「じゃばら」 で 500 人の村を再生(和歌山県北山村)北山村|地域活性化100

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「じゃばら」 で 500 人の村を再生
北山村
和歌山県北山村

和歌山県北山村の地域の概要

和歌山県北山村は紀伊半島の東南部に位置し、和歌山県に属しながら、周囲は三重県と奈良県に囲まれてお
り、和歌山県のどの市町村とも接しておらず、日本で唯一の飛び地の村である。県庁所在市の和歌山市からは約
150km 離れており、車では 3 時間以上を要する。面積の 97%を山林が占めており、かつては林業で栄え、北山村
には筏師たちがおり、丸太を筏に組んで北山川を下流の新宮市まで運んでいた。北山村が飛び地となっている所以
は、こうした歴史的背景から新宮市とのつながりが強く、和歌山県になった新宮市に習って和歌山県に入ったこと
が理由とされる。平成 22 年時点の人口は 486 人で 45%が 65 歳以上の高齢者である。少子高齢化と人口減少の村
であるが、この地域にしかない特産品「じゃばら」を生かした製品開発・販売と、かつての筏師の技術を現在に蘇
らせて観光産業とした「北山川観光筏下り」に村民が一丸となって取り組むことで地域の自立と再生に取り組む。

取り組みの概要:「じゃばら」 で 500 人の村を再生

「じゃばら」は柚子やカボスのような酸味の強い柑橘
類で古来より北山村に自生していたが、世界でも北山村
にしかない新品種ということが判明し、品種登録された。
じゃばらの名前は「邪 ( 気 ) を払う」に 由来しており、
村では昔から天然食酢として正月料理には欠かすことの
できない縁起物であった
昭和 50 年頃、過疎化が進行していた北山村で、村が
中心となって珍しい柑橘類「じゃばら」を産業に育て、
村を救おうと特産品化を進めたが思うように需要が伸び
なかった。昭和 57 年には、農林水産省の事業を活用して、
村内に 8ha の農園を確保し、集出荷施設も整備したが、
販路開拓が出来ずに低迷を続けた。
大きな転機となったのは、平成 13 年。村が最後の手
段としてネットショッピングモールに出店したことで
あった。同時に「じゃばらが花粉症の症状に効く」と
いう噂を確かめるために、ネットアンケートを利用し
て「じゃばらの花粉症効用調査」をモニター 1000 人に
実施。この調査の結果、「効果があった」と答えた人が
47%にもなり、じゃばらの需要増加につながった。平
成 20 年には、岐阜大学医学部の研究によって、じゃば
らにはアレルギー症状を抑制する成分を含んでおり、花
粉症を抑制する効果があることが科学的に証明された。
これにより、花粉症の時期にはじゃばらの注文が殺到す
るようになった。一部の商品は発売後すぐに完売したこ
ともある。この時期、じゃばらを村のブランド化として
売り出すために「ゆずでもない、すだちでもない、とん
でもない、紀州のへんなみかん」という印象的なキャッ
チコピーが作られ、パンフレットや WEB サイトなどの
広報物の整備を進めた。
平成 12 年までは 2,500 万円前後で推移していた年間
売上だが、花粉症に効くことが明らかになった平成 13
年には 5,000 万円、平成 14 年には 1 億円、平成 17 年
には 2 億 2,000 万円にまで増加した。現在は、村内に
ある 7ha の農園に約 6,000 本のじゃばらが栽培されて
いる。村営の加工場では多様な加工品が生産されている。
初期から生産されていた果汁やドリンク、ジャムをはじ
め、じゃばらを利用したケーキなどのスイーツ、じゃば
ら酒、じゃばらを含んだ石鹸や入浴剤など。バラエティー
に富んでいる。
こうしたアイデアにあふれた商品の数々を企画してい
るのは、村の職員や、じゃばらの生産者、加工場で働く
女性たちなど村の人たちの手で商品開発のアイデアが練
られている。現在、村の加工場ではピークのシーズンに
は、10 名を超えるスタッフが働いており、目立った産
業のない村に雇用を生み、地域を支える基幹産業となっ
た。
もう一つ、北山村唯一の資源となっているのが「北山
川の筏流し」である。この筏流しは、600 年の昔から、
筏師の村として栄えた北山村の伝統を、現在に復活させ
ることで観光資源としたものである。
かつて職業として木材を運んでいた筏師たちは、紀伊
山地で切り出され巨大な丸太を筏に組み、川幅が狭く、
急流で、難所だったと言われる北山川を命がけで下流の
新宮市まで運んでいた。北山村の筏師の技術は非常に高
度であったと言われている。現在は、安全な観光用に改
良された筏で行われているが、運行を行っている筏師た
ちの技術は大切に継承されており現在は 10 名ほどの筏
師がいる。筏を操る筏師たちの技術と、川から眺める絶
景を求めて夏を中心に多くの観光客が訪れている。平成
26 年には北山村指定の重要無形文化財に指定された。

インタビュー:田岡 富泰 氏(観光産業課長/北山村役場)

北山村役場
観光産業課長
田岡 富泰 氏