地域のみんなで地域のためになる商品をつくる(沖縄県伊江村)伊江漁業協同組合|地域活性化100

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地域のみんなで地域のためになる商品をつくる
伊江漁業協同組合
沖縄県伊江村

沖縄県伊江村の地域の概要

沖縄本島にある本部半島の北西約 9km の位置にある。1 島 1 村で人口は約 4500 人。産業は主に農業、畜産業、
漁業であり、村民の 10 分の 1 が漁業に関わっている。離島のため、魚を本島で売るとコストがかかってしまうこ
とや、後継者がいないことが伊江島の漁業において問題となっている。本部港からフェリーで 30 分程度というこ
とで「日帰り可能な離島」であり観光地としての人気も高い。また、戦争に関する施設・史跡もあることから県内
外からの修学旅行の需要も多い。しかし、観光客や修学旅行生は多いが彼らに提供する料理は伊江産のものだけで
は賄えていない。

取り組みの概要:地域のみんなで地域のためになる商品をつくる

伊江漁協では、89 名の組合員で組織されており、役割に応じた部
会を作っている。観光部会では、修学旅行生らに漁師体験プログラム
(追い込み漁、獲った魚を使いカレーつくり)やマリンスポーツを提
供している。女性部は、海人(うみんちゅ)の奥様方を中心に構成さ
れており、魚食の普及活動や販売を行っている。パヤオ部会は、パヤ
オ漁を行う漁業者で構成され、年に一回の伊江村産業祭りではマグロ
の解体ショーや即売などを行っている。その他では、若手を中心とし
た青壮年部がある。
民泊事業が島内で始まったが、伊江島の特産品として提供できる食
べ物がない、ということで漁協の女性部(約 20 名)が商品開発をし
ようと声をあげたことから、商品開発が始まった。伊江島で最も多く
水揚げされる海産物「ソデイカ」を使用し、「伊江島おっかー自慢の
イカ墨じゅーしぃの素」や「イカ墨ぎょうざ墨ちゃん」を民間食品業
者や自治体、教育機関などと連携し、伊江島の水産資源をユニークな
加工食品へと発展させる取り組みにチャレンジした。現在、これらの
商品は県内のスーパー等で販売されており、県外にも出荷している。
「伊江島おっかー自慢のイカ墨じゅーしぃの素」は累計で約 45 万パッ
ク販売しており、現在でも年間約 5 ~ 6 万パックを売り上げている。
また民泊をする修学旅行生にも商品が提供されるようになった。
商品開発中には、民間食品業者との価格調整などが合わず、うまく
いかない時期もあった。また、一次加工の処理を女性部がうまく対応
できず問題となったこともあった。そういった時に八前組合長が間に
入り関係団体と話をしたり、漁師に一次加工の処理をお願いするなど
の調整役となったことで、プロジェクトがうまく進んでいった。「イ
カ墨ぎょうざ墨ちゃん」の売り上げの一部を伊江村の青少年活動資金
に活用している。青少年活動資金で、夏休みに島の子供たちを対象
とし絵画教室を開いたところ、島の子供たち 40 ~ 50 人が参加した。
他にも漁協直営の食堂運営している。

インタビュー:八前 隆一 氏(伊江漁業協同組合 代表理事/組合長)「漁協の商品開発が島にもたらした影響」

漁協の商品開発が島にもたらした影響
八前 隆一 氏
伊江漁業協同組合 代表理事/組合長
漁協だけで商品開発をするのは難しく、民間の加工業者など
とうまく連携すれば時間をあまりかけず商品開発を進めること
ができる。地方で何かの活動を行う際には、複数の主体が協力
することが重要であるが、その際、関係者間を調整する役割の
存在は大きい。商品開発をするきっかけは漁協の女性部から「や
ろう」という声があがるのがきっかけだった。しかし漁協と
民間業者間とで価格調整など意見が合わず頓挫しそうであった
時、漁協が仲介役として間に入った。両者と調整し解決策を提
案したことで、商品開発まで辿り着くことができた。また、女
性部が一次加工の処理についてうまく対応できず困っていた時
に、若い漁師にお願いして一次加工の処理を対応してもらい、
問題が解決したこともあった。
漁協で作り上げた商品の一つに「イカ墨ぎょうざ墨ちゃん」
がある。この商品は、伊江島の中学生らと一緒にパッケージを
作った。そして、売上の一部を青少年活動基金として村の教育
委員会に寄付し、小学生を対象とした絵画教室を開くなどして
地域貢献をしている。村に配属される教員は科目を掛け持ちで
担当するため、図工や音楽など主要科目以外の専門の教員はい
ない。島の子ども達に専門の知識を持った人から絵画を学ぶ機
会を与えることができたのは良かったと思う。今後も青少年活
動基金を増やし、スポーツのイベントなども実施したい。
今後は、時代のニーズに合わせ商品アイテムを 10 個作りた
いと考えている。6 次産業を企業と連携して行うのも一つの手
である。地域に合った食材でベストな方法をよく考えることが
大事で、すべてを漁協だけで行うのには時間・労力がいる。地
域にとって何がベストかを決めることは簡単ではないが、みん
なの意見をくみ取り、どこに売るのか、ターゲティングをしっ
かりすることで商品もヒットするのではないか。これまでも、
漁協が主導して商品開発をすることで、地域に刺激を与えるこ
とができた、今後も地域の皆でつくった「島のアイテム」が増
えることで、開発の過程等を通して、お互いが刺激しあい、地
域活性化に繋がると考えている。