福島の未来を創る産業を生み出す(福島県いわき市)い わ き お て ん と SUN 企 業 組 合|地域活性化100

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福島の未来を創る産業を生み出す
い わ き お て ん と SUN 企 業 組 合
福島県いわき市

福島県いわき市の地域の概要

福島県いわき市は、県内第 2 の都市で、浜通りの中心地である。太平洋に面し、寒暖差が穏やかな気候である
ことから “ 東北の湘南 “ と呼ばれている。震災前は、常磐湯本温泉やスパリゾートハワイアンズ、アクアマリンふ
くしまなどに多くの観光客が訪れる観光業が盛んな地域であった。東日本大震災では、建物の倒壊、沿岸部の津波
被害を始め、福島第一原発事故の影響による放射線の問題など、インフラ、産業に大きな被害を被った。震災後も、
農業や観光業の風評被害や、2 万人を超える双葉郡避難者とのコミュニティの軋轢など、復興に向けて、様々な課
題に直面している。

取り組みの概要:福島の未来を創る産業を生み出す

東日本大震災により被災した福島県いわき市で、復興
への思いや福島やいわきの未来ビジョンを共有し、市民
自らが、市民のために行う地域づくりを協働し、実践し
ていくために、“ いわきおてんと SUN プロジェクト ”
は立ち上げられた。震災前よりいわき市を拠点に地域づ
くり活動を行ってきた 6 名が中心となり、平成 23 年よ
り活動を開始し、平成 25 年 2 月に、企業組合として法
人格を取得している。
プロジェクトは、3 つの事業からなる。
オーガニックコットン事業では、風評被害に悩む農地
において、食用ではない作物として、福島だからこそ有
機でコットンを栽培し、製品化・販売までを行う。平
成 24 年より、いわき市を中心に、広野町、南相馬市、
会津美里町など県内各地、約 3ha の農地で栽培を行う。
この綿を使い、Made in JAPAN のこだわりをもって様々
な商品を開発し、T シャツ 4,000 枚以上、手ぬぐい 5,000
枚以上を販売している。
コミュニティ電力事業は、市民主体の自然エネルギー
発電事業を実施。施工の一部を市民や都市部住民が実施
し、50kW の太陽光発電施設を設置、売電を開始した。
現在、発電所の増設や、市民出資などによる市民の参加
型による事業拡大を進めている。また、小中学校等で太
陽光パネルを自作する教育プログラム、太陽光を使った
電源での音楽イベントなど、自然エネルギーの普及啓発を行っている。
スタディーツアー事業では、視察や研修で被災地に訪れる企業・団体・個人を受け入れ、被災地域の日々、変わっ
ていく姿、課題や現状を伝え、今後をともに考えるプログラムを実施する。首都圏始め、全国各地から延 8000 人
以上が、被災地の視察、太陽光発電の整備支援、コットンの栽培支援に訪れている。3 つの事業を連携させ、自ら
の事業性を高めるとともに、地域経済への波及を促すことで、浜通りの交流人口の増加や地域経済の活性化に寄与
することができている。福島の未来を創る産業を生み出すべく、活動の充実・拡大に努めている。

インタビュー:吉田 恵美子 氏/島村 守彦 氏(いわきおてんと SUN 企業組合)「若者と一緒に、福島の新産業をつくる」

若者と一緒に、福島の新産業をつくる
吉田 恵美子 氏/島村 守彦 氏
いわきおてんと SUN 企業組合
オーガニックコットンの栽培に、農業者、地元企業、地域づくり活動者、小中学校、都市部から震災ボランティ
アに参加する人たちなど、様々な人が関わっている。コミュニティ電力の太陽光発電の設備においては、設置場所
の整地作業やパネルの設置に、市民や都市部ボランティア等が関わった。地域内の人同士、地域内外の新しいつな
がりが生まれている。延 8000 人を超える都市部からの来訪者には、いわきの現状を自らの目を通して理解しても
らうことで、いわきのファンになり、風評被害の払拭にもつながっている。
震災後、大都市資本による太陽光発電が盛んに計画され、地域に利益が落ちない状況に嫌気を指していた。そこで、
市民自らが事業主体になり、自らが施工し、地域に利益を落とすことを目標に 50kW の発電所を設置した。売電
収益は、現在、企業組合での若者の雇用等に役立てている。
当活動を持続化していくために、若者たちと一緒にということを常に心がけている。企業組合の経営に 30 代の
2 名が入り、また、6 人の若者を雇用している。雇用を持続化するために、組合員全員で、日々、悪戦苦闘しながら、
各事業の事業性を高めることに努めている。
オーガニックコットン、コミュニティ電力について、スタディーツアーを通じて体験してもらうなど、3 事業を
連携させ、その相乗効果によって、事業性を高めている。福島の新たな産業と呼べるまで各事業を成長させ、今後
も被災地の未来を創っていきたい。