中心市街地活性化の最先端から町家再生によるまちなか居住の推進(滋賀県長浜市)長浜まちづくり株式会社|地域活性化100

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中心市街地活性化の最先端から町家再生によるまちなか居住の推進
長浜まちづくり株式会社
滋賀県長浜市

滋賀県長浜市の地域の概要

長浜市は、滋賀県の東北部に位置し、周囲は伊吹山系の山々と琵琶湖に面しており、中央には琵琶湖に注ぐ姉川
や高時川、余呉川等により形成された湖北平野と湖岸風景が広がっている。京阪神や中京、北陸の経済圏域の結節
点としての位置にあり、京都市や名古屋市からはおおよそ 60 キロメートル圏域、大阪市からはおおよそ 100 キロ
メートル圏域にあり、これらの経済圏域と利便性高く結びついている。株式会社黒壁をはじめとする長浜方式のま
ちづくりによって中心市街地活性化の先進地域としてまちなか再生を実践しており、近年では空き家となっている
町家の再生によるまちなか居住の取り組みが着々と進んでいる。

取り組みの概要:中心市街地活性化の最先端から町家再生によるまちなか居住の推進

大型店舗の郊外への出店申請を機に、商店街、市、商工会
議所等は、衰退しつつある長浜のまちを再生するべく「商業
×観光」をコンセプトとした「商業近代化地域計画」を昭
和 60 年に策定した。町のランドマークである大通寺の表参
道のアーケード撤去及び参道沿いの木造家屋 32 店舗のセッ
トバック・修復を行い、大手門通りの石畳化と博物館通りの
景観形成などを進めていった。同時に株式会社黒壁によって
29 号館 31 店舗の開発も進み、また、にぎわい創出の観点
から各商店街で特色のあるイベントも生み出されていく。商
店街・商工会議所の動きと黒壁の動きが同時期に並行して躍
進したことが、長浜のまちづくりが成功事例と言われる要因
である。
そして平成 18 年、まちづくり三法改正に伴い、長浜市中
心市街地活性化基本計画を策定するにあたって “ これまで各
団体が別々に進めてきた長浜のまちづくりをトータルマネジ
メントできるソフトの企画会社が必要である ” という認識の
もと、平成 21 年 8 月に長浜まちづくり株式会社(以下、ま
ちづくり会社)が設立された。
まちづくり会社は、長浜のまちづくりのトータルマネジメ
ントを担うとともに、町家再生によるまちなか居住を推進し
ている。事業のきっかけとなった取り組みは「風通し屋」で
ある。使われなくなって放置され、傷んでいくだけの町家に
焦点を当て、定期的に風通しを行うことで居住(又はテナン
ト利用)希望者が現れた際にきれいな状態で物件を紹介する
賃貸のマッチング事業である。まちなかの町家を点検し、使
われていない町家の所有者に風通し屋の提案を行うことで、
3 軒の町家で風通しを行うこととなった。実際には、風通し
の前に大掛かりな掃除が必要であったが、苦労を経てきれいになっ
た物件を多くの人に見てもらうためにお披露目会を開催した。
単純にきれいになった町家を開放するだけでなく、地域の若手ク
リエイター等と共同して地域ならではの楽しい暮し方やその魅力
等の企画展示も行い、1 週間で 100 人ほどの人が訪れ、その多くが
20 代~ 40 代の若者や子育て世代であり「町家に住みたい」といっ
た感想を寄せた。「長浜の町家を再生して若者のまちなか居住を推
進する」といった方針が間違っていなかったことを確認できたイベ
ントとなり、その後、3 軒の町家は賃貸住宅やシェアハウスとして
改修し、工事が完了した物件にはそれぞれ入居者で満室になってい
る。
これらの取り組みにおいては、地域の若手クリエイター等のグ
ループが大きく影響している。イラストレーターの女性は、まちな
か居住のパンフレットのイラストを手がけ、建築士は町家改修にお
ける用途変更手続きや設計を行い、グループのワークショップを町
家で行うことでより多くの人々に町家再生の取組を知らせる機会と
なっている。まちづくり会社と彼らの連携が長浜の町家再生事業の
成功の秘訣にもなっている。

インタビュー:吉井 茂人 氏(長浜まちづくり株式会社 )「町衆が力を合わせて作り上げてきた長浜のまちのこれから」

町衆が力を合わせて作り上げてきた長浜のまちのこれから
吉井 茂人 氏
長浜まちづくり株式会社
商工会議所に席を置き、長年長浜のまちづくりを担ってきた吉井氏は語る。優秀なスタッフを継続雇用する仕組みをつく
ることが大切である。まちづくりをトータルでマネジメントする会社をつくる際には、資本力も大事であるが、優秀なスタッ
フを如何に継続雇用させていけるかが重要な課題となる。長浜まちづくり株式会社では、立ち上げからこれまでの 5 年間、
みんなで知恵を出し合って剰余金の確保を実現している。同時にものづくりの視点によるまちづくりも重要である。これか
らの商店街は、ものづくりという視点を持ちながら、素材とデザインと技術を融合させながら、末端商品につながるような
独自の商品開発をすることが求められる。

インタビュー:竹村 光雄 氏(長浜まちづくり株式会社 )「先輩町衆を目標に新しい長浜のまちづくりを志す」

先輩町衆を目標に新しい長浜のまちづくりを志す
竹村 光雄 氏
長浜まちづくり株式会社
コンサルタントから現場(長浜まちづくり株式会社)に転職した竹村氏が外部と内部の目線から取り組みを語る。一つは、
若手クリエイターとの連携によって活動の広がりができたことだ。湖北地域で活躍する若手クリエイターグループと連携す
ることで、それまで自分だけではできなかった活動が広がり、また伝えきれなかった情報をより効果的に発信することがで
きるなど、長浜のまちづくりを進める上で彼らとの連携は必要不可欠となっている。また、もう一つの特徴に現代のライフ
スタイルを考慮した町家の再生があった。町家や古民家の再生となると、昔ながらの素材や建具を活かしたいというイメー
ジがあるが、むしろ、現代の生活に適した使いやすさや手ごろ感といったニーズを優先している。また、若者 2 人がシェア
する予定の物件についても、居住者の合意を図った上で将来的に家族が住むことを想定したプランニングを行うなど、現代
のライフスタイルに配慮し、柔軟性と持続可能性の高い町家再生を行っている。
先輩方を目標に若者が新しいまちをつくることを常に考えている。今、竹村氏や若手のクリエイターグループによる様々
な取組みは、社会的に意義のある活動ではあるが、これまで長浜のまちづくりを牽引してきた先輩方の実績にはまだまだ及
ばない。町家や駅前の商業ビルのテナントを活用して自らが事業を手掛けたり、数十件単位の町家再生構想を練り上げ社会
的・経済的効果の高い事業を実践していくなど、事業性の高い活動を自ら行うことこそが、竹村氏をはじめとした長浜の若
者が挑戦していかなければならない命題であると考えている。