ゴミの 35 種分類に取り組む「ゴミゼロ宣言」の町。(徳島県上勝町)上勝町|地域活性化100

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ゴミの 35 種分類に取り組む「ゴミゼロ宣言」の町。
上勝町
徳島県上勝町

徳島県上勝町の地域の概要

徳島県上勝町は、徳島市中心部から車で約 1 時間。標高 100m から 700m の間に大小 55 の集落が点在している。人口は
昭和 30 年の 6,265 人をピークに平成 25 年には 1,840 名 863 世帯にまで減少。高齢者比率は 49.57% と過疎と高齢化が進
む町である。近年では地域の山にあった「葉っぱ」を料理の「つまもの」として販売「はっぱビジネス」を確立。産業がな
かった町に新産業を興した「株式会社いろどり」が注目を集めており、過疎地域の活性化における先進的事例としてあまり
に有名である。上勝町では他にも先進的な取り組みが行われている。それが、平成 15 年に町の価値をさらに高め、未来の
子供たちにきれいな環境を残すために始められた「ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)宣言」である。これは町内の家庭や事業
者から出る全てのゴミを 35 種類に分別し、ゴミの量を減らすとともにリサイクルを推進するというものである。背景には、
平成 9 年の廃棄物処理法の改正を受けて、平成 12 年、上勝町を含む周辺 6 市町村による合同ごみ焼却場建設が計画されたが、
建設には膨大な経費と管理運営費が必要となることから計画は頓挫。さらに同年、上勝町内には一般廃棄物最終処分場の建
設も計画されていたが、多額の経費と管理を要することから建設は見送られたことがある。

取り組みの概要:ゴミの 35 種分類に取り組む「ゴミゼロ宣言」の町。

平成 25 年に上勝町内にオープンした「上勝百貨店」は、食料品
から雑貨まで、生鮮食品以外の生活に必要なものを扱っている小さ
な直売所である。運営は地域資源を活用することによる移住促進と、
上勝町のゼロ・ウェイストの達成に貢献することを目的として平成
24 年に設立された一般社団法人地職住推進機構が行っており、実
際に店舗運営を行っているのは上勝町に移住をした 20 代の若者た
ち数人である。この「百貨店」の特徴は食用油や、醤油、砂糖など
の調味料、洗剤などの生活用品、パスタなどの乾物が業務用の大き
な容器に入れられたまま店頭に並んでおり、客は空き容器を持参し
て必要な量だけ買って帰るという「量り売り」が行なわれている。
量り売りをすることが目的でなく、究極のゴミを出さない売り方を
実践することによって、ゴミを出さないという姿勢を体現し、地域
の意識を高めることを目的としている。ほかにも、町内の農家で生
産された余剰野菜などを農家から引き取って販売しているほか、地
域に工房を構える作家による工芸作品なども販売されている。
この「量り売りの直売所」が作られた背景には、平成 15 年の「上
勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)行動宣言」がある。ゼロ • ウェ
イストとは英語の「ZERO」と「WASTE」から成り、「ごみ」「無駄」
「浪費」が「ゼロ(ない)」という状態を意味しており、米国のサン
フランシスコや、ニュージーランドでは多くの自治体がこの宣言を
している。宣言では、
1.焼却処理及び埋め立て処理を 2020 年までに全廃する。
2.地元で発生するごみの徹底的な発生抑制、分別・回収を指導す
るための教育システム、分別回収システムの構築。
3.県に対してごみの発生抑制、分別回収の徹底に役立つ制度の早期
確立を求める」
4.あらゆる生産企業に対し、2020 年を目標に製品の再利用、再資
源化などの再処理経費を、商品に内部化して負担する制度の確立を求
めると同時に、ごみが発生しない、または分別回収、再利用、再資源
化が容易な製品への切り替えを求める。
5.日本国内の他の市区町村においても、同様の目標を定め、相互ネッ
トワーク構築による目標達成への協力体制構築を行う。
など、ゴミを出さない環境づくりのための非常に厳しい制約を町自身
と町民、町内の企業に課しており、行政によるゴミ削減の取り組みと
して非常に先進的なものである。上勝百貨店はモノを売るというとこ
ろから変革をすることで、物流の上流からゴミゼロを実現することを
目指している。
現在、上勝町では「35 種分別のゴミ回収」が行われており、ビン
だけでも色や種類で4種類に分けられている。町内に設けられたゴミ
回収ステーションでは 35 種類に分別されたゴミ置場が用意されてい
るほか、持ち込まれた不要は家具や生活用品のうち、使いたいものが
ある場合は住民に限定して持ち帰ることができるリユースの取り組み
も行われている。また、上勝町にはゴミ収集がなく、家庭から出るゴ
ミはすべて住民自らの手でこのステーションに持ち込むことになって
いる。難しい仕組みであるが、住民同士の助け合いによって機能して
いる。車の運転ができない高齢者などに対しては、町による代行回収
も行っている。
上勝百貨店の開店までには 2 年の準備期間を要した。平成 23 年頃
から地域住民を集めての勉強会や、再利用可能な容器についての試験
を行った。実店舗開設前には車を利用して量り売りの移動販売による
試験営業などを行い、買い物難民となっている高齢者の生活と需要の
実態を調査した。店舗は町内になった空き倉庫を住民の手で改装。平
成 25 年、上勝百貨店のオープンに漕ぎつけた。「百貨店」という名称や、
量り売りという販売方法が様々なメディアから注目をされたことで、
この店舗そのものが「メディア」としての役割を果たし、上勝町が行っ
てきた「ゼロ・ウェイスト宣言」の活動が広く全国に認知されるよう
になったことは、大きな成果である。
また、地域の交流の場としての「店」の役割を見つめ直すという目
的もある。人口が少ない上勝町で上勝百貨店そのものの事業を収益化
することは難しいが、町が目指す方向や姿勢を店舗という「目に見え
る形」にしたことで、町のブランドイメージ向上に貢献している。

インタビュー:小林 篤司 氏(代表理事/一般社団法人 地職住推進機構)

一般社団法人 地職住推進機構
代表理事
小林 篤司 氏