女性の活躍による地域産業の活性化(宮城県加美町)農事組合法人やくらい土産センターさんちゃん会|地域活性化100

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女性の活躍による地域産業の活性化
農事組合法人やくらい土産センターさんちゃん会
宮城県加美町

宮城県加美町の地域の概要

宮城県加美町は、人口約 25,000 人、宮城県の西北部に位置し、仙台から 1 時間で来ることのできる町である。「加
美富士」とも呼ばれる町のシンボル薬莱山をはじめ、ブナなど豊かな森林を有する船形山、ミズバショウの群落
で知られる荒沢湿原など、自然豊かな地域である。鳴瀬川、田川などが町を貫流し、その流域は肥沃な耕土が広
がる。ひとめぼれなどのお米、山菜・きのこなど、農業が盛んな地域となっている。冬の気候は厳しく、西部の
山岳・丘陵地帯は降雪量も多く豪雪地帯に指定されている。

取り組みの概要:女性の活躍による地域産業の活性化

県内でも特に雪深い地域であり、農作物の増産が思うように進まない地域であった。生計を立てるために地域
の男性は、冬季に別の産業に従事することが多く、必然的にその間に家の切り盛りをするのは女性が通例であり、
女性が外に出ない地域性であった。
昭和 50 年代より、地域の女性たちによる生活環境の点検活動から、自らの住む地域の魅力を再確認し、後生
に伝えていくための地域づくりが始まった。女性たちは、地域のお土産や、新鮮な農林産物を販売することを企
画し、町に直売所の建設を要望した。平成 6 年に直売所が整備され、地域の恵みを販売するという意味合いから、
「どさんセンター」と名づけた。このセンターを活用する組織として、「さんちゃん会」がスタート。会の名称は、
「かあちゃん」、「ばあちゃん」、「じいちゃん」による「さんちゃん」と、太陽の SUN をかけている。
平成 14 年に「農事組合法人やくらい土産センターさんちゃん会」として法人化された。組合員は 60 代、70
代を中心に 200 名余り、高齢であるが非常に元気である。野菜、山菜、加工品、工芸品、手芸品などの農林産
物の販売、食堂、地元産の牛乳を使ったアイスクリーム製造・販売を行っている。仙台圏や近隣からのお客さん
が多い。売り上げを拡大するため、町内での販売にとどまらず、仙台市内のデパートへの出張販売や、消費者と
の交流イベントを行っている。その成果が認められ、平成 16 年には、さんちゃん会は直売所の指定管理者に指
定された。
さんちゃん会は、これまで内にこもりがちであった地域の女性たちが積極的に活動し、女性の経営参画という
革新を地域にもたらした。この活動に刺激を受けた若者が、新たに野菜や花卉栽培などで起業し、地域に定着す
るなど、担い手創出にも貢献している。

インタビュー:加藤 重子 氏(農事組合法人やくらい土産センターさんちゃん会)「女性の活躍による地域産業の活性化」

女性の活躍による地域産業の活性化
加藤 重子 氏
農事組合法人やくらい土産センターさんちゃん会
直売所整備前に約 30 名でドイツに視察に行き、グリーンツーリズムを行いたいと強く決心し、絆が深まった。
その後、その輪が着々と広がった。女性の力強さを感じた。農作業等で、男性には縁の下の力持ちとして、支えて
もらっている。また、組合に入る方も増えている。
順調に進んできた直売所であったが、東日本大震災により、山菜・きのこの出荷停止など大きな被害を受け、売
り上げも低迷した。時間が過ぎるとともに、また、組合員の努力により、売り上げが少しずつ戻っている。
直売所の活動から波及して、多くの農家が加工の許可を取り、漬物、惣菜、パン、弁当などの加工品づくりに取
り組み、販売も好調である。農家民宿を始めた方もいる。直売所が始まってから 20 年が立ち、高齢化が進んでいる。
ものが売れ、それが元気につながっているが、高齢化は課題である。顧客ニーズへの対応もあるが、軽い野菜を作
る、惣菜を作るなど、農作業の負担を少ないように工夫をしている。
継続は力である。立ち止まることもあるが、前を向くことが大事である。また、多くの人が関わる場所であり、
組合員同士が争うこともあるが、協調が大事である。明るい直売所にすることを心掛けている。ここ最近、就農支
援を行ってきた若者が1名、移住予定である。直売所など 6 次化の取り組みを通じて、若い人をもっと呼び込ん
でいきたい。