皆が共有し、全市を挙げて中小企業を応援し、支えていくことが必要です。

そこで、行政や中小企業、市民などの役割や関係を明らかにし、多様な中小企業の集積や観光などの本市の産業構造と地域特性を生かしながら、活力ある中小企業の振興を図ることにより、小樽を豊かで暮らしやすいまちとするため、ここに、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業が本市経済の活性化及び雇用確保の担い手として地域に果たす役割の重要性に鑑み、中小企業の健全な発展を推進するため、中小企業の振興に関する基本理念を定め、市、中小企業者、市民などの役割を明らかにするとともに、中小企業の振興に関する施策(以下「中小企業振興施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的に推進し、もって本市経済の発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「基本法」という。)第2条第1項に規定する中小企業者であって、市内に事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を有するものをいう。

(2) 中小企業団体 商店街振興組合法(昭和37年法律第141号)第2条第1項に規定する商店街振興組合及び商店街振興組合連合会並びに中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)第3条第1号に規定する事業協同組合その他これらに類する中小企業者を構成員とする団体であって、市内で活動するものをいう。

(3) 中小企業者等 中小企業者及び中小企業団体をいう。

(4) 大企業者 中小企業者以外の会社及び個人であって、事業を営むものをいう。

(5) 経済団体 商工会議所法(昭和28年法律第143号)第2条第1項に規定する商工会議所その他地域経済の振興に関する活動を行う団体をいう。

(6) 大学等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第15条の7第3項に規定する公共職業能力開発施設及び研究機関をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は、次に掲げる基本理念にのっとり推進されなければならない。

(1) 市、中小企業者等、大企業者、経済団体、金融機関、大学等及び市民が協働すること。

(2) 中小企業者等の自らの創意工夫及び努力並びに中小企業者等が持つ多様性を尊重すること。

(3) 本市の産業構造及び地域特性を踏まえて、地域の潜在力を生かすこと。

(4) 経済的社会的環境の変化に的確に対応すること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、中小企業振興施策を総合的に策定し、及び実施するよう努めなければならない。この場合において、市は、中小企業者等の実態を的確に把握するとともに、中小企業者等の意見を適切に反映するよう努めなければならない。

2 市は、中小企業振興施策の実施に当たっては、中小企業者等及び国、北海道その他の関係機関と連携を図るよう努めなければならない。

(中小企業者等の努力)

第5条 中小企業者等は、経済的社会的環境の変化への適応のため、経営の革新(基本法第2条第2項に規定する経営の革新をいう。以下同じ。)、経営基盤の強化及び事業承継に自主的に取り組むよう努めるものとする。

2 中小企業者等は、地域の関係者及び関係機関との連携に努めるとともに、市が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

3 中小企業者等は、雇用環境の整備並びに雇用の維持及び創出に努めるとともに、大学等との協力により、事業活動に必要な人材の育成に努めるものとする。

4 中小企業者等は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、地域社会との調和を図り、豊かで暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第6条 大企業者は、事業活動を行うに当たっては、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚するとともに、中小企業者等との連携及び協力並びに中小企業者等の商品の購入又はサービスの利用を促進し、地域経済の安定に配慮するよう努めるものとする。

2 大企業者は、中小企業の振興が地域経済の発展及び市民生活の向上に果たす役割の重要性を理解し、市及び関係機関が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

(経済団体の役割)

第7条 経済団体は、中小企業者等の経営の改善及び成長発展に向け、指導及び支援するよう努めるものとする。

2 経済団体は、市及び関係機関が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

3 経済団体は、中小企業者の組織化並びに中小企業者等の相互の連携及び関係機関との連携を促進するよう努めるものとする。

(金融機関の役割)

第8条 金融機関は、中小企業者等の円滑な資金調達、経営の革新及び成長を積極的に支援することにより、中小企業の振興に寄与するよう努めるものとする。

2 金融機関は、中小企業の振興が地域経済の発展及び市民生活の向上に果たす役割の重要性を理解し、市及び関係機関が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

(大学等の役割)

第9条 大学等は、地域の人材の育成及び研究成果の普及が中小企業の振興に資するものであることを理解し、市及び関係機関が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

(市民の理解と協力)

第10条 市民は、中小企業の振興が地域経済の振興及び市民生活の向上において果たす役割の重要性を理解し、中小企業者等が行う事業及び社会貢献に関心を持つとともに、その商品の購入又はサービスの利用などにより、中小企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第11条 市は、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業振興施策を講ずるものとする。

(1) 中小企業者等及び関係機関との連携並びに中小企業者等相互の連携の促進を図ること。

(2) 中小企業者等の事業活動に必要な人材の育成及び確保並びに資金供給の円滑化を図ることにより、中小企業者等の経営基盤の強化を促進すること。

(3) 中小企業者等の経営の革新及び創業の促進を図ることにより、創造的な事業活動を促進すること。

(4) 中小企業者等の経営の安定、事業承継の円滑化等を図ることにより、中小企業者等の経済的社会的環境の変化に対する適応の円滑化を促進すること。

(5) 中小企業者等の技術開発、独創的な技術等を利用した事業活動の促進を図ること。

(6) 後志地域等との連携により地域の特色ある資源の利用促進を図るとともに、地場産品の販路拡大を促進すること。

(7) 中小企業者等における労働環境及び勤労者福祉の向上を支援すること。

(8) 中小企業者等と連携を図りながら、児童及び生徒の勤労観及び職業観の育成に努めること。

(財政上の措置)

第12条 市は、中小企業振興施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(市からの受注機会の増大)

第13条 市は、工事の発注並びに物品及び役務の調達(以下「工事の発注等」という。)に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、中小企業者等の受注機会の増大に努めるものとする。

2 市から工事の発注等を受けた者が、それらの一部について更に工事の発注等を行う場合には、中小企業者等を活用するよう努めるものとする。

(小規模企業者への配慮)

第14条 市は、中小企業振興施策を講ずるに当たっては、経営資源の確保が特に困難であることが多い小規模企業者(基本法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事務所等を有するものをいう。)の事情に配慮するよう努めるものとする。

(中小企業振興会議の設置)

第15条 中小企業の振興に資するため、市長の附属機関として、小樽市中小企業振興会議(以下「振興会議」という。)を設置する。

(所掌事務)

第16条 振興会議は、次に掲げる事務を行う。

(1) 市長の諮問に応じ、中小企業振興施策について調査審議し、及び意見を述べること。

(2) 自ら中小企業の振興に関する事項について調査審議し、及び市長に対して意見を述べること。

(組織)

第17条 振興会議は、20人以内の委員をもって組織する。

2 委員は、学識経験者、中小企業の振興に関係のある者、公募による者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。

(任期)

第18条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

(会長及び副会長)

第19条 振興会議に会長及び副会長を置き、それぞれ委員の互選により定める。

2 会長は振興会議を代表し、会務を総理する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第20条 振興会議の会議(以下単に「会議」という。)は、会長が招集する。ただし、委員の任期満了後における最初の会議は、市長が招集する。

2 会長は、会議の議長となる。

3 会議は、委員の過半数の出席がなければ、開くことができない。

4 会議の議事は、出席した委員(会長である委員を除く。)の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

5 会長は、必要があると認めるときは、会議に委員以外の関係者の出席を求め、その意見又は説明を聴くことができる。

(庶務)

第21条 振興会議の庶務は、産業港湾部において行う。

(運営事項)

第22条 第15条から前条までに定めるもののほか、振興会議の運営に関し必要な事項は、会長が振興会議に諮って定める。

(委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(招集の特例)

2 この条例の施行の日以後最初に招集される会議は、第20条第1項本文の規定にかかわらず、市長が招集する。